HOME >> 非核の主張・提言━全国総会の方針
 
 ●提言・声明
 
非核の政府を求める会が第34回全国総会開く(2019.6.8)

  非核の政府を求める会は6月8日、東京都内で第34回全国総会を開き、被爆75年となる2020年のNPT再検討会議に向けて核兵器禁止・廃絶、安倍政権退陣、非核の政府実現を訴える新運動方針、「国民へのアピール」を確認し、新役員を選出しました。
  新運動方針、「国民へのアピール」は次の通りです。
 ◇ 

  非核の政府を求める会第34回全国総会議案
  2019年6月8日 常任世話人会 


はじめに
 今年の全国総会は、参議院選挙をひと月後に控えて開かれる。「安倍改憲ノー」「核兵器禁止条約に署名する非核の政府を」等の声と結び、今年を安倍政治終焉の年とする運動方針を確認し、決意を交わす総会となる。
 

 今総会はまた、核兵器禁止条約の採択から2年を経て、「核兵器なき世界」の達成をめざす激動の情勢下で開かれる。2020年NPT再検討会議に向けて核保有国に「自国核兵器の廃絶約束」の履行を迫り、被爆国を名乗る資格さえ喪失した日本政府の核政策の異常をただすことはますます重要となっている。南北朝鮮の隣人として、半島の非核・平和プロセスの流れを加速させることも強く求められている。

 総会はまた、被爆国にふさわしい非核の政治の実現にとって、また「主権者は私たち」の国民的流れを広げるうえでも、非核・平和運動など市民社会の役割がいよいよ大きくなり、その力の発揮に期待と注目が高まるもとで開かれる。非核政府の会運動の存在意義はますます大きなものとなっている。

[1]核兵器廃絶へ、揺るぎない世界の流れ

(1)世界で加速する非核・平和の流れ
 核兵器廃絶を求める世界の流れはこの1年、新たな進展を見せ、核兵器禁止条約の発効へ、揺るがぬ流れが形成されている。一昨年7月に採択された禁止条約の署名国は70ヵ国に達し、すでに23ヵ国が批准している。「核軍縮の条約としてはハイペース」(オーストリアのトーマス・ハイノッチ・外務省軍縮軍備管理不拡散局長)の歩みであり、同条約の発効は時間の問題と見られている。
 昨年の第73回国連総会には、各国に同条約の署名・批准を促す決議「核兵器禁止条約」が提案され、国連加盟国の3分の2、126ヵ国が賛成票を投じた。決議提案国には53ヵ国が名を連ねた。こうした流れは、国際条約によって核兵器禁止・廃絶を達成するとの立場が今日、世界の大勢であることを鮮かに示している。
 核大国の米国やその軍事同盟国内で、自国政府に禁止条約締結や核兵器廃絶を求める動きが広がっていることも、同条約の力を示す新たな変化として注目される。米国最大州のカリフォルニア州議会が核兵器禁止条約を支持する決議を採択し、首都のワシントン市議会では核兵器廃絶を連邦政府・議会に求める決議が全会一致で採択された。オランダ下院は昨年11月、政府に対して条約参加の検討を求める動議を可決し、スペインではサンチェス首相が、条約に署名することを新しい左翼政党ポデモスに合意した。

〈核兵器国にNPT合意履行を迫った第3回準備委員会〉
 2020年核不拡散条約(NPT)再検討会議のための第3回準備委員会が4月27日〜5月10日、ニューヨークの国連本部で開かれた。再検討会議での議論のたたき台となる議長勧告案は、核兵器国の反発で採択が見送られたものの、保有国に核軍備撤廃を迫る国際社会の多数の声を反映した文面となった。
 この間、核保有国によるNPT合意否定の動き、トランプ米政権のINF(中距離核戦力)全廃条約破棄やイラン核合意からの離脱、新START(戦略兵器削減条約)更新の行方の不透明性、未臨界核実験の強行、ロシアのプーチン大統領の新型核兵器開発や同盟国へのミサイル配備、低出力核実験等を背景に、新たな核軍拡競争を懸念する声も広がっている。この状況に対し、今回会議では、圧倒的多数の非核兵器国が切迫感を持って臨み、核兵器国に対してNPT第6条の義務とこれまでの再検討会議の合意の履行、核兵器廃絶を迫る太い筋の議論を展開した。
 トランプ米政権が押し出してきた、NPT合意を反故・先送りする「核軍縮のための環境づくり」(CEND)に対しても、NPT体制の「信頼性」を傷つけるとの批判が相次いだ。
 会議では、核兵器禁止条約が力を発揮していることも明らかとなった。108の国と国家グループの発言のなかで禁止条約に肯定的に言及したものが約半数に及んだ。会議中、ブラジル、コスタリカ、アイルランド、インドネシア、メキシコ、ニュージーランド、ナイジェリア、南アフリカ、タイ、オーストリアが禁止条約についての共同声明を発表し、禁止条約はNPT全体、とくに第6条の義務の履行を強化するものであり、NPTと両立するものだと強調した。
 同条約は、核保有国の態度にも変化をもたらしている。核兵器保有の国連常任理事5ヵ国(P5)は、第73回国連総会では禁止条約反対の共同声明を出したが、今回の準備委員会では正面切っての批判はなかった。米国が提起している「環境づくり」も、条約を支持する圧倒的多数の国々を敵にまわして守勢に立たされている状況の反映と言える。
 
