「日米核密約」問題をどうみるか
――新政権は「密約」の公表・破棄、「非核3原則」堅持を |
新原 昭治(国際問題研究者・非核の政府を求める会核問題調査専門委員) |
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先の総選挙で自民・公明政権は惨敗し、民主党を中心とする政権が誕生しました。選挙中、「核密約」が論戦で取り上げられ、鳩山由紀夫民主党代表は「日米核密約」について調査・公表する、「非核3原則」についても「(核持ち込みを)なくさないといけない」と明言しました。いまその誠実な実行を求めて、非核平和の世論と国民的運動を広げ、非核日本の取り組みをすすめることが重要になっています。
米解禁文書の調査などを通して「日米核密約」問題を追及してきた核問題専門家の新原昭治氏は、先ほど開かれた非核の政府を求める会核問題調査専門委員会で、「核密約」問題の報告を行い、「核密約」報道をどうみるか、「核密約」問題とは何か、「核持ち込み」は過去のことか等について語りました。次にその要旨を紹介します。(「非核の政府を求める会ニュース」編集部)
〈目次〉
1 今回の核密約報道をめぐる経過と特徴
2 新聞論評の流れと「核抑止」論者の蠢き
3 米核使用戦略を支えている日本の現状は放置できない重大問題
4 現状を根本的にあらためて文字通りの「非核日本」の実現を
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| [1]今回の核密約報道をめぐる経過と特徴 |
今年6月以降、わが国の通信社と新聞社が核密約問題で元外務省官僚の発言を引き出し、核持ち込みを認める核密約が存在してきたことを決定的に裏づける報道を行いました。核密約追及に関わってきた者として、歴史的な展開というのが率直な思いです。
1950年代半ば以来、米空母によるひそかな核持ち込みが慣習化され、陸上基地への恒久配備さえたくらまれました。軍事的植民地支配下の沖縄は歴然たる核攻撃基地にされました。
「ヒロシマ、ナガサキを繰り返すな」の願いを踏みにじる日米安保条約の帰結というべきものでした。その中核が核密約でした。
しかし、その密約の存在は次第に明らかになりました。非核の政府を求める会が発足した翌年の1987年には、私も参加した日本共産党訪米調査団がラスク国務長官の東京・米大使館宛て解禁極秘電報(66年)から核密約存在の証拠を初めて明るみに出しました。 ここまでくるのに、長い年月がかかったというのがいまの率直な気持です。
今回、元外務省関係者の証言が明るみに出たのは、重要なことです。
核密約の露呈は、日米安保条約堅持の政府が被爆国国民の非核の願いをふみにじって嘘をつき続け、米国の核使用戦略に協力してきた闇の犯罪史がついにあばかれたことを意味します。
この機に乗じて、右派の評論家や一部マスコミなどが核持ち込みを認めよと「非核2原則」を囃し立てているのを見て、国民に隠れひそかな核持ち込みを許してきた核密約の重大な犯罪性をタナ上げしていることに憤りを感じます。
同時に正確に認識してもらいたいのは、元外務省高官で密約を告白した人々すべてが「2原則」を言っているわけでないことです。
核密約の証言をした元外務事務次官の1人は、「(事実と違う答弁を続け)何か恥ずかしいなという思いがあった」と静かに語ったと、最初に証言を発掘した共同通信記事が書いていたことに私は注目しました。
核密約報道を契機に、元外務事務次官の1人村田氏を含む「非核2原則」論者の主張が繰り返されたため、核密約の存在確認後のいまの事態を後ろ向きの流れと見る向きもありますが、私はそう思いません。
2度と世界に核兵器の惨禍をもたらす行為に日本は加担しない、核兵器を日本に持ち込ませないとの政府の約束に重大な裏があったことを、ついに国民誰もが知ったことの意味は、きわめて大きなものがあると考えます。
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| [2]新聞論評の流れと「核抑止」論者の蠢き |
