核兵器廃絶へ被爆国の役割発揮を
非核政府の会 第9回NPT再検討会議に向けて日本政府に申し入れ
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| 非核政府の会 |
| (2015.04.14) |
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4月27日から核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれるのを前に、非核の政府を求める会は4月14日、外務省を訪れ、日本政府が核兵器廃絶のために積極的役割を果たすよう要請しました。増田善信(気象学者)、駒場忠親(日本自治体労働組合総連合顧問)、長尾ゆり(全国労働組合総連合副議長)の各常任世話人と斎藤俊一事務室長が参加。井上哲士日本共産党参議院議員が同席しました。

外務省からは宇都隆史外務大臣政務官らが応対しました。
要請の内容は、▽「核兵器全面禁止条約のための速やかな交渉開始」の合意形成に向けて、各国政府に働きかけること▽オーストリア政府が提唱した「オーストリアの誓い」について、賛同を表明すること。被爆国政府として広島・長崎の被爆の実相、核兵器の非人道性を広く国際社会に発信すること▽核兵器の存在と使用を是認する「核抑止力」依存をやめ、アメリカの「核の傘」から脱却すること。「非核3原則」厳守を国際社会に明言し、「日米核密約」を破棄すること、など3項目(要請文の全文別掲)。
宇都政務官は申し入れに対し、「被爆70年であり、NPT再検討会議が核兵器廃絶への有益な合意形成の出発点となるよう努力したい」としつつ、核兵器全面禁止条約については「核保有国と非核保有国のコンセンサスづくりが重要。ステップ・バイ・ステップが大事だ」と発言。「核抑止力」依存についても「わが国の安全保障環境を考えると、(「核の傘」脱却は)いまは現実的でない」などと従来の政府見解の表明にとどまりました。
会代表は、「日本政府は核兵器の非人道性を告発する世界の先頭に立つべき」「核抑止力依存の姿勢を正面から見直し克服すべき」と、政府の積極的な役割発揮を重ねて求めました。 |
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【日本政府への申し入れ・全文】
第9回核不拡散条約(NPT)再検討会議が、まもなくニューヨークで始まります。前回(2010年)再検討会議で、核保有国を含む全締約国は、「核兵器のない世界の平和と安全」の達成を国際社会の「目標」として確認し、そのための法的・時間的「枠組み」づくりに努力することに合意しました。今回の再検討会議は、この「核兵器廃絶合意」の履行状況を点検し、核兵器廃絶への明確な道筋をつける場となるかどうかが焦点となります。
今日、核兵器廃絶を求める流れが世界の大勢であることは、核保有国も否定できない国際政治の現実です。この5年間、国連と各国政府は一連の国際政治の舞台を通して、核兵器廃絶条約の速やかな交渉の必要性を一貫して訴えてきました。核兵器廃絶のための包括的条約の早期締結を求める「国連総会ハイレベル会合」や、核兵器使用による人道上の壊滅的影響を指摘し、いかなる場合の核兵器使用も許されないとする「核兵器の人道上の影響に関する国際会議」の相次ぐ開催など、局面打開に向けた意欲的なイニシアチブが発揮されたことも注目されます。今再検討会議のための準備委員会で、2010年「合意」の履行を怠る核保有国と核兵器依存国に対し、その責任を問う声が厳しさを増していることも、この間の特徴的な変化です。
被爆70年の節目となる今年、核兵器廃絶のために、日本政府が担うべき役割は被爆国であるがゆえの格段に重いものがあります。このとき、日本政府の中から核兵器の使用を容認するがごとき発言がなされ、オーストリア政府が各国政府に送付した「オーストリアの誓い」への賛同を拒否するなどの対応は、被爆国政府にあるまじきものと言わざるをえません。
私たちは、こうした認識に立って、今回の再検討会議開催にあたり、日本政府がぜひとも、同会合を、速やかな核兵器廃絶への具体的で有益な合意形成の出発点とすべく、積極的な役割を発揮されるよう、以下、申し入れるものです。
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(1)「核兵器全面禁止条約のための速やかな交渉開始」の合意形成に向けて各国政府に働きかけること。
――「一日も早い核兵器の廃絶」は、被爆者はじめ日本国民の悲願であるばかりか、国際社会の共通の願いです。米ロの核不拡散・核テロ防止の国際会議や、日本政府の軍縮・不拡散イニシアチブ等の諸措置も、核兵器は「いかなる環境のもとにおいてもけっして二度と使用されないことは人類生存の利益」との認識に立ち、核兵器全面禁止条約締結の目標と結んでこそ、真に意義あるものとなります。またこの立場から、従来の「ステップ・バイ・ステップ」方針を転換して、速やかな廃絶交渉のために尽力すべきです。
(2)オーストリア政府が提唱した「オーストリアの誓い」に賛同を表明すること。被爆国政府として広島・長崎の被爆の実相、核兵器の非人道性を広く国際社会に発信すること。
――報道によると、日本政府は、オーストリア政府が昨年暮れの「核兵器の人道的影響に関するウィーン会議」で発表し、各国政府等に賛同を呼びかけた「オーストリアの誓い」への賛同に応じないとされます。そうであるなら、前国連総会で同趣旨の「共同声明」に賛同した日本政府の姿勢の真意を問われることになりかねません。世界の誰よりも核被害の残虐性、非人道性を知るはずの日本政府は、「オーストリアの誓い」をすすんで支持し、その賛同拡大に積極的な役割を果たすべきです。
(3)核兵器の存在と使用を是認する「核抑止力」依存をやめ、アメリカの「核の傘」から脱却すること。わが国が将来にわたって「非核3原則」を厳守することを国際社会に明言すること。「日米核密約」の存在をはっきり認め、これを破棄すること。
――核保有国が「核抑止力」論に立ち続けるかぎり、核兵器も、新たな核拡散もなくなりません。自らは米国の「核の傘」に依存しながら、他国に核兵器不保持を訴えるやり方が、国際社会で道理も説得力も持ちえないことは明白です。また、「非核3原則」を厳守するうえで、「日米核密約」の破棄は急務です。 |
2015年4月14日
非核の政府を求める会
常任世話人会
内閣総理大臣 安倍晋三殿
外務大臣 岸田文雄殿 |