(2)核保有国の妨害、孤立と危機感
〈「核兵器は安全保障」の詭弁〉
 核兵器禁止条約により、核保有国は政治的・道義的制約を受けることになる。とりわけ核兵器を海外展開する米国は、核兵器使用政策の運用に重大な制約を来すことから危機感を募らせ、同条約をなきものにしようと躍起となっている。
 核保有国・核依存国は、「核兵器禁止条約は安全保障環境を考慮していないから反対」「核兵器の抑止力は安全保障にとって不可欠」などと発言している。しかし、第2次大戦後の世界の戦争・紛争も、現在の各地の軍事的・政治的緊張も、ほとんど例外なく核兵器国による直接・間接の軍事干渉と絡んでいる。その当事者が声を揃えて「安全保障環境重視」を口にするなど厚顔無恥も甚だしいと言わねばならない。
 もし、核兵器のある世界のほうが核兵器のない世界より安全だとする議論がまかり通るなら、核不拡散の理念は完全に崩壊することになる。また、核兵器保有は「抑止力」として働くどころか、逆に、核兵器の絶対的な軍事的優位を背景に、武力行使のハードルを下げてきたのが、歴史の事実である。
 核保有国・核依存国は、世界の安全保障に真摯に向き合おうとするなら、これまでの核兵器固執政策を見直して核兵器禁止条約の参加に舵を切り、国連中心の平和外交に傾注すべきである。

〈トランプ政権の核の恫喝≠ニ核軍拡志向の危険〉
 トランプ米政権は昨年2月、核兵器近代化、使用計画強化などを盛り込んだ「2018核態勢見直し」(NPR)を発表し、新たな核の恫喝≠ノ踏み出した。「地域侵略に対する信憑性のある抑止力の維持」などと位置づけるが、要は「使いやすい核兵器」と言われる小型核の開発・配備計画である。「トランプNPR」は核兵器廃絶を求める世界の流れを逆戻りさせようとするものであり、断じて許されない。
 トランプ政権は昨年10月、米ロ間の中距離核戦力(INF)全廃条約離脱を表明して世界を唖然とさせた。際限のない核軍拡競争に一定の歯止めをかけた同条約の破棄宣言に、米軍備管理協会が「米ロによる中距離ミサイル配備をめぐる冷戦時代のような緊張が、欧州や他の地域で起きる」と指摘するなど、世界で新たな核軍拡への懸念が広がっている。この動きに対抗して、ロシア、中国は新たな核兵器開発・軍備強化に乗り出すことを公言している。
 イランとの核合意の一方的破棄、昨年10月、今年2月と相次ぐ未臨界核実験の実施なども重大である。

(3)米平和団体が「原水爆禁止世界大会・ニューヨーク」を提唱
 NPT第3回準備委員会に合わせて5月4日、アメリカ・フレンズ奉仕委員会、国際平和ビューロー、ピース・アクション、ピース・アンド・プラネットなどが主催して、アメリカや日本、ヨーロッパなど各国の反核平和団体の国際会議が開かれ、このなかで主催者から、被爆75年にあたる来年のNPT再検討会議の際に、ニューヨークで「原水爆禁止世界大会」を開催することを含め、国際共同行動を行うことが提起された。広島・長崎の世界大会に加えての大会となる。広島・長崎で開かれてきた原水爆禁止世界大会の基本精神を受けついだ行動が核大国・原爆投下国アメリカで開催されることは意義深い。
 この国際行動の成功のために、被爆者はじめ、被爆国日本の広範な運動が力を合わせていくことが強く求められている。