6月以来の核密約の証言報道は、地方紙への配信が中心の共同通信社が先手を切ったせいで、東京など大都市圏の人々には報道の全体像が伝わっていません。そこで、今回の発掘報道の流れを見ておきましょう。
主なものは、次の4点でした。
[A]日米核密約(秘密の「討論記録」)を外務省北米局・条約局で厳秘管理してきたとの4人の元外務事務次官の証言〔共同通信配信による6月1日付の地方紙各紙の報道〕。
[B]1977年の領海法で5海峡(津軽、宗谷、対馬東西両水道、大隅)を「3カイリ」に凍結した背景に核密約を政治問題化させない狙いがあったとの2人の元外務事務次官の証言〔共同通信配信による6月22日付の地方紙各紙〕。
[C]村田良平元外務事務次官の実名による核密約証言〔「西日本新聞」6・28とそれに続く各紙〕。
[D]外務省の条約局と北米局が日米核密約の英語原文をはじめ日米間の秘密文書・議事録等を厳重管理してきたとの元外務省条約局長の証言〔「毎日」7・11ならびに共同通信配信の地方紙各紙7・12〕。
証言報道にもとづく一般紙各紙の論説には、2つの傾向がありました。
注目すべきは、地方紙の多くが、核密約を批判するだけでなく、1歩進めて、わが国がとるべき非核外交の文脈にそった社論を掲げたという事実です。
その中からいくつか取り上げてみましょう。
□「被爆地の長崎、広島両市は毎年の平和宣言で、非核三原則の法制化を政府に求め続けている。密約の存在は、被爆地の願いを裏切るもので、看過できない」(「長崎」6・13)
□「日本は世界で唯一の被爆国である。本来なら核兵器廃絶の先頭に立たなくてはならない立場だ。なのに、米国の核の傘に防衛を依存する矛盾も抱えている。…核への問題意識を国民が広く共有するためにも、密約問題は徹底解明しなくてはならない」(「信濃毎日」7・1)
□「米オバマ大統領が核兵器廃絶を目指す決意を表明するなど、国際社会は核をめぐる大きな動きの中にある。…政府は歴史から目を背けてはならない。密約をめぐる虚偽に満ちた姿勢を改め、被爆国として一点の曇りもない非核三原則を内外に示すべき時が来た」(「愛媛」7・4)
□「『核兵器のない世界』へ国際世論が高まっている今、目指すのは非核三原則を法制化し、核廃絶を主導する道だろう。そのためにも、密約を交わした経緯や当時の国際情勢を検証した上で、『核の傘』が真に日本のためになるのかどうかを含め、非核政策の在り方について国民的な議論を深めたい」(「中国」7・15)
ほかにも、健筆をるった地方紙が少なくなかったのですが、紙面の都合で割愛しなければなりません。
これと対照的な「核の傘」強化論に打って出たのは、「読売」「産経」両紙の社説でした。
「米国の『核の傘』による抑止力を高めるには、有事の部隊運用の柔軟性が重要だ。タブーにとらわれない核論議が求められる」(「読売」7・1)、「過去を蒸し返すよりも現代の緊急課題に即した抑止論議を最優先してもらいたい」(「産経」7・3)に代表されます。
これらの新聞が推進強化を呼びかけた「核抑止力」依存の実質は、日本がアメリカの核使用戦略の出撃拠点になることを意味します。「核抑止力」の大前提は核兵器を使うことにあり「2原則」化はそのための基地推進論だからです。
わが国の原水爆禁止運動や平和運動は長年、「ヒロシマ・ナガサキを繰り返すな」との国民的悲願を掲げて運動し、国民多数の共感をかちえました。佐藤内閣が60年代末に「核兵器を持ち込ませず」など非核3原則を言いだし、「国是」と位置づけた最大の要因も、まさにそうした国民の圧倒的世論の広がりによるものでした。
日米安保条約によって米軍に恣意的な軍事的自由を保証した自民党政府は、核兵器持ち込みが始まった50年代以来の「核持ち込み」の事実を隠しながら、米軍の核兵器行動を含む軍事行動を保障してきました。
とくに小泉政権以降の自民党政権が、ブッシュ政権の「米軍再編」戦略に追随して、アメリカの戦争戦略に日本を直結させた状況下で、非核3原則の「核兵器を持ち込ませず」をやめて「2原則」にせよとの言説がおおっぴらに唱えられる状況がつくられました。
