米側でも目立ち始めた辺野古新基地完成を疑問視する見方
――それでも辺野古基地建設一点張りの菅政権の異常
竹下 岳・「しんぶん赤旗」政治部記者 |
| (2021.5.15) |
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4月16日、菅義偉首相とバイデン米大統領による初めての日米首脳会談が開かれました。「対中国」を念頭に、「日米同盟の一層の強化」を確認した共同声明では、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設についても、普天間基地(同県宜野湾市)の固定化を回避するための「唯一の解決策」であると明記し、辺野古に固執する従来の方針を確認しました。
しかし、沖縄県内では2014年、18年と2度にわたって新基地に反対する「オール沖縄」県政が誕生し、19年の県民投票で7割以上が新基地に反対の意思を示しました。さらに同年には埋め立て区域の大半を占める大浦湾側に軟弱地盤の存在が発覚。工期が「2022年度」から2030年代まで伸び、費用も3500億円から9300億円に膨張しました。これも少なく見積もった数字で、沖縄県は2兆5500億円以上と試算しています。
▼沖縄県・県議会は繰り返し訪米し訴え
沖縄県や県議会は繰り返し訪米し、辺野古をめぐる民意や環境への影響、軟弱地盤の問題などを米政府や議会に粘り強く伝えてきました。こうした取り組みの効果が徐々にあらわれ、米議会や政府機関、シンクタンクなどで、辺野古新基地の完成を疑問視する見方が目立ち始めました。
2020年6月23日、米下院軍事委員会・即応力小委員会は、21年度国防権限法案をめぐる審議で、辺野古新基地建設に関する条項を可決しました。この中で、軟弱地盤の存在が明らかになっている埋め立て予定地北側の大浦湾に関して、「海底での地震の可能性および不安定性に対する懸念が高まってきた」と指摘。「2本の活断層と50bの沈下が建設予定地近くに存在することに留意する」と述べています。加えて、「地質学者らがこの開発計画の推進を困難にする問題を特定したものと認識している」と断定し、米国防総省に地盤の状況などに関する報告書の提出を要求しました(同条項は最終的に削除)。
続く20年11月16日、保守系シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が公表した報告書「2021会計年度の米軍――海兵隊」で、「普天間基地の辺野古移設計画は、完成が2030年まで延期され、工費が高騰しており、困難に直面し続けている」としたうえで、「(辺野古新基地が)完成することはおそらくないように思われる」と述べています。外務省が毎年資金を提供し、日本に都合のいい見解をしばしば発表してきたCSISが、辺野古新基地に公然と疑問を表明したことは注目に値します。この報告書の筆者は、今年3月18日付で公表した報告書にも、同様の見解を示しています。
▼バイデン政権発足後も相次ぐ疑問の声
バイデン政権が発足した今年に入っても、疑問の声が相次いでいます。
3月17日、米政府監査院(GAO)が公表した米軍駐留経費に関する報告書で、辺野古新基地は当初2014年に完成するとしながら「著しい遅れが生じている」と指摘。「地元の反対にさらされ、環境面でも複雑な問題が起こっている」との、日本政府と防衛省関係者の見方を紹介しています。さらに、「沖縄のような地元の反対が強い場所での米軍の駐留は政治的に持続可能ではない」との専門家の意見にふれました。
さらに、米議会調査局(CRS)が2月2日付で公表した、日米関係に関する報告書でも、「沖縄の米海兵隊基地移転のための長期間にわたる取り組みは、引き続き困難に直面している」として、玉城デニー知事が新基地反対を公約して当選したことや19年2月の県民投票で新基地反対が72%に達したことをあげています。CRSは4月6日に公表した報告書でも、沖縄県民が新基地に反対する知事を相次いで選んだことをあげたうえで、「基地の沖合に向かった滑走路の建設の物理的な困難性」に言及しました。
CRSは以前から、沖縄県民の「民意」を理由として辺野古新基地建設に疑問を表明してきましたが、4月6日付報告書にあるように、最近は軟弱地盤などの物理的な困難性に着目しているのが大きな特徴です。
これだけ工期が遅れ、完成するのかどうかもわからない基地に日米両政府が固執するのは、戦略的理由というより、思考停止でしかありません。「辺野古は不可能」という国内外の世論をさらに広げていくことが求められます。
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