(4)朝鮮半島の平和プロセスの現段階と展望
 今年2月、トランプ米大統領と金正恩北朝鮮国務委員長の二度目の首脳会談がベトナムの首都ハノイで開かれた。朝鮮半島の平和プロセスは、相互理解と信頼醸成に向けて新たな一歩を進めた。今回の会談では、合意文書の署名には至らなかったものの、両首脳とも「良好な関係」「建設的な内容」と語り、すでに第3回首脳会談開催の可能性も取りざたされている。半島の平和プロセスについて、メディアに懐疑的な見方もあるが、今回は両首脳が直接話し合って合意しており、また、トランプ、金正恩両氏それぞれの政治的諸事情に照らしても、簡単に後戻りできる状況にはない。
 いずれにせよ、私たちはいま、大きな変革の可能性を秘めたプロセスの戸口に立っている。その歴史的な激動を生み出した根本の力は核廃絶と朝鮮半島の平和を求める世論であり、それを実らせるのも世論である。平和プロセスを促進するうえで、隣国の被爆国であり、憲法9条をもつ日本の市民社会の役割はますます重要となっている。

[2]国民的共同の力で新しい政治を

(1)安倍政権を退陣させ、まともな政治とりもどすとき
〈ウソと隠蔽、強権政治の安倍政権は即刻退陣を〉
 私たちはいま、主権者国民の願い・声が政治を動かす時代の到来を確信させる、緊張感みなぎる情勢を迎えている。この1年、昨秋の沖縄県知事選での「オール沖縄」玉城デニー候補の圧勝、今年2月の県民投票での沖縄・辺野古埋め立て反対72%に続き、先の衆院沖縄3区補選でも「オール沖縄」の屋良朝博候補が勝利して、「新基地ノー!」の沖縄の意思が、三たび示された。マスコミも「政権に問う3連敗の重み」「『辺野古が唯一』脱せよ」との論評を掲げた。また、安倍政権が並々ならぬ覚悟で臨んだ、昨年国会での改憲発議の企てを頓挫させたことも、重要な出来事である。これら注目すべき変化の底流に、非核・平和の明日を願う市民パワーの高まりがあったことは疑いない。
 いま、安倍政治は国民のたたかいの前にボロボロの様相を呈している。国会を愚弄し無法極まる「働き方改革」一括法、カジノ実施法、改定入管法などの強行に示される強権政治、他方、森友「公文書」改ざん、南スーダン自衛隊の「日報」隠蔽、裁量労働制や基本統計のデータ捏造に象徴されるウソと隠蔽の政治、本州と九州を結ぶ「安倍・麻生道路」建設をめぐる新たな「忖度」疑惑、閣僚の止まるところのない暴言の数々――。まさに政治モラルの大崩壊と言うべき異常事態となっている。
 海上自衛隊の護衛艦「かが」「いずも」の空母化問題でも、トランプ米大統領の先の訪日時の発言――(「かが」が改修により)「離れた領域」の脅威から守るのに役立つ%凾ノより、政府が日本防衛のためであり、「攻撃型空母」への改修ではない≠ニしてきたこれまでの説明がまったくの偽りであることが明らかになった。憲法に違反する護衛艦の空母化を許してはならない。
 安倍政権が新天皇即位・改元問題で「新時代」到来のブームを煽り、改憲の思惑などに天皇の制度を政治利用していることも看過できない。
 外交でも安倍政権は、「令和初の国賓」として招待したトランプ米大統領への媚びへつらう接遇、北方領土をめぐる日ロ交渉、日韓関係の行き詰まり等、八方ふさがりに陥っている。安倍政権がトランプ米政権の言いなりに米国製武器の浪費的爆買い≠ノのめり込んでいることも重大である。米国側の都合で価格等が決められる有償軍事援助(FMS)契約にもとづく武器購入額が急増し、米国の核軍事企業に貢ぐ結果、日本国民の生活を支える予算は極限まで圧迫されている。消費税の10月から10%への増税の企ても、景気悪化の中での無謀極まる政策であるとともに、米国の核軍備強化戦略に積極的に協力・加担する安倍政権の大軍拡政策と表裏一体のものである。
 こうした問題はいずれも、「安倍首相由来」の疑惑・不祥事・失政である。各種世論調査でも、安倍政治に「反対」「評価しない」が多数を占めている。
 同時に、安倍政権は、2020年改憲≠フ妄執をことある毎に前面に押し出すなど、国会での絶対多数を頼みに、情勢を反動的に打開しようとしており、その危険性をいささかも軽視することはできない。
 ウソと隠蔽、強権政治の安倍政権には、もはや一日たりとも国民の現在と未来を託すことはできない。内政でも外交でも末期症状に陥っている安倍政権を終わりにすべきときである。

