「戦争する国」づくり許さず、非核・平和の日本実現へ
ヒロシマ・ナガサキの実相の発信さらに |
| 非核の政府を求める会が第29回全国総会 |
| 2014年6月14日 |
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被爆70年、2015年核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けて核兵器廃絶の世論喚起がいよいよ重要となるなか、また安倍政権が「海外で戦争する国」づくりへ集団的自衛権行使容認を強行しようとする緊迫した情勢のもと、非核の政府を求める会は6月14日、東京都内で第29回全国総会を開き、17都道府県の会と14中央団体の代表、各界個人賛同者ら約60人が出席しました。
増田善信常任世話人(気象学者)が開会あいさつ。世界ではいま、核兵器の非人道性を強調し、核兵器廃絶を求める世論が高まっているのに、日本政府は「ステップ・バイ・ステップ」方針で核兵器廃絶を先送りしようとしていると批判。参加者の討論で非核の政府を求める会の新方針を練り上げてほしいと呼びかけました。 |
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座長に高橋和枝(新日本婦人の会中央本部副会長)、野口邦和(日本大学歯学部准教授)の両常任世話人を選任。
高橋信一常任世話人(全労連副議長)が総会議案を提案。「核兵器禁止条約の交渉開始」を求める流れこそ世界の大局的な発展方向だと述べ、核保有国に核兵器廃絶に向けた交渉の決断をさせるうえで、世論の拡大・強化が決定的だと強調。「海外で戦争する国」づくりと軌を一にした安倍政権の核兵器政策をきびしく批判し、安倍政権の危険性は軽視できないが、暴走すればするほど国民的な批判の前に孤立を深めざるをえないとして、非核・平和の国民運動の強化・発展の重要性を訴えました。
藤田俊彦(前長崎総合科学大学教授)、笠井亮(日本共産党衆議院議員)の両常任世話人が補強報告を行いました。
藤田氏は、4月に開かれたNPT再検討会議第3回準備委員会の特徴を中心に報告。多数の国々がこれまでに増して核軍備撤廃の実現を訴え、包括的核兵器禁止条約の早急な締結を求めたことが際立った特徴だと述べ、米国の「核抑止」依存の日本などが核兵器完全廃棄の流れにおける一つの障害と目されている状況などを詳しく紹介しました。
笠井氏は、安倍政権が暴走政治を強行すればするほど矛盾が広がり、潮目が変わってきていると指摘。集団的自衛権容認は、「戦争しない国」から「戦争する国」への大転換であり、日本の若者の血を流させる政治は絶対許してはならないと強調。「極限状況」下での核兵器使用容認の方針を批判し、集団的自衛権行使容認で米国といっしょに戦争する国になれば、米国の核兵器使用戦略のもとで核戦争に巻き込まれる危険があると語りました。
小澤隆一常任世話人(東京慈恵会医科大学教授)が、「非核3原則の法制化」を求める運動の意義、課題について問題提起を行いました。
討論では、17人が発言しました。
総会では、議案を採択し、110人の世話人と4人の顧問、23人の常任世話人、事務室長を選出。「国民のみなさんへの訴え」を採択しました。
駒場忠親常任世話人(自治労連顧問)が閉会あいさつを行いました。
広島、長崎両市長らがメッセージ
総会には、松井一實・広島市長、田上富久・長崎市長、眞野勝弘・広島県廿日市市長、竹内脩・大阪府枚方市長、鈴木恒夫・神奈川県藤沢市長の5市長、平和・民主運動17団体、5労働組合、および各界個人・賛同者多数から、非核・平和の思いを込めた激励・連帯のメッセージが寄せられました。
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非核の政府を求める会第29回全国総会議案
2014年6月14日
はじめに
第29回全国総会は、安倍政権が集団的自衛権の行使容認をはじめ「海外で戦争する国」づくり、「企業が世界一活動しやすい国」づくりへ暴走し、これを許さない無党派層、保守層を含む国民各層の運動、共同が急速に大きく広がる情勢のもとで開かれる。
本総会の任務は、第1に、来春の核不拡散条約(NPT)再検討会議を前にして、核兵器廃絶を求める世界の流れの到達点と今後の運動方向を明らかにすることである。第2に、被爆70年を前にして、日本政府の核政策をただし、被爆国としてあるべき非核政策の方向を示すことである。第3に、今日の情勢のもとで非核の政府を求める会活動の強化方針を確立し、新役員を選出することである。
