米海軍新型核巡航ミサイル計画、来年に本格着手
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| (2020.02.21) |
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以下は、米国の軍事関係情報メディア「ディフェンス・ニューズ」インタネット版に掲載された、トランプ政権が2018年「核態勢見直し」(NPR)で表明した米国の新型核巡航ミサイル(SLCM)の開発の現状についての記事の全訳。現在、国防総省調達プロセスの初期段階にある「代替案分析」(AOA)の手続きが進められているところで、将来の調達を認める「プログラム記録」(POR)を 2022会計年度(2021年10月〜2022年9月)予算で作成し、7〜10年以内の配備を目標としている、との米国防総省高官の発言を伝えている。
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【ノースダコタ州マイノット空軍基地】国防総省高官によると、国防総省は7〜10年以内の配備を目標に、次年度予算要求で、新型の核搭載潜水艦発射巡航ミサイルの「プログラム記録」(POR)を作る予定だという。この高官は今週マイノット基地を訪問した際、匿名を条件に、国防総省は「核態勢見直し」発表の際に初めて明らかにされたこの新型ミサイルの「代替案分析)」(AOA)の手続きを進めている、と述べた。
〔訳注:PORは、国防総省の装備調達手続きのなかで、その装備の調達が将来必要と認められたことを示す文書。AOAは国防総省の調達政策の要件で、行政管理予算局および国防総省によって管理されている。装備への投資決定を行う前に、少なくとも3つの実現可能な代替案が検討されることが必要とされている。〕
同当局者は次のように説明した。「我々は2020会計年度に500万ドルを要求し、議会の承認を得た。AOAにはこの500万ドルを引き続き使用する予定なので、2021年度予算には何も入っていない」「しかし、2022会計年度予算には、海洋発射巡航ミサイルのAOAを開始する予算が出されることを希望している」。
この当局者は、「これを潜水艦に搭載すれば、ロシアにはどこにあるかわからなくなる」「彼らはそれを嫌うだろう。絶対に嫌う」と述べた。
2018年初めに発表された「核態勢見直し」の中で、トランプ政権は、潜水艦発射弾道ミサイルのための低出力核弾頭と、核能力を持つ海洋発射巡航ミサイルという、2つの新たな核能力を追求すると述べた。第一の目標は、W76-2として知られる弾頭が2019年遅くに配備されたことにより達成された。
同当局者によると、国防総省はこのプログラムにかかる費用をまだ検討中だが、おおまかな見積もりとして、新型空中発射巡航ミサイル「長距離スタンドオフ兵器(LRSO)」の想定価格を挙げた。この兵器は、国防総省が80〜90憶ドルを負担するとともに、核弾頭の開発を担当する国家核安全保障局(NNSA)も同額を負担することになる見通しだという。
「船に搭載するのか? 潜水艦に搭載するのか? 新型か、あるいは既存のミサイルを使うのか? どの程度の距離を航続しなければならないのか? 我々はこれらのすべてを検討している。さらに、作戦行動の概念についても検討しなければならない。この兵器をどう使いたいか? 恒常的に潜水艦に搭載しておくのか、それとも港に運んでおいて危機の際に搭載するのか」と同高官は語った。
戦略的には、この巡航ミサイルを追加することで、核装備の海軍艦艇は12隻から20〜30隻になることが可能で、中国とロシアにとっての戦略的計算の変更は「巨大」になると、この高官は指摘する。
同当局者は、この武器は新設計である必要はないと強調し、設計と調達が「大仰なものである必要はない」と述べた。
「SLCM(潜水艦発射巡航ミサイル)は大仰なものである必要はない。同じ弾頭でできるかもしれない。我々はそのことを検討する」と述べた。
通常弾頭の「トマホーク」の射程距離は1250〜2500キロメートルで、核弾頭の重量は通常弾頭の積載重量より小さいため、この新型SLCMの射程距離はさらに長くなる可能性が高い。海軍はすでに次世代陸上攻撃兵器に投資を行っており、SLCMの基盤となる最新のシステムを提供する可能性がある。その弾頭は、NNSAのLRSOに搭載される弾頭W80-4の改造版かもしれない。
このアイデア〔新型SLCM〕に批判的な人々は、すでに無理がきている海軍予算を食いつぶす一方で、もう1つの核兵器が戦力に付加するものはほとんどない、と主張している。
「新型SLCMは、保険のための高価な保険になるだろう」と軍備管理協会のキングストン・リーフは語った。
「米国はすでに、膨大な資金をB-21(爆撃機)、LRSO、F-35A(戦闘機)に投資し、接近阻止・領域拒否(A2/AD)問題に対処しようと計画している。海軍は、水上艦艇あるいは攻撃型潜水艦の再核武装を伴う作戦・財政上のさらなる負担をうれしくは思わないだろう」。さらに、「攻撃型潜水艦を核SLCMで武装させることは、各潜水艦が搭載できる通常弾頭のトマホークSLCMの数を減らすことにもなる」と、レイフ氏は指摘した。
先の国防総省当局者は、兵器の詳細にかかわりなく国防総省が新しいSLCMを配備するのは7〜10年先になると予想している――議会がこの計画を支持する場合に、だが。民主党はこれまで、トランプ政権の新たな核兵器開発計画に反対してきたが、結局W76-2計画の推進を妨げなかった。
国防省当局者は、2021年会計年度予算には「〔新型SLCM関連の〕支出がまったく含まれていないので、議会がこの問題で重大判断をするかどうかはわからない」「しかし、これは新たな兵器システムで、大型の弾頭を小型の弾頭に置き換えるW76-2とは違い、現実により大きな配備能力を導入するものだ。とはいえ、先に述べたように7〜10年後にだが」。
「核態勢見直し」が発表された際、国防総省の当局者たちは、SLCMがロシアとの軍備管理交渉の取引材料に使えることを強調した。
多くの軍備管理協定が破綻に直面しているにもかかわらず、この当局者は今週、SLCMは「(ロシアを)軍備管理のテーブルに引き戻すうえでなんらかの影響力を与える」と改めて主張した。 |
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