〈市民と野党の共闘の発展へ〉
 安倍政権をいかに早く退陣に追い込むかは、ひとえに市民と野党の共闘の成否にかかっている。4月の衆院沖縄3区補選では、「オール沖縄」の屋良朝博候補が勝利し、大阪12区補選でも、日本共産党の現職議員を辞職して無所属で立候補した宮本岳志候補が当選には及ばなかったものの奮闘し、市民と野党の共闘の今後の発展にとって貴重な財産となった。さらに5月29日、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)の参院選挙「共通政策」に、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党の4党と「社会保障を立て直す国民会議」の1会派が合意し、30の1人区で統一候補が決定し(2選挙区も調整中)、参院選勝利へのスタートを切ったことは、きわめて大きな意義をもつものとなっている。
 参院選で自民・公明両党とその補完勢力である日本維新の会を必ず少数に追い込み、安倍政権を倒して、ウソのない正直な政治、公正な政治、立憲主義と民主主義のまともな政治を取り戻そう。広がる国民の非核・平和の願いと結び、「核兵器禁止条約に署名する政府」「核兵器廃絶」の「非核の政府」を求める気運を大きく広げてゆこう。

(2)被爆国にふさわしい「非核の政治」を
 朝鮮半島の平和プロセスの進展とあいまって、国際社会はいま、日本政府の非核・平和政策の成り行きを注視している。このとき、核保有国とともに核兵器禁止条約に反対し、第73回国連総会で、核兵器廃絶姿勢の後退を指弾される「日本決議」を提案したことなどは、被爆国として恥ずべき態度と言わねばならない。日本政府が近年、自らの存在意義としてきた核保有国と非保有国の「橋渡し」論の破綻は明らかである。
 この間、安倍政権は、「北朝鮮の脅威」を口実に「北東アジアの安全保障環境の悪化」を喧伝し、戦争法制定、9条改憲の企み、沖縄の辺野古新基地建設の強行など「戦争する国づくり」を推進し、「米国の核抑止力は必要」と言いつのってきた。だが、朝鮮半島の平和プロセスが進めば、それらの根拠がすべて崩壊する。半島が非核化し、北東アジアが平和の地域になれば、日米安保条約も在日米軍基地も、日米「核密約」も存在意義を失うことは明白である。
 安倍政権は、北朝鮮の弾道ミサイルを想定した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備に固執し、米韓合同軍事演習中止に異議を唱えるなど、従来の軍備増強と圧力一辺倒$ュ治を引きずっているが、「条件を付けずに金委員長と会う」などと言わざるをえなくなっている。北朝鮮の隣国であり、憲法9条をもつ国として、いまこそ、憲法にもとづく平和外交により、非核・平和のプロセスを支持・推進する役割を果たすべきである。
 わが会は、日本政府に対し、以下の諸点を中心に、被爆国政府にふさわしい「非核の政治」を行うよう求め、これらを実行する政府をめざす。
 ○ 核兵器禁止条約に署名・批准し、その早期発効のために力を尽くす。核保有国を含む国連全加盟国に同条約加盟を促す。
 ○ 核保有国に対し、NPT再検討会議の「核兵器廃絶合意」の誠実な履行を求める。
 ○ 原爆被害の非人道的な実態を世界に発信し、核兵器はいかなる状況下でも二度と使用されてはならないことを世界に訴える。「ヒバクシャ国際署名」に署名し、推進する。
 ○ 被爆者施策の抜本的改善、原爆被害への国家補償に踏み切る。
 ○「南北首脳会談」「米朝首脳会談」の合意を支持し、朝鮮半島非核化・平和体制構築のプロセスに積極的に寄与する。
 ○ 核兵器の使用を是認する「核抑止力」政策=「核の傘」から離脱し、国際社会に宣言する。
 ○「非核3原則」を厳守し、非核の日本を実現する実効性ある措置を講じる。
 ○ 日米「核密約」の存在と構造を徹底的に調査・公表し、これを破棄する。

