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 ●政府への要請
 
被爆国にふさわしい役割発揮を
  第63回国連総会に向けて政府に申し入れ
2008年9月16日

 非核の政府を求める会は9月16日、外務省を訪れ、第63回国連総会に向けて、日本政府が核兵器廃絶のために積極的役割を果たすよう要請しました。
 駒場忠親(自治労連顧問)、今野宏(物理学者)、増田善信(気象学者)の各常任世話人、斎藤俊一事務室長が参加。日本共産党の笠井亮衆議院議員(常任世話人)が同席しました。外務省からは柴山昌彦外務大臣政務官らが応対しました。
 増田氏が、「核兵器のない世界」を求める声が核保有国の支配層の間にも広がりつつあるいま、2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議を核兵器廃絶への転機とするうえで今国連総会の意義は重要と指摘。(1)国連総会が核兵器廃絶条約の締結にむけた交渉開始決議をあげるなど具体的道筋をつける場となるよう役割発揮を(2)核保有国に対し2010年NPT会議を核兵器廃絶合意の再確認・実行加速への転機とするよう強く求める(3)「非核3原則」厳守を世界に表明、法制化推進──を要請しました。
 柴山政務官は、「申し入れは重く受け止める。(核兵器廃絶の)時計の針を逆戻りさせないよう各国に訴える資格が日本にはある」と述べる一方、核兵器廃絶については、「核保有国が受け入れられるプロセスが大事」との政府見解の表明にとどまりました。
 会代表は、「核兵器の廃絶を正面から訴える動きが世界に広がっている意味は重要。国連総会が新たな転換点となるよう、日本政府は行動すべき」と重ねて求めました。


日本政府への要請(全文)

 広島、長崎の被爆から63年、すでに2世代が育つほどの時が流れました。被爆者は平均年齢が75歳を超えましたが、いまも「あの日」のつらい記憶に胸をうずかせ、放射能による後障害に苦しみ続けています。「私たちの生きている間に核兵器をなくしてほしい」との被爆者の願いは、同時に、戦後日本の原点、出発点であったはずです。日本政府はいまこそ、核兵器廃絶のためのリーダーシップを発揮すべきである─、そのことを、第63回国連総会の開催にあたり、貴職につよく申し入れるものです。

 「核兵器のない世界を」はいま、世界の声となり、圧倒的多数の政府もその実現を求めています。そのことは、昨年の国連総会が、加盟国の圧倒的多数の賛成で核兵器関連の諸決議を可決したことにも、鮮やかに示されています。アメリカの元政府高官4氏が昨年と今年、核兵器廃絶の提言を米紙に発表し、米、英など各国の現・元閣僚らが支持を表明するなど、かつての核抑止論者の間にも変化が生まれつつあります。こうした認識は米大統領選にも反映し、米民主党はこのほど発表した選挙政策要綱で「核兵器のない世界の追求」を公約しました。核軍備縮小にとどまらず核兵器廃絶を目標に掲げるこうした動きに真剣な注意を払うべきです。日本政府には、ラッド豪首相提案の「核不拡散・核軍備縮小撤廃に関する国際委員会」共同議長を応諾した責任もあります。また、第63回国連総会は、2010年NPT(核不拡散条約)再検討会議を核兵器廃絶への新たな転機とするうえで、重要な契機ともなるものです。今国連総会に臨むにあたって、政府は、世界の変化に後れをとることなく、核兵器廃絶への流れを加速させる役割をこそ果たさねばなりません。

 戦後63年を経たいまなお核兵器は世界に2万6000基も配備・貯蔵され、人類の生存を脅かし続けています。核超大国の米ブッシュ政権は、国内外で深刻な矛盾に直面しながら、核兵器を世界戦略の中心に据え、核先制攻撃を含む「拡大抑止」政策の展開を公言しています。「核抑止」政策が、新たな核開発競争と核拡散の口実となっていることも明白です。いまほど日本政府に、被爆国として、米国をはじめ核保有国に真っ正面から、核兵器のすみやかな廃絶を迫ることが求められているときはありません。

 原爆症認定問題ではこの間、集団訴訟でこの5月、仙台、大阪両高裁が、国側の控訴を棄却、原告全員を原爆症と認定する勝訴判決を相次いで下しました。これに先立ち日本被団協や集団訴訟原告団の粘り強い運動の前に、厚生労働省はついに、認定申請却下の根拠としてきた「原因確率」を放棄し、残留放射線の影響も認めたものの、依然として原爆症認定疾病を狭く限定するなど、被爆者に冷たい姿勢を改めようとはしていません。政府がすみやかに、“原告全員の救済を”“被爆行政の抜本的見直しを”の声に応えるるよう、強く求めます。

 ことしは、核兵器廃絶の実現を求める国際世論の発展にむけて歴史的な一石を投じた、第1回国連軍縮特別総会が開かれて30年、核不拡散条約の調印40周年にあたります。私たちは、貴職が第63回国連総会に臨むにあたって、この非核・平和の原点を改めて想起し、以下の諸点の実現のために力を尽くされるよう、強く要請するものです。

 【要請項目】

  
1.第63回国連総会が、核兵器全面禁止条約の締結に向けた交渉をすみやかに開始することを決議するなど、核兵器廃絶への具体的道筋をつける場となるよう、被爆国であり憲法9条をもつ国の政府にふさわしい役割を発揮すること。
  2.核兵器廃絶について特別の責任を有する核兵器国にたいし、2010年NPT再検討会議を核兵器廃絶の「明確な約束」実行を再確認・加速する場とするよう、強く求めること。米国にたいし、核兵器使用政策、新型核兵器の開発計画などの危険な核政策を改めるよう要求すること。
   3.わが国が将来にわたって「非核3原則」を厳守し、そのための法制化を推進する立場に立つことを明言すること。

 2008年9月16日

 内閣総理大臣 福田 康夫殿
 外務大臣 高村 正彦殿