[T]世界の情勢は非核・平和に向けて力強く動いている
この1年、「核兵器禁止条約の交渉開始」を求める流れこそ、今日の世界の大局的な発展方向であることが、第68回国連総会軍縮委員会、「第2回核兵器の人道上の影響に関する国際会議」(ナヤリット会議)、2015年NPT再検討会議第3回準備委員会などの一連の国際政治の舞台を通して力強く示された。
とりわけ、▽核兵器廃絶に向けた包括的条約の早期締結、早急な交渉開始を求める、非同盟諸国提案の国連総会ハイレベル会合とその「フォローアップ決議」、▽NATO(北大西洋条約機構)加盟国のノルウェー、米主導の軍事同盟「米州共同防衛条約」を離脱したメキシコ、中立国オーストリアなどが牽引する「核兵器の人道上の影響に関する国際会議」などのイニシアチブは、核兵器保有に拘泥する核保有国を包囲する新たな勢いを示すものであり、核兵器廃絶をめざす流れを大きく励ますものとなっている。
他方、米国はじめ核保有国は、2015年NPT再検討会議(4月27日〜5月22日)を11ヵ月後に控えてなお2010年NPT「核廃絶合意」の諸計画を棚上げしており、その責任は重大である。核保有国の国際的孤立化に助け船を出す日本など軍事同盟諸国の責任も、厳しく問われねばならない。
国際社会で孤立を深め、徳俵≠ワで追い詰められながら抵抗を続ける核保有国に、核兵器廃絶条約に向けた交渉のテーブルにつく決断をさせることができるかどうか、それはひとえに核保有国を包囲する国際世論の拡大・強化いかんにかかっている。この点で、米国が核実験を行ってきた南太平洋マーシャル諸島の政府が4月、核保有国がNPT第6条にもとづく核兵器廃絶義務を怠っているとして、核保有9ヵ国を国際司法裁判所(ICJ)に提訴したことも注目される。国連・各国政府のイニシアチブとともに、被爆国日本をはじめ世界の市民社会=非核・平和運動の役割は、ますます重要となっている。
この間、イランの核開発問題、シリアの化学兵器使用疑惑、ウクライナ問題をめぐり、問題を軍事介入によってではなく平和的・外交的に解決する努力が続けられていることは、国際社会の変化として重要である。ここには、アフガニスタン、イラクに対する米国などによる軍事侵攻の失敗の教訓、地球規模の戦争ノー≠フ世論の成長の反映がある。2015年までに東南アジアの政治・安全保障協力、経済発展の共同体づくりをめざすASEAN(東南アジア諸国連合)など、地域的な非核・平和の枠組みづくりも意気高く進められている。こうした国際社会の前向きの変化が、核兵器廃絶を求める流れと呼応して、その発展を促進することは疑いない。
北東アジアでは、尖閣諸島や西沙諸島などの領有権をめぐる中国による国際的原則無視の一方的な対応により、政治的・軍事的緊張が続いている。北朝鮮の核開発・軍事挑発も依然として見逃せない。北東アジアの平和と安定を守るためには、何よりも外交交渉による平和的解決に徹し、軍事同盟や覇権主義によらず、紛争を戦争にしない粘り強い努力こそが求められる。そのためにも日本政府は、戦後政治の原則を否定し、外交交渉の障害ともなっている「歴史認識問題」の対応を根本的に改めるべきである。
(1)第68回国連総会〈核軍備撤廃に関する包括的条約〉決議に4分の3の支持
第68回国連総会は昨年12月5日、一連の核兵器関連決議を採択した。
●今国連総会ではインドネシアが非同盟運動を代表して「核軍備撤廃・国連総会ハイレベル会合のフォローアップ」決議を提案し、投票総数の約4分の3、137ヵ国の賛成を得て採択された。
同決議は、本文冒頭で「総会ハイレベル会合において核兵器の完全廃棄を達成するための緊急かつ効果的な諸措置に対して強い支持が表明された」と強調。そのうえで決議は「核兵器の保有、開発、生産、取得、実験、貯蔵、移転、および使用もしくは使用の威嚇を禁止し、並びに核兵器の破棄を規定する核兵器に関する包括的条約の早期締結」を求め、ジュネーブ軍縮会議における早急な交渉開始を要請するとともに、その進捗状況を検討する国連ハイレベル国際会議を2018年末までに開催することを決定し、さらに9月26日を「国際核兵器廃絶デー」とすると宣言した。
●核軍備撤廃に関する他の主要4決議はいずれも賛成3分の2以上で採択され、圧倒的多数の国々が核兵器廃絶を希求していることが力強く示された。
? ミャンマー決議「核軍備縮小撤廃」(賛成122:反対44:棄権17)は、核兵器廃絶条約を早急に締結することを決意し、一定の時間枠の中での核軍備撤廃の必要を強調した。