(3)安倍改憲を断念させよう
 2019年は、改憲をめぐる情勢が正念場を迎えている。2017年5月に「2020年までに改憲を」と表明した安倍晋三首相は、昨年党総裁3選を果たし、今年の初めからも改憲に並々ならぬ意欲を示している。しかし、2018年中に改憲案の発議から国民投票へと道筋をつける元々の目論見は、「安倍改憲NO!」3000万人署名をはじめ市民の運動と野党の結束の力により頓挫し、国会の憲法審査会では改憲案を話題にすることもできない情勢を作り出すことができた。
 自民党が昨年3月に公表した9条改憲案では、現在の9条1・2項の後に「前条の規定は、…自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として…自衛隊を保持する」との条文を加えるとしている。これは、9条2項の戦力不保持を否定し、海外での武力行使を禁じてきた9条1項の制約を取り払って、無制限の海外での武力行使に道を開くものとなっている。しかもその自衛隊は、違憲の安保法制=戦争法の下、集団的自衛権を行使し、文民統制を踏みつけにしている自衛隊である。戦争する軍隊≠ヨの変質を許してはならない。
 また、安倍首相は、今年になって「自衛隊募集」に自治体を協力させることを9条改憲の理由として持ち出している。自衛隊募集のために住民の名簿を提供する自治体の義務は法令上ない。むしろ自治体には、住民の個人情報保護のためそうした求めに応じない責務がある。9条改憲は、こうした国(自衛隊)と自治体と国民の関係さえも変えてしまうのである。
 各種世論調査では、安倍政権下での9条改憲に「反対」が「賛成」を大きく上回っている。3000万人署名が改憲反対の世論を築いてきたことを確信にして、署名目標を早期に達成し、7月の参議院選挙で改憲勢力を3分の2よりも大きく下回らせて、改憲を断念させ、安倍政権を退陣に追い込もう。

(4)沖縄新基地建設反対・基地撤去の攻勢的たたかいを
 この4月、安倍政権が沖縄・辺野古新基地建設のための無法な護岸工事に着手して3年目を迎えた。一連の選挙戦で「辺野古新基地建設反対!」の民意が鮮かに示されたにもかかわらず、政府・防衛省はウソと隠蔽を重ねて辺野古の海を埋め立てる土砂投入を強行している。政府は、「外交・防衛は国の専管事項」「辺野古が唯一」といった宣伝を撒き散らしているが、問題の本質は、国による立憲法治主義・民主主義・地方自治の破壊にほかならない。安倍政権の無法な強権政治に対する怒りは沖縄はもとより日本全土に広がり、各紙世論調査でも「土砂投入反対」は6割にのぼる。政府の沖縄への強権発動は、国のあり方そのものを問う全国的課題であり、沖縄への本土の連帯が強く求められている。
 沖縄は、戦後長らく米軍の施政権下に置かれ、アジア太平洋地域で最大規模の1300発もの核兵器が配備されていた。72年の沖縄返還で核兵器は撤去されたが、佐藤栄作首相とニクソン米大統領は69年、米国は有事の際に核兵器を再配備する権利を保持するとした「密約」を交わしていた。米国防総省は沖縄への核兵器持ち込みを米国の「既得権」だと誇示している。
 沖縄核密約では、「沖縄に現存する核兵器の貯蔵庫、すなわち、嘉手納、那覇、辺野古、並びにナイキ・ハーキュリーズ基地を、いつでも使用できる状態に維持しておき、重大な緊急事態が生じた時には活用できる」とされている。
 こうした一連の事実は、わが会が開いたシンポジウム「朝鮮半島の平和の激動と日米『核密約』」(昨年12月)で明らかにされたように、日米間で密約を破棄した事実がない以上、米軍の戦後一貫した核戦略――沖縄などの米軍基地を米国の核戦争の最前線基地として位置づける危険な現実がいまも生き続けていることを示している。沖縄を再び核の島≠ニし、米国の核戦争の前線基地として半永久的に使い続けようとする米日支配層の危険な企てを許してはならない。

(5)原発再稼働・輸出反対、東電と政府は福島の賠償責任果たせ
 福島第一原発事故から8年余が経過した。いまだに自主避難者を含め10万人もの避難者が存在すると言われている。心理的苦痛や心的外傷性ストレス障害など避難住民の健康被害は広範なものである。避難元の自治体は、国・福島県と協力して復興状況に関する情報提供を丁寧に行うことが求められる。国、福島県は、避難住民の帰還・生活再建に向けた総合的な支援策を強化すべきである。東京電力と国は加害責任を認め、被災者の生活と生業の再建に責任を果たすべきである。
 4月10日、最後まで残っていた大熊町の避難指示解除準備区域と居住制限区域の避難指示が解除された。今後は帰還した住民が地元自治体と協力して日常生活に必要なインフラや生活関連サービスのいっそうの充実をはかり、より良い生活環境を構築することが求められる。
 原発事故現場では、3号機の燃料貯蔵プールからの使用済み燃料の取り出し作業が4月から始まった。燃料デブリの取り出しは先送りされる可能性が大きい。多核種除去設備(ALPS)処理水は本来、トリチウム以外の放射性核種は排水の法定濃度限度以下に浄化されるはずであるのに、昨年9月、85%が法定濃度限度を超えていることが明らかになった。東京電力はALPS処理水を早急に排水の法定濃度限度以下に浄化すべきである。地下水は今なお1日150トンが原子炉建屋地下等へ流入しており、これをどのように対処するか、依然として重要課題である。
 安倍政権は昨年7月、「第5次エネルギー基本計画」を閣議決定した。2030年度における原発の電源構成比率を20〜22%にする目標を盛り込み、原発の再稼働、核燃料サイクルや原発輸出の推進を掲げるなど、原発推進に固執している。安倍政権と原子力産業界は原発輸出を「成長戦略」の柱に位置づけるが、日立製作所が英国での原発建設計画の凍結を1月に決定するなど、原発輸出は総崩れ状態にある。経団連が4月に発表した「日本を支える電力システムを再構築する」提言も、「安全神話」に凝り固まった無責任極まりないものである。安倍政権、財界は、原発再稼働・輸出推進政策を速やかに中止すべきである。
 世界の流れは再生可能エネルギー・脱炭素≠ナある。「原発ゼロ」「再生可能エネルギーへ転換」を求める運動の役割は、ますます重要となっている。

