ドイツの連立協定の安保外交政策より
2021年11月24日(社民党ウエブサイトより)
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ドイツの9月の総選挙で勝利した社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党は、新政権の連立協定で合意(11月24日発表)。各党での承認を経て、ショルツ新政権が12月8日に発足した。同協定のうち、第7編「欧州と世界に対するドイツの責任」から、「外交、安全保障、国防、開発政策、人権」の章の一部。
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第7編「欧州と世界に対するドイツの責任」
外交、安全保障、国防、開発政策、人権
わが国の外交・安全保障・開発政策を、価値にもとづく、よりヨーロッパ的なものにしていく。ドイツの外交政策は、わが国の国際的な行動の一貫性を高めるために、一体的なものとして展開され、すべての省庁にまたがる共通の戦略として仕上げる必要がある。市民社会をも含めパートナー諸国と協力して、ヨーロッパの自由な生活様式を守り、全世界で平和と人権を守るために活動していく。その際、私たちを導くのは私たちの価値観と関心事である。
私たちは、欧州の戦略上の主権を高めたい。目標は、世界における多国間協力であり、とくに我々の民主主義的な諸価値を共有する国々との緊密な協力関係である。その際、権威主義国家との体制間競争や、我々の民主的なパートナーとの戦略的連帯も重要である。
そこでは、個人の尊厳を守る最も重要な盾である人権が、私たちの羅針盤である。大西洋同盟は中心的な柱であり、NATOはわが国の安全保障の不可欠な一部である。わが国の兵士は、国を守り、平和と国際安全保障のために不可欠な貢献をしている。
私たちは、国際的な軍縮と軍備管理の再生に取り組む。わが国の安全と生活基盤の確保のためには、グローバルな協力、国連の強化、ルールにもとづく国際秩序が必要である。私たちはとくに、欧州グリーンディール、2030アジェンダ、パリ気候協定の意味で共通で一貫した気候外交と気候正義に取り組む。
平和、自由、人権、民主主義、法の支配、持続可能性へのコミットメントは、我々にとって、ドイツと欧州のための成果豊かで信頼できる外交政策の不可欠な一部である。
多国間主義
私たちは、国際秩序の最も重要な機関である国連の政治上、財政上、人材上の強化に取り組む。国連安全保障理事会の改革は、世界のすべての地域のより公平な代表性とともに、引き続き私たちの目標である。私たちは、「民主主義のための同盟」などのイニシアチブを支援・強化し、「(ドイツが提唱してきた)多国間主義のための同盟」を今後も発展させる。また、G7議長国として多国間主義の強化にも取り組む。自由で公平な貿易への関与は、わが国の国際政策の一部である。欧州安全保障協力機構(OSCE)の独立性と行動の自律性を守ることに努める。欧州評議会の諸制度と行動能力を強化し、それを弱体化させようとする権威主義的な欧州評議会加盟諸国のあらゆる試みから擁護したい。ボンにある国連のドイツ代表部を強化する。
国際政治の諸課題に関して市民との対話を積極的に探究する。重要な国際サミットの前後には、ドイツ連邦議会に定期的に情報を提供する。新連邦政府の初年に、包括的な国家安全保障戦略を提示する。
ネットワーク化された包摂的なアプローチの意味でドイツが長期的には国内総生産の3%を国際的な活動に投資することで、私たちは、ドイツの外交および開発政策を強化するとともに、NATOで引き受けた諸義務を果たしていく。外務公務員法の目標を達成したい。
パートナー諸国といっしょに、「フェミニスト外交政策」の意味で、女性と女児の権利、能力、代表性を世界中で高め、社会の多様性を促進したい。私たちは、より多くの女性を国際的な指導的立場に送り出し、国連1325決議の実施のための国家行動計画を意欲的に実行し、さらに発展させたい。
ドイツは、グローバルでオープンなインターネットのための積極的なデジタル外交政策と、省庁の垣根を越えた一貫したEUデジタル政策を推進する。国際機関、規格、標準化プロセス、およびマルチステークホルダー・フォーラム(IGFなど)への関与を強化する。デジタル市民権を求めるグローバルな市民社会の取り組みを支援する。私たちはネット国際法を望む。開発協力では、EUレベルでも、パートナー諸国とともに、デジタル主権を強化するための独立したデジタルインフラの構築に協力する。デジタル空間における軍縮政策を追求する。これには、抑圧的な政権への監視技術の移転を阻止することや、サイバー攻撃から民間のインフラを保護することも含まれる。
NATOは依然としてわが国の安全保障の不可欠な土台である。大西洋同盟の強化と、公平な負担分担を約束する。NATOの新たな課題に対応するために、新しい戦略概念の策定プロセスに積極的に参加する。パートナー諸国と緊密に調整しながらNATOの能力目標を達成し、それに応じた投資を行っていきたい。同盟内にも存在する緊張に対処するため、NATOの政治的側面を強化することに努める。NATOの戦略概念の中で核兵器が役割を果たしている限り、ドイツは、戦略的な議論や計画プロセスに参加することに関心をもつ。ドイツと欧州の安全保障にとっての脅威が存続していることを背景に、私たちは、とくに中・東欧のパートナー諸国の懸念を真剣に受け止めて、信頼できる抑止力の維持を約束し、同盟の対話努力を続けていきたい。通常兵器と核兵器の軍縮および軍備管理に向けた同盟の取り組みを支持する。NATOにおける欧州の柱を強化し、NATOとEUの間のより緊密な協力に努める。
軍縮、軍備管理、武器輸出
私たちは、軍縮政策上の攻勢を必要としており、核軍縮のためのストックホルム・イニシアチブをはじめ国際的な軍縮イニシアチブと不拡散レジームの強化において主導的な役割を果たしたい。2022年の核不拡散条約(NPT)再検討会議が、核軍備縮小撤廃のための真の推進力となるように取り組む。私たちの目標は引き続き、核兵器のない世界(グローバル・ゼロ)であり、核兵器のないドイツである。新STARTの後継条約――それは新しい戦略核兵器システムのほか短・中距離核兵器システムを包括する――にとりわけ力を入れる。準戦略分野における完全な軍備撤廃のための米ロ間交渉に尽力する。中国のような核保有国を、核軍備撤廃や軍備管理により強く関与させたい。
NPT再検討会議の結果を踏まえ、また同盟諸国と緊密に協議しながら、核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバーとして(締約国としてではなく)参加し、条約の目的を建設的にフォローしていく。
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