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核不拡散条約(NPT)50周年を記念する17ヵ国共同声明
(2020.05.19)

 アルジェリア、オーストリア、ブラジル、チリ、コスタリカ、エクアドル、エジプト、インドネシア、アイルランド、マレーシア、メキシコ、モロッコ、ニュージーランド、ナイジェリア、フィリピン、南アフリカ、タイの各国は、核不拡散条約発効50周年記念を祝うものである。緊張と不信の高まりの時期における核不拡散条約(NPT)の始まりは、今日の国際の安全保障情勢など、困難な環境における国際的な協力の価値と、多国間外交の成功の証である。

 NPTは発効から50年を経て、依然として国際の平和と安全保障に寄与するうえできわめて貴重な法的文書である。NPTは、地球規模の核軍備撤廃と核不拡散体制の土台として、核兵器がおよぼす人類の生存に対する脅威をなくすために核兵器の完全廃絶につながる地球規模の核軍備撤廃の基盤をつくり出しつつ、核兵器とその拡散によってもたらされる脅威を削減する国際的な努力を支える法的文書である。

 核兵器が人類に対して脅威を与え続けていること、核兵器の人類に対する破滅的な影響を及ぼす可能性への深い憂慮は、有意義な具体的進歩を緊急に求めていることを明確に示している。この点で、私たちは、2010年のNPT再検討会議の最終文書に反映された、すべての条約締約国が、核兵器の使用が人類破滅的な結果をもたらすという懸念を表明したことを想起する。

 NPTは原子力の多様な平和的利用を促進し、核不拡散が、締約国の原子力を平和的に利用する権利とアクセスを妨げることがないように保障するうえで、中軸的な役割を果たしてきた。この点で国際原子力機関(IAEA)は、NPTの実施に向けて実効性のある役割を首尾よく果たしてきた。

 NPTの半世紀は、同条約を全人類的なものにすることの重要性を思い出させるものである。まだ条約に加盟していないすべての国は、これ以上遅れることなく、また無条件に非核保有国として加わるべきである。いまこそ、対等かつ相互的に強化しあっている3本柱を全面的に実施する集団的な努力を倍加する機会である。これは条約の目的を実現するうえで緊要である。NPTに従って今日までに達成されてきた成果は、この目的に向かう国際的な一致した努力の成果である。

 NPT実行の成功は、締約国の手にかかっている。非核兵器国は核兵器国が核兵器を廃絶するかわりに、核兵器を開発しないことを誓約した。核軍備撤廃の進捗状況は核不拡散および核エネルギーの平和的利用の進捗よりも遅れている。NPTの枠内で義務と誓約を果たすために、具体的な、透明性のある、検証可能で不可逆的な核軍備撤廃措置を実行することが緊急に必要になっている。私たちは、NPTの信頼性、実行可能性、実効性を支持し守らなければならない。NPTを守る唯一の方法はそれを実行することである。

 核軍備撤廃で一定の進歩がこの数十年でおさめられたが十分とは言えず、核軍備撤廃の義務は依然果たされていない。現在行われている(核兵器の)近代化、性能向上のプログラムは、これまで達成された前進を逆戻りさせる危険にさらしている。今日の安全保障環境と課題は、緊急の前進を求める正当な根拠である。

 2000年のNPT再検討会議で核兵器国は、核軍備撤廃につながる自らの核兵器の全面的廃絶をなしとげることを明確に約束し、これを加速させる決意を表明した。2010年の行動計画は、NPT第6条の実施を進めるためにその後1995年と2000年に下された、13の実際的な措置を含む決定を再確認した。核兵器諸国は、それぞれが特別の責任を負っていることを念頭に、核軍備撤廃につながる措置について前進を加速させることを誓約している。私たちは、核兵器国に対して、自らの現在の約束を実行し、また、その約束にもとづいて、NPTにもとづくみずからの義務遂行を加速させることを求めるものである。

 ことしはNPTの発効50周年であるとともに、同条約の無期限延長から25周年でもある。NPTの無期限延長が同条約の再検討プロセスを強化し、核軍備撤廃・不拡散の原則と目的を確認する決定を含む一括決定と、中東における非核兵器・大量破壊兵器地帯を創設する決議の一環であったことを想起することが重要である。これらの決定は、中東(非核兵器地帯)決議とともに、NPTの無期限延長と切り離すことができないものと考えられており、そのことはすべての締約国によって尊重されなければならない。

 NPTの無期限延長は、けっして核兵器の無期限保持を正当化するものと解釈されえないものである。

 非核兵器地帯の創設は、核兵器の全面廃絶が実現していない間は、世界のすべての地域で積極的な措置であり、地球規模の核軍備撤廃と不拡散の強化、NPTの目的の実現に向けた重要な中間的措置である。

 この重要な機会に私たちは、以前のNPT再検討会議において合意された私たちのこれまでの約束を厳粛に再確認する。次の再検討会議はこれらの誓約を踏まえるべきである。私たちは他の締約国に対し、同様に確認するよう要請する。NPTの歴史においては難題がないわけではなかったが、今日も、再びむずかしい課題に直面している。しかしながら、私たちがこれらさまざまな障害を認識しているということをもって、私たちの歩みがぐらついてしまう理由にすべきではなく、むしろ、それらを克服するために、より公開的で包括的、透明性のある多国間対話を通じ、節度と外交によって、NPTに関連していっしょに活動する私たちの決意を強化するものである。国際の平和と安全保障はNPTの目標、すなわち核兵器のない世界という目標に向けた協力と具体的な進捗を通じてのみ達成されるものである。

 来るNPT再検討会議は、COVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミック(世界的感染拡大)のため延期されたが、締約国が、条約の現状と条約の3つの柱の実行について、その枠内でのこれまでの義務と誓約と合わせて、包括的な検討と評価を行う時宜にかなった機会を与えている。再検討会議は、今後のいっそうの具体的な前進のための追加的な分野や手段を明確にする責任がある。私たちはこの点で他の締約国とともに活動していきたいと考える。軍備撤廃の誓約を実行していれば、もっと多くの資源を持続可能な開発や公衆衛生、地球規模の緊急事態に対処するための国際協力や準備態勢に使うことができたであろう。

 締約国はいまこそ、明確な、合意が得られた基準およびスケジュールにしたがって、ことばを具体的な行動に変えるべきである。こうした努力を通じてのみ、私たちはNPTの次なる50年の成功をめざし、いま私たちが迎えている50周年の重要な成果に立って向上していくことができる。