? マレーシア決議「国際司法裁判所の勧告的意見(1996年7月)のフォローアップ」(同133:24:25)は、核兵器の禁止と廃棄を規定する核兵器条約の早期締結をめざして多国間交渉を開始するよう促した。この決議も前文で一定の時間枠内での核兵器廃絶を求めている。
? 新アジェンダ連合決議「核兵器なき世界にむけて、核軍備撤廃公約の実行を加速する」(同171:7:5)は、核兵器国による2010年NPT再検討会議の「明確な約束」の実行の遅れを厳しく批判し、実行を加速させるよう要求した。
(2)「第2回核兵器の人道上の影響に関する国際会議」(ナヤリット会議)
2月13、14の両日、「第2回核兵器の人道上の影響に関する国際会議」がメキシコのナヤリットで開かれ、146ヵ国の代表団と国連、赤十字国際委員会、赤十字・赤新月社連盟などが参加した。同会議は昨年3月にノルウェー政府が主催したオスロ会議(127ヵ国参加)を受けて開かれたもので、席上、オーストリアは、オスロ会議・ナヤリット会議の勢い・弾みを加速させ、それらの結論を推進する≠スめ、同国が本年末、第3回国際会議をウィーンで主催すると表明した。
同会議では、偶発的か意図的かを問わず核兵器の爆発がもたらす人道上の影響≠ノついて論議が交わされ、「法的拘束力ある文書によって新しい国際的な基準と規範を創り出すべき」(議長総括)との方向性が明示された。議長総括はまた、市民社会に対して「深甚なる謝意」を表明するとともに、すべての政府に対し「市民社会との間で多部門的な協力関係を新たに開発・再開発する」よう要請した。同会議で日本の被爆者は、準備委員会会場や被爆者の証言を聞く関連行事などで広島・長崎の被爆の実相を語り、「生きているうちに核兵器が廃絶されることが被爆者の心からの願い」と訴えて、各国政府代表らに感動と共感を広げた。
「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」は、2012年4月の2015年NPT再検討会議第1回準備委員会での提唱から昨年暮れの第68回国連総会軍縮委員会まで4回を数え、賛同国は16ヵ国から125ヵ国へと大きく広がっている。今後、核兵器が人道と相容れないことを国際政治のコンセンサスとして広げ、核兵器全面禁止条約の交渉開始を求める流れへと合流させていくうえで、世論と運動の発展がますます重要となっている。
(3)核兵器廃絶への勢い示した2015年NPT再検討会議第3回準備委員会
来年のNPT再検討会議のための第3回準備委員会が4月28日〜5月9日、ニューヨークの国連本部で開かれ、圧倒的多数の加盟国が、被爆70年となる2015年こそ核兵器禁止条約の交渉開始に踏み出そうと声をあげた。
米英仏ロ中の核保有5ヵ国は、2010年NPT会議の行動計画にもとづいて核軍備縮小撤廃の取り組みについての報告書を提出したが、「報告書には特筆すべき重要な進展がほとんどみられない」(オーストリア)などの声が出された。この40年余、核保有国が「核軍備縮小撤廃」義務を実行しないことがNPT体制そのものの信頼性を崩壊させている≠ニの根源的な批判が相次いだ。一部の核保有国は、圧倒的多数の加盟国の怒り、被爆者を先頭とする運動の広がりの前に、今回初めて、核兵器の非人道的影響についての一定の「理解」や、核兵器禁止が遅々として進まないことへの「(非核保有国の)失望感の共有」を表明せざるをえなかった。
核保有国のインド、パキスタン、核保有国とみなされているイスラエルに対し、非核保有国は核兵器を放棄し、NPTに加入すべき≠ニ強く求めた。
同会議で日本原水協と日本被団協の要請代表団はアンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表と第3回準備委員会のエンリケ・ロマン・モレイ議長に会い、「核兵器全面禁止アピール署名」370万筆と自治体首長・議長1900人分の署名、被爆者のメッセージを提出した。ケイン氏は「(来年の再検討会議に)ニューヨークへ署名を持って大挙してきて、再検討会議に大きな影響を与えてほしい」と述べて、同代表団と日本の非核・平和運動への期待を表明した。
(4)オバマ政権の核政策をどうみるか
米国のオバマ政権は昨年6月、「核兵器使用戦略」を公表した。同戦略について米国の核兵器問題専門家らは「全面的な核兵器禁止に向けてどのように前進しようと考えているかの説明がない」「2010年の『米核態勢の見直し』報告は核攻撃の抑止を米国の核兵器の唯一の目的にするため努力すると言ったが、今度の報告は『我々はそのような政策を今日の時点で受け入れることはできない』と表明した。米政府は他国に核攻撃を加えることを自ら自由と考えている」と述べて、オバマ政権の核使用戦略は新たな核戦争を準備するもの≠ニ厳しく指摘している。