その動きで重大な新段階を画したのが、2007年5月1日の日米安保協議委員会(2プラス2)の共同発表文書でした。同文書は「米国の拡大抑止は、日本の防衛及び地域の安全保障を支える」と述べ、「拡大抑止」のための中核的戦力は「アメリカの核攻撃戦力と通常攻撃戦力」であると宣言しました。
日米両政府間で交わされた共同合意文書の中で、米軍の核攻撃戦力をこれほど露骨に賛美したものはありません。
「読売」「産経」の論説に代表される「核の傘」推進論は、こうした米核攻撃力加担を公然化した、日米軍事同盟強化のきな臭い流れに属するものです。これは、オバマ米大統領の「核兵器のない世界」の呼びかけでさらに大きく広がった核兵器廃絶への国際世論とそれへの被爆国日本の率先参加の国民的取り組みへの逆流にほかなりません。
こうした言論状況下で、さきほどの多くの地方紙の論説とともに、核密約証言報道の新局面をひらいた共同通信社の太田昌克編集委員の一連の評論記事に励まされました。
たとえば太田氏は、「『非核三原則』密約論議を悪用するな―見直し論は合理性なし」(7月23日)で次のように主張しました。
「次代のために真に平和で安全な国際秩序を構築したいのなら、今後の議論は核問題の『根本』に立ち返るべきだ。核密約論議を悪用する格好で『非核三原則』を『持ち込ませず』を外した『非核二原則』に変えてはならない。…核問題の『根本』とは、核兵器に自国の安全保障を依存してきた冷戦時代の発想を本質的に変えることだ。」「日本が核密約論議を突破口に、非核三原則を見直す合理性が一体どこにあるのか。自分たちの安心、安全を安易に核に求める思考様式から早く決別すべきだ」。
太田氏は『世界』九月号でも同趣旨の所論を展開しましたが、ジャーナリストの見識を見る思いがしました。
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| [3]米核使用戦略を支えている日本の現状は放置できない重大問題 |
核密約問題を今年、大きな政治問題として浮上させる上で重要な役割を果たしたのは、5月31日に共同通信が配信した4人の元外務事務次官による核密約証言でした。私は証言を読んだ時、まっさきに次のようなことを考えました。
――核持ち込みに関する密約は存在しないと言い続けた政府の答弁が、全くの虚言であったことが裏付けられた。複数の元外務事務次官の証言により、政府内における密約の極秘管理の実態や、密約に縛られた安保外交の内実が初めて明るみに出たことは重大だ。非核3原則を口にする唯一の被爆国政府の行為かとあきれ果てる。
――米核戦略上、核持ち込みは核使用戦略の前提行動だ。日本国内における米軍の核作戦行動をひそかに認めてきた政府は「ヒロシマ、ナガサキを繰り返すな」という国民的悲願を踏みにじっている。核密約から半世紀。米国追随でない非核平和の道を真剣に追求すべき時だ。
この私の感想は、外務次官証言報道の最初の記事の一環として共同通信によって配信されたものです。
それから半年近く経過。自民党支配の崩壊で鳩山政権が登場し、新政権は核密約の調査に着手しました。
この間の一般紙を中心とした論議で感じられる若干の特徴があります。
その1つは、核密約の本質は何か、日米政府はなんのために1960年に核密約を結んだかという、本質論の論議が不十分ではないかということです。
核密約は1951年米国から押しつけられた旧日米安保条約を、60年安保改定で「対等平等」になったと装うため新たに導入した事前協議を、実質的に骨抜きにする目的で結ばれた秘密取り決めでした。
「核持ち込みは事前協議の対象」と国民に大宣伝する一方で、実際には米軍の要求に忠実に従って、日本にやって来る核兵器を積んだ米艦船や米軍機を「事前協議の対象にしない」ことを約束し合った秘密協定です。60年1月6日マッカーサー米大使と藤山外相が調印した「討論記録」という名の密約の本質的内容はこの点にあります。
国民には核兵器持ち込みに関し事前に協議することになったかのように虚偽の宣伝をしながら、実際には日本を核兵器使用の拠点にすることを含めて米軍基地の事実上の自由使用にフリーパスを出したのです。
