| 「モデル核兵器条約」――その主な内容 |
| (10.12.15) |
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『モデル核兵器条約=核兵器の開発、実験、生産、貯蔵、移転、使用、威嚇の禁止および同兵器の廃棄に関する条約(2007年4月)』のうちから「要約」部分を抄訳で紹介する。
この文書は、2010年核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会において、2007年5月1日付でコスタリカから作業文書として提出された。2010年再検討会議はこれを主要第1委員会の作業文書として受け入れている。
文書の表題および文書番号はつぎの通りである。
Model Nuclear Weapons Convention: Convention on the Prohibition of the
Development, Testing, Production, Stockpiling, Transfer, Use and Threat
of Use of Nuclear Weapons and on Their Elimination (NPT/CONF.2010/PC.1/WP.17)
条約は全体でA4判約70ページ。表紙には、1997年11月、国連総会第1委員会文書A/C.1/52/7として配布された「モデル核兵器条約」の改訂版である旨の記載がある。
『モデル核兵器条約』要約
一般的義務
モデル核兵器条約は核兵器の開発、実験、生産、貯蔵、移転、使用、威嚇を禁止する。核兵器を保有する国は段階的に自国の核軍備を破棄することを求められる。条約は、また、兵器に使用することが可能な核分裂性物質の生産を禁止し、および運搬手段を破棄するか、核使用不可能にするよう改変することを求める。
申告
この条約の締約国は自国が所有しあるいは管理するすべての核兵器、核物質、核施設、および核兵器運搬手段、ならびにそれらの所在地を申告することを求められる。
廃棄の段階
条約は核兵器の廃棄について、核兵器の緊急発進態勢の解除を初めとして、核兵器の配備の取りやめ、核弾頭の運搬手段からの取り外し、核弾頭の不能化、「ピット」の取り外しと解体、核分裂性物質の国際管理への移管をふくむ、5段階を設定する。初期段階においては、アメリカおよびロシアがそれぞれの核軍備の最も大幅な削減を求められる。
検証
検証は締約国の申告と報告、通常査察、抜き打ち査察、現場センサー、衛星写真、放射性核種サンプリングその他の遠隔センサー、他機関との情報共有、および市民の報告を含む。条約違反の疑いのある事実を報告した人物は、この条約のもと亡命の権利をふくめ保護を与えられる。
国際監視体制がこの条約の下での情報収集のために設置され、この情報の大部分を登記所を通じて利用可能とする。商業上の秘密または国家の安全を脅かす恐れのある情報は厳重に秘匿される。
国内の実施措置
締約国はこの条約の義務を履行するため必要な立法を含め国内措置を採用することを求められる。これには、罪を犯した者の訴追および条約違反を報告した者の保護のための条項が含まれる。
締約国は、また、条約履行の事業に責任を負う国内当局を設置することを求められる。
個人の権利および義務
条約は、国とともに個人および法人にたいし、権利を与え、義務を課す。個人は、条約違反を報告する義務を有し、およびかかる報告をした場合、保護を受ける権利を有する。条約の下で罪を犯したとの容疑をかけられた個人の逮捕および公正な裁判についての手続きが規定される。
機関
条約の実行のため機関が設置される。この機関は検証、遵守の確保、および決定に責任を負い、締約国会議、執行理事会、および技術事務局からなる。
核物質
条約は、プルトニウム(使用済み燃料に含まれるものを除く)および高濃縮ウランを含む、核兵器製造に直接的に利用できる核分裂性または核融合性物質の生産を禁止する。低濃縮ウランは原子力目的のものについては許可される。
協力、遵守、および係争解決
遵守およびその他の事案に関する解釈上の問題を明確にし、また解決するため、協議、協力および事実調査のための条文規定が含まれる。法的な紛争は、締約国の相互の同意にもとづいて、国際司法裁判所に付託される。機関は国連総会にたいし、法的な紛争に関して国際司法裁判所の勧告的意見を求めるよう勧奨することができる。
条約は、不遵守について、協議と説明、交渉、および、もしも必要があれば、制裁または国際連合の総会と安全保障理事会への行動の依頼など、一連の段階的な対応措置を規定する。
他の国際協定との関係
モデル核兵器条約は、核兵器不拡散条約、国際原子力機関保障措置、包括的核実験禁止条約機関の国際監視制度、およびロシアとアメリカの間の2国間協定を含む、現行の核軍備の不拡散・縮小撤廃のレジームおよび検証と遵守の取り決めを基礎とする。条約がかかるレジームおよび取り決めの機能と活動をさらに上積みする場合もありえよう。条約が追加的に補完する取り決めを定める場合もあるかもしれない。
財政
核兵器国は自国の核軍備の廃棄の費用を負担する義務を負う。しかし、この義務に対処するにあたり財政的困難を抱えるかもしれない国を支援するため、国際的な基金が設立される。
エネルギー支援に関する選択的議定書
条約は平和目的のための原子力の利用を禁止しない。しかし、条約は、かかる原子力を開発しないとか、既存の原子力計画を段階的に解消するとか、の道を選択する国に対するエネルギー支援の計画をたてる選択的議定書を含むものとする。
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