| オバマ現政権のCTBT批准はムリ? |
| CTBT発効促進会議での米政府代表の演説 (11.9.23) |
|
ニューヨーク国連本部では、9月23日、第66回国連総会の合間をぬうようにして、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効促進会議が開催された。
米国政府代表としてエレン・タウシャー軍備管理・国際安全保障担当国務次官が行なった演説のほぼ全文を以下に紹介する。
オバマ大統領の来年11月の再選選挙をひかえて、彼の政権がCTBT批准すら持て余しているという核政策の実態を伝えている。小見出しは編集部。
* * *
アメリカ合衆国を代表してこの会議に出席することは、私にとって大いなる喜びである。2年前、クリントン国務長官がこの会議に出席し、アメリカの10年間にわたる欠席続きに終止符を打った。本日、私は、オバマ政権が軍備管理、不拡散、軍備縮小撤廃の分野においてこれまでに達成したもろもろの成果を誇りとしつつ、皆さんの前に立っている。
オバマ核政策の進行とCTBT批准
オバマ政権は、就任以来、新START条約の発効を達成し、改定版核態勢見直し報告を公刊し、さらに2010年NPT再検討会議での行動計画のコンセンサス採択に貢献した。
オバマ政権は、また、2010年核物質保全サミットを成功裏に開催し、脆弱な核物質の保全と再配置に寄与し、国際核燃料銀行の設立の努力を先導し、および不法核活動の防止のための効果的な多国間協力を強化した。
アメリカにとって、これは単なる始まりに過ぎない。我々の最優先課題の一つは包括的核実験禁止条約の批准および発効である。この条約は、オバマ大統領が2009年4月、プラハ演説のなかで打ち出したビジョン、すなわち核兵器のない世界の平和と安全に向けての不可欠な1歩である。
CTBTは、核兵器諸国を核兵器依存の削減と核軍備競争の低減の世界に向けて導いていくうえで、中心的な役割を果たす。核爆発実験の地球規模の禁止のもと、核兵器計画の追求または進展に関心を持つ諸国は、自らの兵器の有効性に確信を持てないまま配備するリスクを冒さねばならないか、あるいは、核爆発実験を強行することで国際的な糾弾や制裁にすら直面せねばならないことになる。
ひとたび発効したCTBTは、1国的および国際的な安全保障に役立つとともに、その他の軍備管理・不拡散の優先課題に関する国際協力の拡大を促進する。アメリカは1992年以降、核爆発実験のモラトリアムを遵守しており、我々の政策はこの条約の中心的禁止規定とすでに合致している。
上院不同意の2つの理由とそれへの対応
アメリカ上院がCTBT批准について助言と同意を与えなかった時いらい、12年の歳月が流れた。支持の欠如は二つの関心事から発していた。一つはこの条約の検証可能性であったし、もう一つは核爆発実験のない状況のもとでのアメリカの核抑止力の継続的な安全性と信頼性であった。
今日、この双方の事項に関しては劇的な発展が画されており、我々には条約批准を支持するいっそう確固たる言い分がある。
・検証可能性
条約の検証体制はこの10年間、まさに飛躍的に発展した。今日、「国際監視体制」(IMS)はほぼ85%完成しており、それが100%完成した際には、地球全体をカバーする形で計89ヵ国にIMS施設が設置されていることになる。全面的な発足に至れば、IMSを通じて収集された技術的データの総体がすべての締約国に利用可能となる。加えて、最近の福島原発災害を通じて、我々はすでに、津波警報および原子炉事故から発生した放射能の追跡など非検証関連目的についてのIMSの効用の劇的な証明を目の当たりにしている。
我々は、アメリカに条約上割り当てられたうちの34ヵ所の保証済みIMS監視所を運営・維持・管理するコストをすべて負担し続けてきた。我々は先月、CTBT検証体制の開発を加速する各種プロジェクトを支持するため、自発的に890万ドル相当の現物出資を発表した。今月、我々は、南インド洋クローゼー島の水中音響監視所を再建する資金保証として最大2550万ドルを拠出するとの覚書を暫定技術事務局との間で締結した。
合計すると、包括的核実験禁止条約機構へのアメリカの予算外拠出は今年度3440万ドルに達し、アメリカの年間通常分担金を上回ることになる。アメリカその他の諸国の厳しい予算事情を与件とすると、こうした拠出は、明らかにこの条約へのアメリカの持続的コミットメントおよびアメリカが検証体制の完成に付与している決定的な重要性を証明するものである。
・核抑止力
我々の核抑止力については、アメリカがこの15年間を通じて備蓄核管理計画(SSP)のもとで開発した広域査察方法と計算機モデル化によって、我々の核分野の専門家たちは、核爆発実験が行なわれていた時よりも、核兵器がいかに作動するかについて、また、機器類の加齢効果について、よりよく理解することが可能となった。アメリカは核爆発実験を行なうことなく安全かつ効果的な抑止力を維持することが可能となっている。
我々は、検証と備蓄核管理のこうした進歩を念頭に置きつつ、上院に対する説得活動を開始している。我々はこうした努力を「情報交換」と考えたいのであって、この条約を一度も扱ったことのない議員やスタッフが多いなかで、そうした事実を伝える作業を進めている。我々は、この条約が非常に技術的な協定であることを承知しており、その背後にある科学を人々が吸収し理解することを望んでいる。いま確たる時間枠は設定されておらず、我々としては我慢強く対処していく。しかし、我々はあくまで不屈にことを進めねばならない。
もちろん、我々は相手が「受信専用」モードであるとは考えていない。したがって、我々は討議を開始することを切望している。我々は、討議・討論を通じてのみ、この条約に関する疑問や不安を解きほぐし、最終的にその批准を実現することが可能になるであろう。
「CTBTは米国と世界の安全に役立つ」
アメリカはCTBTにコミットしている。我々はそれを発効させる意向である。しかし、我々が独力でそれを成し遂げることはできない。我々の批准過程を進むなかで、我々は、すべての国の政府に対して、実験せずとの彼ら自らのコミットメントを宣言しあるいは再確認することを要請する。つい数日前、155番目のCTBT批准国となったギニアに対して祝意を表明する。さらに、前回の会合以来、条約を批准したすべての国々、すなわちガーナ、中央アフリカ共和国、リベリア、トリニダード・トバゴ、マーシャル諸島、およびセントビンセントおよびグレナディーン諸島に対しても祝意を表明する。あなた方が示した模範は核爆発実験を永遠に終結させるとの目標を達成する過程に重要な弾みをつけるであろう。我々は第2付属書の残余の諸国が我々とともに批准に向かって前進することを要請する。
我々は、条約発効への今後の道のりが手短かでなく、容易でもないことを知っている。我々が前進するためには、上院とアメリカ国民の支持が必要となる。しかし、我々は前進する。なぜなら、我々はCTBTがアメリカの安全および世界の安全に役立つと知っているからである。ご清聴に感謝する。
【第2付属書】第2付属書は、条約第14条にもとづき、発効要件国として44ヵ国をリストアップしている。それらの国のなかで、アメリカをはじめイスラエル、エジプト、イラン、インド、パキスタン、インドネシア、中国および北朝鮮の計9ヵ国がまだ条約を批准していない。(編注)
|
| |
|