[3]非核政府の会の活動強化へ

 今日、核兵器禁止条約の発効・核兵器廃絶を求める被爆者・国民の願いと、核兵器禁止条約を敵視し核兵器固執勢力としての素顔をあらわにした安倍政権との乖離は、度しがたいまでに広がっている。被爆国の国民の非核・平和の声を代表する「非核の政府」の実現は切実だ。結成以来一貫して、核兵器廃絶と「非核の日本・非核の政府」を求めて国民的共同の発展を探求してきたわが会の役割は、ますます重要となっている。

(1)核兵器禁止条約の早期発効へ、日本政府包囲の世論を
 核兵器禁止・廃絶のためにいま、「日本政府に核兵器禁止条約の署名を求め、『非核の政府』の実現をめざす対話と合意」の運動が重要となっている。今後、核兵器禁止条約を速やかに発効させ、いかに核保有国・核依存国に条約加盟を決断させ、核兵器完全廃絶に導くかは、ひとえに被爆国日本をはじめ世界の非核・平和の世論の発展にかかっている。わが会は、その中軸となる「ヒバクシャ国際署名」運動の前進のために力を尽くす。
 戦争法廃止・立憲主義の回復をめざす市民連合と野党の共同政策に「日本が核兵器禁止条約に署名、批准するように務める」を入れるよう働きかける。被爆国日本政府に核政策見直し・条約署名を迫る非核・平和運動分野の識者らによる「共同アピール」等を提案し、非核・平和の諸団体とともに野党各党への働きかけ等を推進する。
 わが会はこの1年、日本政府に対し、第73回国連総会やNPT再検討会議第3回準備委員会に向けて日本政府への要請を行ってきた。引き続き、核兵器政策をめぐる日本政府の危険な言動に対して機敏に対処するとともに、非核・平和にかかわる重要問題について、政府に適宜、要請を行う。各界識者「新春メッセージ」の取り組みの充実をはかる。

(2)核問題調査専門委員会の強化
 「非核5項目」をめぐる調査・研究活動は、わが会の特色をなすものである。取り上げるテーマの掘り下げ、外部の新たな研究者の参加と共同・連帯の拡大など、この分野の活動の質的・量的発展をいかにかちとるかは、わが会の中心的な課題である。
 この間、シンポジウム「朝鮮半島の平和の激動と日米『核密約』」(2018年12月8日)を開催してきた。引き続き、非核・平和の重要テーマを中心に、シンポジウム・講演会等に取り組む。
 核問題調査専門委員会の活動について、メンバーの拡充、テーマの充実、研究成果の対外的発信など、全体的な強化をはかる。
[調査専門委員会の当面のテーマ]
 ▽世界の核兵器状況・核兵器政策、▽核兵器禁止・廃絶条約、▽米国の核兵器戦略・使用政策、▽「核抑止力」論、▽日米「核密約」、▽日本国憲法と「非核の政府」、▽原発事故と日本政府の原発政策、▽朝鮮半島の非核・平和プロセス、▽国際テロと核拡散、▽「北東アジア非核地帯条約」問題、▽その他。