最近、ある全国紙が核密約とは主に「解釈のずれ」がなせるわざであるかのように解説しました。この説明は麻生政権下の総選挙中に外務事務次官が記者会見で述べた評価ときわめて似通っています。
国民の核持ち込み反対の強い世論と対米密約の鋭い対抗関係のさなかに立たされた政府当局者が、問題を曖昧な言葉で糊塗しようとしたことは少なくありません。しかし、核密約の本質を外交技術の過誤とすり替えさせてはなりません。
この点で核密約の全容が米解禁文書で判明した際、国会でこの問題の初の本格的質問をおこなった不破哲三氏の『日米核密約』(新日本出版社)は、今日の時点での必読文献です。同氏の鋭い解明に加えて、核密約全文を含む米解禁文書も貴重な資料です。
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今回の核密約の政治問題化のもとで、正確にしておきたいもう1つの問題は、「いまどき核密約といってももう実態がないではないか」という議論です。
ソ連崩壊時に核兵器の海外配備をはじめとする米核戦略が変わったことは事実です。その変化を正確に知ることが大事です。
現時点における米軍の核作戦行動とわが国の関係についての重要な事実を確認しておきましょう。
(A)世界の核兵器国でアメリカだけが海外への核配備を継続している
1990年代初めに米軍は戦術核兵器を海外から大幅に引き揚げ、空母をはじめ水上艦艇から核兵器をおろすなどの措置をとりました。
しかし、それはアメリカの海外核兵器配備政策の終わりを意味しませんでした。
いまもアメリカは、潜水艦戦力と航空戦力による緊急核投入作戦態勢を含めて、海外への核兵器配備政策を続けています。米軍は西ヨーロッパの数ヵ国で核爆弾の常時貯蔵を続けています。米海軍の戦略潜水艦はユーラシア大陸の沖合で核ミサイルを装備して四六時中、作戦行動を展開しています。
世界の核保有国の中で、外国への核持ち込みを続けているのはアメリカ1国だけになりました。
外国に核兵器を持ち込むことは、核使用戦略の重要な一環で、核兵器使用の危険に直結しています。最近、世界各国でこれを批判する世論が強まっています。いまも米空軍のB61核爆弾が常駐配備されているベルギーの国会では、核兵器持ち込み自体を禁止する動きが始まっています。
(B)日本国民を道連れにするアメリカの核使用態勢の危険
日本への核持ち込みにつながりかねない、いまの米核兵器海外配備の体制には次のものがあります。
@わが国に寄港をくり返している攻撃型原子力潜水艦(SSN)(年間約50〜60隻が横須賀、佐世保、沖縄・ホワイトビーチに寄港)に、米軍が必要と判断した時には、核弾頭付き巡航ミサイル「トマホーク」を積載して核攻撃態勢をとる方針が継続されている。
Aわが国周辺を含む世界の海で核弾頭発射準備態勢をとるトライデント戦略核潜水艦の作戦行動が継続しており、在日米軍基地が見えざる支援を行っている。
B米本国に根拠地を置く空軍の核積載可能な戦略核作戦機(B2、B52)や核攻撃任務をもつ戦術航空機部隊が緊急時にわが国に飛来する体制をとっている。
このように海と空からの核兵器使用態勢が、いまもわが国の米軍基地と関わりを持ち続けています。
1991年秋、ブッシュ(父)政権は海外からの戦術核兵器大幅引き揚げを発表したさい、「核兵器の存在を否定も肯定もしない」(NCND)政策を続けることを声明。その理由として「将来の危機にさいしふたたび核兵器を海外配備する可能性もあるからだ」と公言しました。
実際、いまも「核兵器の存在を否定も肯定もしない」政策は続いており、米核兵器海外配備政策の基本柱になっています。
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■攻撃型原子力潜水艦用の核巡航ミサイル「トマホーク」
攻撃型原潜に積む核巡航ミサイルについて、もう少し見ておきましょう。
米核専門家ハンス・クリステンセン氏は、米海軍が攻撃型原子力潜水艦に積み込むための陸上攻撃用巡航ミサイル「トマホーク」用核弾頭を、米西海岸ワシントン州バンゴール海軍核弾薬庫と米東海岸ジョージア州キングズ・ベイ核弾薬庫に各50発ずつ、合わせて100発配備していると指摘しています。それらの核ミサイルは、いつでも原潜に積載できる活性貯蔵の状態で配備されています。
