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 ●国連・世界の動き
 
ウィキリークス公表の公電「日米軍備管理・軍縮・不拡散・検証委員会」
  
米秘密電報が暴いた対米屈従の核外交
                   


 ウィキリークスが公開した米秘密電報から、米国の「核抑止」戦略に全面協力して日本国民の核兵器廃絶の要求に挑む日本外交の対米追随ぶりが赤裸々に暴露されました。
 問題の電報は、2007年11月8日、ルード米国務次官代行を迎えて外務省で開催された「日米軍備管理・軍縮・不拡散・検証委員会」という名の日米核協議に関する詳細な公電。当時外務省は「不拡散問題、核軍縮、通常兵器問題の全般にわたり、幅広い意見交換が行われた」とする程度の簡単な発表しか行なっていません。
 しかし、東京の米大使館がワシントンの国務長官やウィーンのIAEA(国際原子力機関)米代表部などに発信した報告電報によると、日本政府を代表し大使の資格で協議に臨んだ中根猛外務省軍縮不拡散・科学部長は、核軍縮よりも米国の「核抑止力」を重視するとくり返し強調し、日本国民の反核世論のために日米安保関係が傷つけられることがあってはならないと述べたことが記録されています。
 たとえば、同大使は「日本は米国の核抑止力に依存しており、米国の抑止力は国際社会の平和と安定で重要な役割を果たしている」と言明するとともに、「日本のメディアは軍縮に関する政府の行動を見守っており、日本の意図は日米の安全保障上の取り決めを気にとめないわけではないことを理解していただきたい」と弁明的発言をしています。
 この協議では、北朝鮮とイランの問題をはじめ世界の一連の核兵器問題について検討し、日米共同でとるべき対応方針をこまかく煮詰めました。そのさい、核兵器廃絶に向けた新たな動きも問題にしました。中根氏は、同年はじめのキッシンジャー元米国務長官ら米元高官4氏による「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙上の「核兵器のない世界」のアピールが国会で論議されたことに触れ、「日本国民の核兵器廃絶への熱意」に言及しました(4氏アピールの最初の国会論議は3月下旬の衆院外務委での笠井亮委員質問)。しかし、中根氏の発言には核兵器廃絶の実現に向けた日本政府としての立場の表明はいっさい見あたりません。
 それどころか、秘密電報によると中根氏は、「日本国民は核軍縮を強く望んでいるせいで時折意見が異なることになる場合もあるが、その違いによって日米両国の緊密な安全保障〔関係〕を傷つけさせるべきではない」と、国民の核兵器廃絶の願いよりも日米軍事同盟とその要の「核抑止力」を最重視することを米代表に確言しています。
 中根氏は、さらに国連での核論議をめぐる日本政府の基本的立場を説明し、「米国と日本は、国連総会で分岐する諸問題の討議を封じ込めて日米関係が妨害されないよう奮闘しなければならない」と述べて、「核抑止」の名による米国の核兵器固執政策への強まる国際的批判を阻止するための日米両政府共同の対応行動の重要性を強調しています。
 中根氏は現在、在ウィーン国際機関日本政府代表部大使ですが、ウィーンで前任者だった天野之弥氏は、現IAEA事務局長。その天野氏がエルバラダイ氏に代わってIAEA事務局長に選任された直後の米側関係者との懇談内容などが、別の複数の秘密電報(2009年10月16日在ウィーン国連機関米代表部発ほか)に詳細に記録されており、ウィキリークスの提供にもとづき英紙ガーディアンが報じました。
 それによると、天野氏はIAEA幹部の人事からイランの核兵器開発疑惑に至るすべての対応において、大事な戦略的決定では「断固米側に立つ」と確約したと記録されています。そうした天野IAEA事務局長の出現に、「10年に一度のチャンス到来」と記して相好を崩す米政府当局者の本心を打電した秘密電報もあります。