ジャパン・カード
米評論家から日本核武装のすすめ |
|
アメリカ言論界の一部から、北朝鮮の核兵器開発計画に対応する切り札として、日本の核武装をいそげとする論評がでてきた。筆者はチャールズ・クロートハマー、米論壇でも右よりの人物で、与党共和党のなかに賛同者が多いといわれる論客である。
ワシントン・ポスト紙2003年1月3日(金)A19ページに掲載されたこの論評のタイトルは『ジャパン・カード』。以下はその抄訳である。こんご、非核三原則骨抜きの策動ともかかわって、日本の保守・反動勢力のなかに波紋を呼び起こすかもしれない。
|
| 北朝鮮の危機 |
日曜日の朝、米国務長官が五つのチャンネルのトークショウに連続出演して、あることが危機でない、危機でないと繰り返し否定した。まさに、それは、あることなるものが危機であることを示している。
米国政府はこれまで北朝鮮による核の強行突破の重大性を小さくみせようとつとめてきたが、それには十分な理由がある。いまのところ、政府としてはほとんど何も打つ手がない。したがって、われわれの無力をさらけだすのは無意味なのである。
しかし、この問題の深刻さを過大に評価することは不可能である。われわれの軍事力をかくも多くペルシア湾に張り付けておくような事態でなければ、われわれは、今日ただいま、朝鮮沖に航空母艦をならべ、在韓米軍の増派をしていたことだろう。
北朝鮮は、一つか二つの核爆弾を国のどこかに隠し持つならず者国家から、核兵器製造業にたずさわる国家へと移行しようとしている。しかも北朝鮮は手に入るものは何でも売るのである。ことは重大である。(略)
|
| 米に切るべきカードなし? |
ここで問題になるのは、われわれがほとんどきるべきカードを持たないことである。軍事的にみると、われわれはブラフをかける立場にすらない。ラムズフェルド国防長官は、職責上、われわれが二つの戦争を同時に戦う能力をもっていると言明した。しかし、不幸にして、そのような戦争能力は少なくとも10年以上まえに放棄されているのであって、北朝鮮はそのことを熟知している。さればこそ、かれらは、米国がイラクに気を取られている瞬間、その機会の窓を利用して、厚かましくも核武装に走りつつある。そのうえ、もしかりにわれわれがイラクに忙殺されていなかったとしても、北朝鮮にたいし何らかの軍事的措置を講じるについては、われわれは自己抑止をしているかもしれない。なるほど、われわれはヨンビョンの核再処理工場を爆撃しようとおもえば出来るだろう。だが、問題は、そのような爆撃では、かつて一九八一年にイスラエルがイラクのオシラク原子炉を攻撃したときのように、北朝鮮の核兵器製造能力をすべて破壊し尽くすことが出来ないだろうという点にある。(略)
核が考慮の対象でない場合ですら、われわれは北朝鮮の通常戦力によっても抑止されるだろう。イラクとは違って、北朝鮮は本格的な軍隊を保有しているのであって、百万人の兵員のほか、数千門の火砲を有し、その多くは洞穴に隠されており、またその多くがソウルを射程内におさめ、廃墟と化す能力をもっている。
|
| 中国、韓国は助けになるか? |
これはひょっとすると可能かもしれない。中国は北朝鮮のエネルギー需要のほとんどすべて、また食糧需要の40%を供給している。南朝鮮は北朝鮮にたいし相当程度の投資をおこなってきた。国際機関は大量の食料援助を提供している。くわえて、北朝鮮は数カ所しか大きな港湾をもっていない。こうした港湾は封鎖可能であろう。もし万一、中国と南朝鮮が北朝鮮を切り放すならば、北朝鮮は生存不可能となるかもしれない。
このシナリオの問題点は、南朝鮮と中国がそうした筋書きのとおりに演技をしようと欲しないところにある。(略)
中国はといえば、なお一層扱いにくい。中国は、生存に必要な物資の北朝鮮への提供拒否についいては、その意向を示さない。さらに不吉なことには、ワシントン・タイムズ紙ビル・ガーツ記者が報じたところによると、中国は、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出するさい使用される高度に特殊な化学薬品20トンを最近、北朝鮮に輸出している。
|
| ジャパン・カードこそ |
自分の手札がこんなにも弱いとき、さてどうするか。切り札をきろう。これまで名前を伏せてきたが、われわれには切り札が一枚、たしかにある。それは核武装日本である。日本は、核武装した北朝鮮を長期にわたりがまんすることができない。北朝鮮は、これまで一度、日本の頭越しにミサイルを発射したことがあるが、日本のいかなる都市をも核弾頭付き兵器で容易に攻撃することが出来るようになるだろう。日本はそのような脅威のもとで生きることを望んでいない。
われわれは、中国に出かけていって、もし中国がわれわれと連携して、北朝鮮を締め上げ、その核武装化への行進を阻止するのでなければ、われわれとしては、独自の核抑止力を創造するとの日本のいかなる試みをも支持するだろうーと端的に告げるべきである。
さらなる良策は、われわれが、米国核ミサイルを即時的かつ暫定的な抑止力として入手したいとする日本からの要請を共感をもって迎えることだろう。もしわれわれの悪夢が核武装北朝鮮であるとすると、中国のそれは核武装日本である。
これらの悪夢を共有すべき時がきている。
|
| |