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 ●政府への要請
 
「再処理工場の適合性審査を批判する」のテーマで論議
非核政府の会核問題調査専門委員会 (2020.6.5)


非核の政府を求める会核問題調査専門委員会の例会が6月5日、オンラインで開かれ、「再処理工場の適合性審査を批判する」のテーマで舘野淳・元中央大学教授が報告し、論議しました。舘野さんの報告要旨を紹介します。

【使用済み燃料およびプルトニウムの現状】
〈再処理工場の役割〉
 再処理工場では、原料として使用済み燃料を入れ、製品としてプルトニウム、高レベルの廃棄物、燃え残りのウランの3つが出てきます。再処理工場の使用済み燃料は、六ヶ所工場で年間約800トンです。使用済み燃料がどのくらい発生するかというと、100万キロワットの原発を1年間運転すると、BWRで年間24トン、PWRで18トンですから、50基動かしているとすると、1000〜1200トンになります。
 プルトニウムは使用済み燃料のなかに1%ぐらい入っているので年間10〜12トン、高レベル廃棄物はガラス固化体が年間1300〜1600本になります。
 使用済み燃料は、各地の使用済み燃料の貯蔵施設がほぼ一杯になっていて、あと何年持つかという状況です。
〈海外再処理〉
 日本の原発から出てきた使用済み燃料の一部は、すでに海外の工場に再処理を委託しています。軽水炉については日本原子力発電が英国のBNFL、関西電力はフランスのCOGEMAと契約を結んでいる。ガス炉については日本原子力発電がBNFLと契約を結んでいます。
〈プルトニウム保管状況〉
 日本のプルトニウムの保管状況ですが、2017年は国内で10・5トン、英国の再処理工場に21・2トン、仏国に15・5トン、合計で47〜45トンのプルトニウムを持っているということです。

【再処理工場とは】
 ▽最初に、使用済み燃料を「受入れ・貯蔵建屋」に入れて、プールで冷却貯蔵しておく。4〜5年冷却して放射能のアクティビティが減ったところで次の「前処理建屋」に持って行き剪断する。この建屋で放射性物質を高濃度の硝酸で溶かしてしまう。
 ▽次に「分離建屋」で核分裂生成物(FP)とウランとプルトニウムを分離する。FPは高レベル廃棄物になるので、ガラス固化体として取り出す。残りは硝酸に溶けたウランとプルトニウム。pH濃度を調整することによってウランとプルトニウムに分離する。
 ▽次が「精製建屋」で、溶媒抽出法で不純物(FP)を取り除いて、純粋なウランとプルトニウムにする。日米原子力協定でプルトニウムを単独では取り出せないので、混合酸化物として取り出す。
 こういう流れなので、再処理工場というのは純粋にケミカルプラントです。
〈高レベル廃棄物〉
 高レベル廃棄物は、海外再処理したフランスから1310本返還が完了し、英国からは850本の変換が始まっている。六ヶ所再処理工場が稼働すると、年間1000本のガラス固化体ができます。
 旧動燃が1999年、地層処分が合理的だとして技術的に検討した「2000年レポート」を出し、それにもとづいて、NUMO(原子力発電環境整備機構)ができて地層処分をやることになっていますが、立候補地が出てこなくて行き詰まっています。

【適合性審査の問題点】
〈化学プラントとしての再処理工場の危険性〉
 次に、再処理工場の危険性についてです。
 ・臨界事故が発生する。
 ・崩壊熱によって蒸発乾固による放射性ガスが発生する。
 ・水素ガスが発生するので水素爆発の危険がある。
 ・有機溶媒が火災を起こしたり爆発したりする。
 ・TBP錯体からレッドオイルができ、それによる爆発事故の危険がある。
 ・放射性溶液の漏洩。
 もう一つ重要なことは、六ヶ所再処理工場は規制基準に従って耐震強化とか安全装置を追加したと言っているが、建屋は放射性物質で汚染しているので、十分な改造はほとんど不可能ではないか。
〈どういう事故が起こるか〉
 原発の場合は「確率論的安全評価」にもとづいて重大事故を選定している。しかし、再処理工場は、世界に若干数しかないので、確率論的な安全評価なんてできない。事故の影響の大きさと事故の進行する早さという2つをパラメーターにして、重要な事故を選定することになっている。
〈臨界事故〉
 臨界事故が起こった場合、日本原電のやり方は、人が上から操作して、中性子吸収材(ホウ素の化合物)を入れて臨界反応を終わらせることになっていた。それを自動化したと言っています。
〈冷却機能の喪失による蒸発乾固〉
 これはしょっちゅう起こる可能性がある。対策は、中に水を入れればいいわけですが、水をどのように入れるかとか、ガスが発生したときにフィルターを通して外に出すなどの改善をしたと言っています。
〈水素爆発〉
放射線分解により発生する水素による爆発は、まず水素を追い出すために中に窒素などを吹き込む。
〈TBPの混入による急激な分解反応〉
 TBPの錯イオン、複雑な化合物ができて、放射線がいっぱい出ていますから化学反応もどんどん進む。するとレッドオイルができて爆発する。ソ連のトムスク-7で起こった爆発の原因ではないかと言われています。
〈再処理工場の事故例〉
▽火災爆発事故
 1957年、「ウラルの核惨事」。これはマヤーク・コンビナート貯蔵タンクの事故。温度が上がって硝酸化合物が爆発、放射能を放出し、1万人が避難。/1973年、ウインズケール。有機溶媒に引火し、ルテニウムを放出。/1993年、トムスク-7のレッドオイル爆発。福島事故と同規模の放射能を放出。/1997年、旧動燃の東海再処理工場アスファルト固化施設火災爆発事故。
▽臨界事故
 再処理工場の臨界事故例としては、初期の核兵器開発時に多くあります。
 1958年、ロスアラモス国立研究所プルトニウム回収施設で、有機層の厚さが撹拌により臨界厚さを越えた。/1964年、ユニオン・ニュークレア社ウッドリバーウラン回収施設で、誤操作による液体の移送による臨界事故。/1970年、ウインズケール・プルトニウム回収施設で、2層のバランスが崩れて臨界事故。/1978年、アイダホの化学処理工場で、2層中の濃度が変化したことによる臨界事故。
▽放射能放出・漏洩事故
 1973年、ハンフォード国立研究所の放射性廃棄物の大規模流出事故。超ウラン元素などを放っておいてそれが地中に漏れた/2005年、イギリスのソープ再処理工場で長期にわたり廃液が漏れていた。

 以上、再処理工場を運転することがいかに大変かということです。再処理工場を稼働させる理由はないはずです。政府がどういう決定を下すのか、注視する必要があります。