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 ●政府への要請
 
核兵器禁止条約に参加し、被爆国にふさわしい役割果たせ
第76回国連総会に向けて日本政府に申し入れ
非核の政府を求める会 (2021.9.7)


 非核の政府を求める会は第76回国連総会を前にして9月7日、外務省を訪れ、日本政府が核兵器禁止条約に参加し、核兵器廃絶に向けて被爆国にふさわしい役割を果たすよう申し入れました。
 要請の内容は、日本政府が、▽核兵器禁止条約に署名・批准する立場を表明し、国連加盟国に条約参加を促す▽「核抑止力」依存を見直し、一日も早い核兵器禁止・廃絶を訴える決議案を提案する。一連の核兵器廃絶決議案に賛成票を投じる▽非核3原則を厳守し、「核密約」を破棄する――の3項目。
 申し入れには、岸田正博(僧侶)、野口邦和(元日本大学准教授)の両常任世話人と斎藤俊一事務室長が参加。笠井亮日本共産党衆院議員(会常任世話人)が同席しました。
 外務省からは國場幸之助外務大臣政務官らが応対。「要請をしっかり受け止めたい」「核兵器禁止条約について要請の多い1年だった。日本国民の8、9割が核兵器廃絶を支持しているのはまちがいない」と応じながら、「核兵器廃絶のためにはいかに核保有国を巻き込んでいくかが大事で、日本外交のいちばんむずかしいところ」などとして、米国など核保有国への同調第一の姿勢に拘泥しました。
 会の代表は、「年明けの核不拡散条約再検討会議、核兵器禁止条約締約国会議を前に、日本政府は被爆国として最小限、核禁条約参加を表明すべき」「抑止力政策に立つ限り核廃絶は未来永劫できない。抑止力論から脱却すべきだ」と重ねて強く求めました。
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【第76回国連総会に向けての日本政府への申し入れ】(全文)
 第76回国連総会が、まもなくニューヨークの国連本部で幕を開けます。今年の国連総会は、人類史上初めて核兵器を違法化した核兵器禁止条約(TPNW)発効後、最初の総会であり、年明け1月の核不拡散条約(NPT)第10回再検討会議、3月のTPNW第1回締約国会議に連動する総会として、「核兵器なき世界」の早期達成を願う内外の大きな期待と注目のなかで開かれます。昨年の国連総会では、各国に同条約参加を促す決議が条約採択時を上回る130ヵ国の賛成で採択されて核兵器なくせ≠フ機運の広がりを強く印象づけました。
 当会は、第76回国連総会にあたり、貴職が、唯一の戦争被爆国であり憲法9条を持つ国の政府にふさわしく積極的役割を果たされるよう要請するものです。
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 TPNWの発効により、国際社会は核兵器は非人道的で違法≠ニする新しい時代に入りました。貴職はこれまで、当会の申し入れに際して(核兵器の)非人道性について我が国が国際社会をリードしていく≠ニ表明してきました。TPNWは、被爆者の長年にわたる被爆体験の訴えの上に、「核兵器使用は制御不能な破壊力と破滅的な非人道的結果をもたらす」「核兵器がいかなる状況下でも二度と使用されない唯一の保証はその完全な廃棄しかない」とする人道的見地が国際社会の合意となり、実を結んだものです。世論を牽引した被爆者は今年、平均年齢が84歳になろうとしています。貴職は、仮にも核兵器の非人道性について国際社会をリードする≠ニ言うからには、「私たちが生きているうちに核兵器をなくしてほしい」との被爆者の訴えに真摯に向き合うべきでしょう。今年8月の「原爆の日」に、広島・長崎両市の市長も被爆者も核兵器の非人道性を告発し、日本政府にTPNWへの参加を求めました。しかし貴職は、TPNWが発効した年の「原爆の日」だというのに、TPNWにまったく言及しませんでした。被爆国政府にあるまじき対応というほかありません。被爆者代表が突きつける「いったいどこの政府か!」との叫びを、貴職はいまこそ正面から誠実に受け止めるべきです。
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 貴職は、TPNWに「署名する考えはない」と明言し、その理由として「(TPNWは)安全保障環境を考慮していない。米国の核抑止力は必要」「『核なき世界』の目標は共有するがアプローチが違う」などと述べてきました。そもそも貴職は、TPNWによって確立した「核兵器は違法」とする国際規範≠サのものも否定するのでしょうか。
 また、「米国の核抑止力は必要」との政策について言えば、「核兵器で安全は守れない」「核兵器の存在そのものが人類の最大の脅威」とする見地こそ、今日、国際社会の大勢ではありませんか。「敵国」とされる双方の国民を核攻撃の恫喝と脅威、核破滅の危険のもとにおき続ける「核抑止」の非人道的な実態を直視すべきです。核兵器のない世界の展望を示しえず、核兵器保有を永遠に正当化する「核抑止論」は、きっぱり脱却すべきです。
 「アプローチが違う」との主張も世間に通用する話ではありません。仮にアプローチが違っても、核兵器禁止・廃絶の目標で一致するなら、他のアプローチを拒むのではなく、受容し、連携することこそ、政治の正道であるはずです。現に国連総会では、多様な核兵器廃絶諸決議が圧倒的多数の国々によって支持、採択されているではありませんか。NPT再検討会議では、核兵器禁止条約づくりの意義について、核保有国や貴職を含めて合意しているではありませんか。にもかかわらず貴職がTPNW参加を拒み続けるのであれば、日本政府の掲げる「核兵器廃絶」は核兵器固執姿勢を隠すだけ∞孤立する核保有国への助け船≠ニの誹りを免れないことになります。
 TPNWは本来、日本政府こそ双手を挙げて支持すべきです。国民の意思は明白です。世論調査では、7割余の国民が日本政府の条約参加を望んでいます。核兵器禁止条約への参加を日本政府に求める地方議会の意見書・決議の採択もすでに全自治体の3分の1にあたる570余議会に上ります。日本がTPNWの参加に踏み出せば、他の「核の傘」依存国の政府にも国民世論にも確かな影響を及ぼし、核兵器禁止・廃絶の世界の流れを大きく鼓舞するにちがいありません。
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 当会は、こうした立場から、第76回国連総会にあたり、次の通り、貴職に強く要請いたします。

【要 請 項 目】 
○核兵器禁止条約に署名・批准する立場を国際社会に表明すること。すべての国連加盟国 に条約参加を促すこと。
 ○核兵器容認の「核抑止力」、および核兵器廃絶先送りの「ステップ・バイ・ステップ」 論を見直し、一日も早い核兵器禁止・廃絶を訴える決議案を提案すること。核兵器廃絶 を求める一連の諸決議に賛成票を投じること。
 ○非核三原則を厳守し、日米「核密約」を破棄すること。       以上
 2021年9月7日

内閣総理大臣 菅義偉殿
外務大臣 茂木敏充殿
            
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