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NPT再検討会議でメキシコ大使が発表した
核兵器禁止条約締約国・署名国の共同声明

(2022.8.17)
 国連本部で開催された核不拡散条約(NPT)第10回再検討会議で8月17日、メキシコの国連大使が、核兵器禁止条約締約国・署名国(それぞれ66ヵ国、86ヵ国)を代表して共同声明を読み上げた。以下はその全文。原文はウェブサイト「Reaching Critical Will」より。 
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  議長、

 私は、核兵器禁止条約の締約国および署名国を代表して発言する。

 1.我々、核兵器禁止条約(TPNW)の締約国および署名国は、2021年1月22日に同条約が発効したことを祝う。核兵器はいまや国際法によって明示的かつ包括的に禁止されている。生物・化学兵器ではとっくにそうなっているように。大量破壊兵器に対する国際的な法体系にあったこのギャップを同条約が埋めることを歓迎するとともに、すべての国が、国際人道法を含め適用可能な国際法を常に順守する必要性を再確認する。

 2.核不拡散条約(NPT)に全面的に関与する国々として、我々は、NPTが軍縮・不拡散体制のカナメ石であることを認め、これを損なうおそれのある威嚇や行動を非難する。我々は、核兵器禁止条約がNPTと補完関係にあることを再確認する。我々は、核兵器の包括的かつ法的な禁止を実現することによってNPT第6条の履行を前進させたが、核軍拡競争の停止および核軍備縮小撤廃〔disarmament〕に関連する必要かつ有効な措置として、これを喜ばしく思う。我々はすべてのNPT締約国に対し、第6条の義務ならびにNPT再検討会議において合意された行動および公約を完全に履行するための取り組みを再活性化するよう勧奨する。我々は、我々の共通の目的を達成するために、すべてのNPT締約国と建設的に協力するとの約束をあらためて表明する。

 3.我々は、核軍縮に有効に貢献しうるあらゆる措置を引き続き支持する。これには、包括的核実験禁止条約の発効に向けた取り組み、核兵器の使用および使用の威嚇の危険を軽減するための暫定措置、軍縮検証措置のさらなる進展、消極的安全保障の強化、核兵器および他の核爆発装置の生産のための核分裂性物質を禁止する法的文書が含まれる。我々は、核兵器禁止条約の禁止、義務および目的が、非核兵器地帯の設置諸条約と完全に共通し、相補的なものであることを確認し、非核兵器地帯とひき続き協力していくことを誓う。

 4.我々は、核兵器禁止条約の創設のきっかけとなり動機となった道徳的・倫理的要請を再確認する。
 ・法的拘束力のある核兵器禁止の確立は、核兵器の不可逆的・検証可能・透明性のある廃絶に向けた不可欠の一歩をなすものであり、核兵器のない世界の実現と維持にとって必要であり、ひいては国連憲章の目的・原則の実現にとって必要であること。
 ・核兵器による壊滅的な人道的帰結は、適切な対処を不可能とし、国境をはるかに越え、人間の生存と幸福に重大な影響をもたらし、生存権の尊重と相いれないものであること。核兵器は、破壊、死、強制的移住をもたらすとともに、環境、社会経済的で持続可能な開発、世界経済、食料安全保障、ならびに、現在および将来世代の健康に対して長期にわたる深刻な損害をもたらし、とりわけ女性や少女に不釣り合いな影響を与える。
 ・すべての国は、国際法および2国間協定にもとづくそれぞれの義務に従って、軍縮を達成するうえで、また、あらゆる側面において核兵器の拡散を防止するうえで、核兵器の使用または使用の威嚇を防止するうえで、ならびに、核兵器国による過去の使用および実験によって生じた被害者を支援して損害を償い、環境被害を修復するうえで責任を共有していること。
 ・事故、誤算または意図的行為による核兵器爆発のリスクは、全人類の安全を脅かすものであり、核兵器のない世界の達成と維持は、各国のそして集団的な安全保障の利益に資するものであること。
 ・したがって、核兵器の存在が全人類にもたらすリスクは非常に深刻であり、核兵器のない世界を実現するためにただちに行動を起こす必要があること。これこそ、いかなる状況下でも核兵器が再び使用されないことを保証する唯一の方法である。私たちには待機している余裕はない。

 5.我々は、核兵器使用の威嚇がされ、核をよりよく描こうとする動きが執拗さを増していることに驚き、当惑している。我々は、核兵器のいかなる使用または使用の威嚇も、国連憲章を含め、国際法違反であることを強調する。我々は、核兵器による威嚇はいかなるものであれ、それが明示的であろうと暗黙のものであろうと、すべて明確に非難する。

 6.核兵器は、平和と安全を守るどころか、強制と脅迫と緊張激化につながる、政策の道具として使用されている。このことは、核抑止力論――それは、核兵器を実際に使用するとの威嚇にもとづき、それに依拠しており、それゆえ、無数の生命、社会、国々を破壊し、世界的に破滅的な結果をもたらすリスクにもとづき、それに依拠している――の誤りを、これまで以上に浮き彫りにするものである。したがって、我々は、核兵器が完全に廃絶されるまで、すべての核保有国が、いかなる状況においても、核兵器の使用や使用の威嚇をけっして行わないよう、強く主張する。

 7.我々は、9ヵ国が合わせて約1万3000発の核兵器をいまだに保有し、核兵器の使用や威嚇を合理化する安全保障ドクトリンをとっていることに、重大な懸念をいだいている。これらの兵器の多くは警戒態勢に置かれ、数分以内に発射できる状態にある。さらに我々は、一部の非核保有国が、核抑止を擁護し、核兵器のひき続く保有を奨励していることに、懸念をいだいている。不安定性の増大とあからさまな紛争が、故意であれ事故や誤算であれ、核兵器が使用されるリスクを大きく高めている。核兵器の存在は、すべての国の共通の安全保障を低下させ、脅かす。実にそれは、私たちの生存そのものを脅かす。

 8.我々は、恐るべき危険にもかかわらず、また、軍縮を行うべき法的義務や政治的公約があるにもかかわらず、核保有国および核の傘の下にあるその同盟諸国がいずれも、核兵器への依存を減らすための真剣な措置をとっていないことを遺憾に思い、深く憂慮している。それどころか、すべての核保有国は、核兵器の維持、近代化、改良、拡大のために巨額の資金を費やしており、核兵器をより重視し、安全保障ドクトリンにおいて核兵器の役割を増大させている。こうした不安な動きをただちに停止させることを強く求める。このような資源は持続可能な開発のためによりよく活用できることを強調する。
 9.こうした状況において、核兵器禁止条約は、これまで以上に必要とされている。我々は、核兵器のさらなる(悪の)烙印化と非合法化、ならびに、核兵器に反対する強固で世界的な強行規範〔peremptory norm〕を着実に構築することをめざし、核兵器禁止条約の履行を推進していく。

 10.我々は、核軍備縮小撤廃の緊急性、ならびに核兵器の存在がもたらす人道上の帰結とリスクに関する重要な証拠を、関連のすべての軍縮・不拡散プロセスにおいて、またより広く世界の世論に対して、さらに浮き彫りにしていくことを誓約する。こうした非人道的帰結を避けることは、核兵器のない世界を実現し維持するための我々の集団的な取り組みの中心に据えられなければならない。

 11.我々はすべての国に対して、遅滞なく核兵器禁止条約に加盟するよう勧奨する。この措置をとる準備がまだない国々に対して、同条約に協力的に関与し、核兵器のない世界という私たちの共通の目標を支持するうえで私たちと協力するよう訴える。

 ありがとう。 □