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 ●政府への要請
 
菅政権と沖縄・辺野古新基地建設問題
仲山 忠克(弁護士・非核の政府を求める沖縄の会)
(2020.10.15)

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 1 強権的な菅政権の誕生

 7年8ヵ月にわたる安倍政権が終わった。立憲主義を破壊し、日米軍事同盟の深化を背景とした戦争する国づくりに邁進し、新自由主義経済政策によって格差と貧困の拡大固定化を招来させた政権の終焉である。
 右翼的で反民主的政治を特徴とするその政権は、強権と政治の私物化に支えられて存続していた。安倍首相によるシナリオを強権的な手法でもって演出したのが菅官房長官であった。両者の形影相伴う政権のあり様は、後続が菅政権であってみれば「安倍政権の継承」を高唱することは至極当然である。
 安倍政権は終焉しても、安倍政治は終焉せず、より強権的に存続することは疑いない。「スガ政治を許さない!」へのスローガンの継承が不可欠である。
 菅政権の強権的体質は、早速、学術会議の会員候補者6氏の任命拒否によって発揮された。多様な学術的知性を嫌悪する不寛容性は、思想統制の一環で独裁政治への序曲である。

 2 菅政権と沖縄県民との対決の構図

 菅政権は沖縄問題にどう対応するであろうか。沖縄基地負担軽減担当相を兼ねた官房長官時代の言動にその答えは見いだせる。
 辺野古新基地建設につき、「日米合意の辺野古が唯一というのが私のすべて」と断言し、幾多の選挙や県民投票で示された「辺野古ノー」の民意を踏みにじり、埋め立て工事を強行する。辺野古ゲート前の抗議行動や東村高江のヘリパッド新設反対闘争を弾圧するため、全国から機動隊を動員する。新基地建設と本来無関係な沖縄振興策をリンクさせ、「工事が進まなければ予算減額は当然」と脅す。新基地反対の名護市や沖縄県を通さず、地元行政区に直接補助金を交付する制度、市町村に直接交付する特定事業推進費の制度を各創設して、アメとムチの分断策を強制する。新基地建設の正当性欠如を自認するかのような強攻策の連続である。
 このような強権的手法は、菅政権ではより鮮明な形で沖縄を強襲するであろう。安倍政権下で言われた「官邸対沖縄県民との対決」の構図はより激化する。

 3 新基地建設工事の現状と問題点

 建設工事は現在、キャンプシュワブ南側の浅瀬海域で、2つの工区内で埋め立て工事が進行中であるが、同工事が完成しても埋め立て全域の4分の1である。2018年12月に開始された同工事は6ヵ月で終了する計画であったが、3年4ヵ月を経過した時点での土砂投入量は必要量の約5割にすぎない。大幅な遅延は県民の必死の抵抗の成果である。
 埋め立て区域の大部分を占める大浦湾側は、海面下70メートルの海底に、一部は90メートルに達する海底に、広範囲にわたる超軟弱地盤の存在が確認され、工事はほとんど手つかずの状態にある。政府は地盤改良工事のために、沖縄県知事宛に設計変更承認申請を行ったが、それによれば工期は承認後完成まで12年、工事費用は9300億円である。現在、その審査中で、承認・不承認の決定権限は知事にある。
 地盤改良工事は、7万本以上の砂杭を海底に打ち込む工法によるが、多岐にわたる問題点の中でも最大のものは、改良工事は水深70メートルまでしかなされず、それ以上の水深部分は技術的に困難で事実上放置されることである。その上部に設置される護岸は震度1以上の地震で崩壊し、震度2以上で大浦湾側の護岸の大部分は崩壊の危険性があると、専門家は警告する。「膨大な税金を使って、ただ大浦湾の自然が破壊される結果だけが残される」(立石雅昭新潟大名誉教授)。
 改良工事は技術的観点に照らして、公有水面埋立法でいう「環境保全及び災害防止に十分配慮」するとの承認要件を欠くもので、玉城知事が承認することはありえない。知事の不承認が確定すれば、新基地建設は法的にも不可能で頓挫せざるをえない。不承認に対して、菅政権が法的手段で対抗することは必至である。

 4 国民の連帯で新基地建設阻止を!

 辺野古新基地は安保条約にもとづく米軍への提供施設である。わが国の安全保障は安保条約を基盤とする日米軍事同盟体制を根幹とし、米軍基地の集中する沖縄はその拠点である。新基地を含む在沖米軍基地は、この体制の中で検証されなければならない全国的課題である。
 沖縄基地集中の解消を目論む視点からの県外移設論や本土での基地引き取り論は、軍事基地の存在を容認する前提の立論であり、問題の矮小化と本質の隠蔽化につながりかねない危険性を内包している。要は、日米軍事同盟の軍事力に依拠した安全保障の存続か、憲法原理にもとづく武力によらない安全保障の構築かが、全国民に鋭く問われている。
 戦争する国造りを阻止するためには、軍事力から脱却した憲法原理にもとづく安全保障体制の確立が求められている。辺野古新基地建設阻止闘争もその観点が肝要である。
 さらに「日本のあらゆる問題が集約されている」(青木理氏)辺野古は、わが国の民主主義と地方自治の真価が発揮される場であり、それらの力強さを全国民の連帯で証明する場でもある。辺野古漁港付近に設置されたテントでの座り込みは去る9月21日で6000日を経過した。その入口の看板には「勝つ方法はあきらめないこと」との文言が輝いている。

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