| いま世界にはいくつ核弾頭があるのか |
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核保有主要五カ国ーアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国ーは、現在のところ、それぞれの兵器庫に合計二万基をこえる核弾頭をもっている。ただし、これにはおそらく一万基におよぶとみられるロシアの中間的状態(解体まちなど、訳注)にある核弾頭が含まれていない。
核保有八カ国がもっている核弾頭は世界全体で三万基を上回り、このうちの大多数、割合にして九六%がアメリカとロシアの保有するものである。これらの弾頭のなかで約一万七千五百基が実戦配備されている。残りの弾頭は予備であるか、あるいは退役して解体をまっている。
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アメリカはおよそ一万六百基の核弾頭を保有している。このうち、八千基近く が現役ないし作戦配備中と考えられている。そのほか、数百基が解体まちである。これらは2000年までに解体されるはずであったが、様々な理由から実行されなかった。いずれにせよ解体計画は延長されている。
ブッシュ政権の核戦力態勢見直し報告(NPR)で詳細にのべられているよう に、現在の計画ではアメリカの「作戦配備されている戦略核弾頭」の数量は2012年末までに1700〜2000基へ削減される。作戦配備中の弾頭の削減は弾頭を現役運搬手段から「反応戦力」ないし「非現役予備」へと移管することで達成される。
非現役予備弾頭の一例としてはトリチウムなど耐用年数の限られた構成要素をもたない弾頭があげられる。また、このほかの2014年前の解体は、エネルギー省核安全保障局によれば、保有が続く九種の弾頭の更新計画と競合することになる。
もし仮に現行の諸計画が実行に移されるならば、アメリカは、われわれの推計によると、2012年までにおよそ一万基の弾頭を保有していることになる。これは、本質的にいえば、今日の数字とまったく同一である。
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ロシアはその保有核軍備の規模について情報を公表していない。アメリカ国防総省と中央情報局の推定では、1990年代をとおして年間1000基強の弾頭を解体したので、ロシアの現在の保有弾頭数はおよそ一万八千六百基なのかもしれない。
そのうち8600基だけが作戦配備されていると考えられる。いいかえれば一万基もの核弾頭が非作戦配備状態、すなわち再配備のための予備か、あるいは退役して解体をまっているか、の状態にあると信じられている。
モスクワ条約はロシアの作戦配備戦略核弾頭を2012年までに2200基を越えない水準に制限している。しかし、資金その他の限界のため、ロシアはこれほど多くの弾頭を維持することができないとみられる。ロシアは(条約交渉のさい、訳注)上限として一五〇〇基を強くおしていた。
もしも相当数の弾頭が更新されないまま作戦配備に戻らなければ、ロシアの核保有がこんご十年間をつうじて戦略弾頭で1000基という水準へ、また戦術弾頭も1000基以下という水準にまで低下することもありえよう。
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イギリスの現在の保有核弾頭はバンガード級原子力潜水艦に搭載されているおよそ200基の戦略・準戦略弾頭からなると考えられている。同国政府の1998年7月の発表によると、「作戦配備可能な弾頭は200基未満」で、うち48基の弾頭がある特定の時刻に原子力潜水艦一隻に搭載されて、パトロール中とのことである。
フランスは現在およそ350基の核弾頭を維持している。1992年保有数は540基であった。地上配備弾道ミサイルはすでに廃棄され、海軍攻撃機運搬用の核爆弾は退役した。2010年配備予定のM51型海洋発射弾道ミサイルには当初、まったく新しい弾頭を搭載する計画であったが、この計画は変更され、既存の弾頭の改良型が搭載される。
中国は推定およそ400基の核弾頭を保有している。1993年の保有数は435基であった。アメリカの情報機関や防衛当局の予想では、中国はこんご15年間で、主としてアメリカを標的とするミサイルに搭載する弾頭数を現在の20基から75−100基に増加させるかもしれない。
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インドとパキスタンは、双方あわせて、100基未満の核弾頭を保有している。その大部分はいまのところ作戦配備されていない。われわれの推計によると、インドがこれまでに生産した核分裂性物質は45−95基の弾頭むけに相当するが、同国の組み立てた弾頭はわずか30−35基。パキスタンは30ー52基相当の核分裂性物質を生産し、24−28基の弾頭を組み立てた。両国とも保有核弾頭を増加させつつあると考えられる。
イスラエルは核兵器保有を肯定もしなければ、否定もしていない。ただし、ア メリカ情報筋の報告はすでに長年にわたって同国を事実上の核保有国と分類してきた。若干の非公式推計によると、イスラエルは200基もの核弾頭を保有しており、その最初の組立は1967年とみられている。
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資料:ロバート・S・ノリスとハンス・クリステンセンが共同執筆した『 ブレティン・オブ・ゼ・アトミック・サイエンティスツ』誌2002年11ー12月号103ー104ページ所載の「ニュークリア・ノートブック:世界核保有概観1945−2002年」からの抄訳である.(翻訳:藤田俊彦)
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