(3)原水爆禁止2019年世界大会の成功
 原水爆禁止2019年世界大会は8月3〜9日、広島、長崎両市で開かれる。今年の大会は、来年の2020年NPT再検討会議に向けて、核兵器禁止条約の署名・発効を促進し、核兵器廃絶の機運の高揚、内外の共同の発展が求められるもとで開かれる。また、朝鮮半島の平和プロセス促進へ市民社会の役割がますます重要となる情勢下で開かれる。これまで以上に被爆の実相、核兵器の非人道性を内外に発信し、「ヒバクシャ国際署名」を飛躍的に発展させる結節点として、重要な意義を持つ大会となる。わが会は、今年の世界大会が、核兵器禁止・廃絶のために積極的に行動する日本政府を実現するための新たなステップとなるよう、その成功をめざす。

(4)被爆者支援・連帯の強化
 核兵器禁止条約は、核兵器の非人道性を告発し続けてきた被爆者の役割を高く評価し、被爆者救済を義務づけた。この条約に照らしても、日本政府が広島・長崎の被爆から73年を経たいまなお、放射線の影響を極めて狭い範囲に限定し、原爆症認定申請を却下する姿勢を改めない被爆行政の冷淡さは、まさに異常というほかない。原爆症認定集団訴訟に続く「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」でも、司法は基本的に認定却下処分を続ける行政の過ちを指摘している。被爆者の国家補償を∞現行の認定制度の抜本的改正を≠ニいう被爆者の要求の速やかな実現のために、「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」をはじめ被爆者運動への支援・連帯を強める。

(5)非核自治体運動、非核「神戸方式」の前進を
 非核自治体宣言運動、非核・平和自治体行政の発展を引き続き追求するとともに、「核兵器禁止条約を支持し、日本政府に署名を求める」意見書採択など、自治体から合意と共同を広げる。平和首長会議、日本非核宣言自治体協議会との連帯、共同を発展させる。
 神戸市議会が1975年3月18日に「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」を全会一致で採択し、非核「神戸方式」がスタートして今年で44年、この間、米軍艦は1隻も入港していない。核兵器禁止条約により核兵器が違法化されたいま、日米「核密約」破棄の課題とかかわってその存在意義を増している非核「神戸方式」の全国化にむけて、調査・検討を進める。

(6)会の組織的・財政的強化のために
 ・非核政府の会活動の再建・再開をめざす地方の会への協力・援助をはかる。
 ・「非核の政府を求める会ニュース」の普及に努めるとともに、同紙がいっそう情報発信力を増し、会の活動を伝える紙面となるよう、紙面改善をはかる。「地方の会ニュース」編集者の経験交流をはかる。
 ・ホームページの更新を改善し、内容の充実をはかる。             □

                  ◇

 国民のみなさんへの訴え
 安倍政権退陣、核兵器禁止・廃絶、非核の政府を求める声を大きく



 国民のみなさん
 安倍政権に退場の審判を下すのか、それとも反動的企みを許すのか――。国民が意思を表明するチャンス=参議院議員選挙を目前にした情勢のもと、私たち非核の政府を求める会は本日(6月8日)、第34回全国総会に集い、「安倍政権を退陣させ、まともな政治を取り戻そう」「核兵器禁止条約に署名する政府を!」との決意を交わしました。
 私たちはいま、主権者国民の声が政治を動かす時代の到来を確信させる情勢を迎えています。沖縄・辺野古への米軍新基地建設問題では、昨秋の沖縄県知事選、今年2月の県民投票での圧勝につづき、先の衆院沖縄3区補選でも勝利して、「新基地ノー!」の沖縄の意思が、三たび鮮やかに示されました。安倍政権が並々ならぬ覚悟で臨んだ、昨年来の国会で改憲発議の企てを頓挫させていることも、画期的な出来事です。参院選ではすべての1人区で候補者1本化が実現し、市民連合と野党の「共通政策」合意もなりました。こうした変化を推進した、「国民が主人公」の政治、非核・平和の明日を願う市民パワーをさらに高め、思う存分発揮して、目前の参院選で、ウソと隠蔽の安倍政権にいますぐ退場≠フ審判を下そうではありませんか。

 みなさん
 いま、安倍政治は内政でも外交でもボロボロ状態≠ネのではないでしょうか。「働き方改革」一括法強行、原発再稼働の推進などに示される強権政治、森友「公文書」改ざんに象徴されるウソと隠蔽の政治、「安倍・麻生道路」建設をめぐる「忖度」疑惑、閣僚の相次ぐ暴言等々、まさに「亡国の政治」というべき異常事態です。外交も、米国製武器の浪費的爆買い≠はじめとするトランプ大統領への追従外交、北方領土をめぐる日ロ交渉、日韓関係の行き詰まり等、八方ふさがりです。どの分野でも、安倍政治が国民との矛盾を深めていることは明らかです。同時に、安倍首相は、2020年改憲≠フ妄執をことあるごとに前面に押し出すなど、国会での絶対多数を頼みに、行き詰まり≠反動的に打開しようとしています。その危険性を軽視することはできません。夏の参院選で改憲勢力を3分の2よりも大きく下回らせて、改憲策動とともに安倍政権を葬り去ろうではありませんか。