わが国に寄港をくり返している攻撃型原子力潜水艦を含め太平洋水域に配備中の攻撃型原子力潜水艦の中には、核攻撃能力を持ちその認証を受けた原潜が10隻程度交じっていると、クリステンセン氏は指摘しています。これらの原潜が、「危機」などに際してひそかに核弾頭を積み込んで日本に寄港しているのではないかという疑惑があります。
米国防総省首脳は2003年末、海軍当局による核弾頭付き「トマホーク」の原潜配備取りやめの提案を却下。その理由として、同核ミサイルは「戦域内で反撃能力を長期にわたり維持しつづけ、しかも非常に秘匿したモードでおこないうる点にある」などの理由を指摘しました(米誌「インサイド・ザ・ネイビー」03年12月8日付)。
本年4月号の米核兵器専門誌「ブリティン・オブ・アトミック・サイエンティスツ」も、攻撃型原潜用の核弾頭付きトマホーク海洋発射巡航ミサイルについて、「NATOならびに北東アジアにおいて拡大抑止の支援をしている」と指摘しています。
最近問題になったことですが、この原潜用の核巡航ミサイルに関して、日本政府を代表した関係者が今年前半までの時期に、2013年以降の退役予定を手直しして、引き続き日本周辺など東アジア海域での同核ミサイルの作戦配備継続を米側に求めていたという、驚くべき事実が明らかになりました。
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| [4]現状を根本的に改めて、文字通りの「非核日本」の実現を |
以上見てきたように、わが国とその周辺を拠点とするアメリカ軍の核使用態勢は、依然として日本国民を核使用の道連れにする危険をつくりだしています。
「核の傘」とか「核抑止」などと表現されているものの実態は、核兵器使用態勢にほかなりません。
北朝鮮など近隣諸国との関係でも、日本が裏表のない非核政策を毅然と貫いてこそ、核兵器の廃絶に向けた説得力と真のアピール力を発揮できるでしょう。
一生を核兵器廃絶の実現のために捧げたノーベル平和賞受賞者の物理学者、故ジョセフ・ロートブラット博士は、「核抑止」論、「拡大抑止」政策の危険性を批判して、こう述べました。
「化学・生物兵器、さらには通常兵器による攻撃に対してさえ必要なら核兵器を使うという『拡大抑止』政策の追求は、核兵器の無期限の保有(または少なくとも全面完全軍縮までの間の保有)を意味するものだ。これが米国の現実の政策になっている」「核兵器の先制使用を意味する『拡大抑止』政策は、核兵器のない世界の実現にとってきわめて大きな障害になっていると考える。これが根本問題だ。もし核兵器が通常戦力による攻撃を抑止するのにさえ必要だと容認してしまったら、…そしてもし核兵器が米国にとってそのような目的のために必要であるならば、核兵器は弱小国にとっていっそう必要となる。かくて核兵器拡散が引き起こされるはずであり、核兵器がやがて戦闘においてほぼ確実に使用されることになろう」(2001年3月、パグウォッシュ会議での核兵器廃絶の課題を遠ざける議論への反論から)。
ロートブラット博士のこの「核抑止」依存政策批判は、今日の日本国民が見過ごすことのできない真実を語っています。
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私たちは、これまでの米核使用戦略への加担とそのために策定された核密約に明確に終止符を打ち、唯一の被爆国国民として「2度とヒロシマ・ナガサキを繰り返すな」の悲願にもとづいて「非核日本」の実現へと前進するか否かの岐路に立たされています。
国民をごまかして核持ち込みを許容する不法な密約を続けてきた国家的犯罪を徹底的に追及し、核兵器廃絶の実現と「非核日本」の実現に向けて進もうという呼びかけを全国に響かせて大いに国民的論議を起こそうではありませんか。
(2009・7・23非核の政府を求める会・核問題調査専門委員会で行った報告に加筆した)
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