 みなさん
 核兵器禁止・廃絶を求める世界の流れは近年、滔々とその勢いを増しています。一昨年7月に採択された禁止条約の署名国は70ヵ国に達し、すでに23ヵ国が批准して、条約発効は時間の問題と見られています。昨年暮れの第73回国連総会には、各国に同条約の署名・批准を促す決議「核兵器禁止条約」が提案され、加盟国の3分の2が賛成票を投じました。このほどニューヨークで開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議のための第3回準備委員会でも、核保有国に核軍備撤廃約束の履行を迫る力強い議論が展開されました。核大国米国の最大州のカリフォルニア州議会、首都のワシントン市議会や、米国の軍事同盟国内で、自国政府に禁止条約締結や核兵器廃絶を求める動きが広がっていることも、世界を勇気づけています。こうした流れは、国際条約によって核兵器禁止・廃絶を達成するとの立場が今日、世界の大勢であることを、鮮かに示しています。
 核兵器禁止条約により、核保有国は政治的・道義的制約を受けることになります。それだけに核保有国は危機感を募らせ、同条約をなきものにしようと躍起となっています。「核兵器は抑止力として必要」だとして禁止条約を拒絶しますが、しかし、核兵器は「抑止力」どころか、その軍事的優位を背景に、武力行使のハードルを引き下げてきたのが歴史の事実です。核保有国と核依存国は、世界の安全保障に真摯に向き合おうとするなら、これまでの核兵器固執政策を見直して、核兵器禁止・廃絶の道に舵を切るべきです。

 みなさん
 それにしても、日本政府の核兵器をめぐる姿勢は驚くばかりです。朝鮮半島の平和プロセスの進展とあいまって、国際社会が日本政府の非核・平和政策の成り行きを注視しているというのに、核保有国とともに核兵器禁止条約に反対し、第73回国連総会で、核兵器廃絶姿勢の後退を指弾される「日本決議」を提案したことなどは、被爆国として恥ずべき態度です。安倍政権はこれまで、「北朝鮮の脅威」を口実に「北東アジアの安全保障環境の悪化」を喧伝し、戦争法制定、9条改憲の企み、沖縄の辺野古新基地建設など「戦争する国づくり」を推進し、「米国の核抑止力は必要」と言いつのってきました。しかし、朝鮮半島の平和プロセスが進めば、それらの根拠がすべて崩壊することになります。核兵器禁止・廃絶を求める国民の声と核兵器固執政府の素顔を露わにした安倍政権との乖離がここまで拡大したからには、憲法9条を生かし、被爆国にふさわしい役割を果たす「非核の政府」の実現を求める声を、全国津々浦々から大きく巻き起こそうではありませんか。

 みなさん
 ご存じでしょうか。被爆75年となり、2020年核不拡散条約(NPT)再検討会議の開かれる来年の春、米国で「原水爆禁止世界大会・ニューヨーク」が開かれるのです。核戦争阻止、核兵器禁止・廃絶、被爆者援護・連帯という広島・長崎での世界大会の精神を継承しての大会です。わが会が結成された1986年当時、欧米で私たちが核兵器廃絶を訴えても、「理想論だ」との反応が返ってきたものでした。それから30年余を経ていま、核大国で原爆投下国の米国で、原水爆禁止世界大会が開かれる――まさに隔世の感があります。このニューヨーク行動の成功のために、私たち被爆国日本の市民社会が共同を大きく広げ、力を発揮することは、実に誇らしい、やり甲斐のある役割と言えましょう。
 核保有国とその同盟国の抵抗を退けて、いかに早く「核兵器なき世界」の扉を開くかは、まさに被爆国の非核・平和の運動の前進いかんにかかっています。まもなく被爆地の広島・長崎で、原水爆禁止2019年世界大会が開かれます。「ヒバクシャ国際署名」を軸に被爆の実相をさらに大きく発信し、ことしの世界大会を成功させて、核兵器のない平和で公正な世界の実現に向けて、ともに意気高く前進しようではありませんか。
 
2019年6月8日        非核の政府を求める会第34回全国総会  


非核の政府を求める会
113-0033 東京都文京区本郷2-13-13 本郷七番館202
TEL 03-5844-6588 FAX 03-3812-9686 Eメール:hikakunokai@pop21.odn.ne.jp

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)2002 ,非核の政府を求める会