オバマ大統領は、5年前の「プラハ演説」で「核兵器のない世界」を謳い、そのために「冷戦思考を終わらせる」と公約したが、「冷戦思考」そのままに、「冷戦」時代の戦略核兵器3本柱――ICBM(大陸間弾道弾)、戦略核ミサイル搭載潜水艦、戦略爆撃機用核爆弾――をこれまで通り維持しようとしている。
米国の反核運動家は、「現実の行動が、言葉より雄弁だ」として、▽2013年に北朝鮮向けにB2とB52両爆撃機を派遣し核攻撃想定[作戦]を行ったことや、イランへの「あらゆる選択肢」保持の姿勢をとった。▽核兵器とその使用手段の「新鋭化」のため、2000億ドル(=20兆円)近い巨額を投じようとしている、などの実例を挙げている。
核保有国はテロの脅威≠喧伝するが、世界にとって最大かつ現実的な脅威は核保有国の核兵器政策と核兵器の存在そのものにほかならない。我々は、こうした超大国の為政者の核兵器使用政策を告発、批判し、その放棄を求める世論を広げてゆく。
(5)「核抑止力」政策の打破は急務
「核抑止力」論は今日、核兵器禁止条約の交渉を開始するうえでの大きな障害となっている。核保有国は、「核兵器のない世界」をめざす国際政治の目的には同意するものの、「世界に核兵器があるかぎり、抑止力として核兵器を維持する」などとして自国の核兵器の保有に拘泥し、正当化している。軍事同盟諸国も「米国の拡大抑止の維持」(日本)、「NATOは核軍事同盟であり続ける」等、「核抑止力」依存政策に固執している。
「核の傘」、核兵器で守ってもらうという政策は、核兵器を使用する機会を拡大することとなる。核保有国がこうした軍事的緊張と脅迫を永続させる「核抑止力」論に立ち続けるかぎり、世界から核兵器をなくすことも新たな核拡散を防止することもできないことは明白である。「核抑止力」論の危険性を系統的に解明・追及してゆくことは、引き続き重要課題である。
「人類と核兵器は共存できない」とのヒロシマ・ナガサキの叫びは、たとえ1発であれ、いかなる理由であれ、核保有の正当化を許さない。「核抑止力」政策を打破するために、その決定力となる被爆の実相、核兵器の非人道性を世界の共通認識にすることが、いよいよ重要となっている。
[U]いまこそ被爆国にふさわしい非核・平和の役割発揮を
安倍・自公政権は、歴史逆行・軍国主義回帰の「海外で戦争する国」づくりをめざし、今国会中にも憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に踏み込もうとしている。
だが、同政権の発足から1年半、早くも国民との矛盾を深めている。「日米軍事同盟強化」を最優先課題とし、厳罰で国民の知る権利を奪う特定秘密保護法制定、海外での参戦に道を開く集団的自衛権行使容認に向けた閣議決定による解釈改憲の企てと「安保法制懇」報告、敵基地攻撃能力の保有等を掲げる中期防・防衛大綱の新たな策定、戦後の世界秩序を否定する歴史認識問題と国内外の批判を無視した閣僚の靖国神社参拝、国家が求める「人づくり」へ教育統制をねらう教育委員会制度改悪等々――、これらに示される安倍政治は、国際紛争は平和的・外交的に解決≠基本とする今日的な国際秩序に対するきわめて異様な逆流というほかない。これに内外から厳しい批判が噴出しているのは当然である。
核兵器政策についても、「海外で戦争する国」づくりと軌を一にした危険な動きが生まれている。岸田外相は1月、長崎の講演で、個別的・集団的自衛権にもとづく極限状況下での核兵器使用を肯定すべきだと述べた。限定≠キれば核兵器使用が許されるなどという主張が、被爆国日本の政府の閣僚として許されないことは明白である。
また、最近の国会質疑で同外相は、民主党の岡田元外相が民主党政権時代に行った政府答弁――将来の日本の政権がそのときの状況からして、「核を持ち込ませなければ日本を守れない」という状況になったときには、時の政権がそれを判断して決める――を受け継ぐかどうかとの岡田氏の質問に対し、「引き継いでいる」と答弁した。これが核持ち込み肯定§_であることは明白であり、核兵器の速やかな廃絶を強く望む国民と世界諸国民に対する挑戦と言わなければならない。核兵器使用のいかなる策動も許さないために、非核3原則蹂躙に反対し、真に非核の日本を実現するための国民的な世論と運動の発展が、従来にまして重要な課題となっている。
安倍政権の暴走政治は、各分野で国民との矛盾を急速に深めている。希代の悪法「特定秘密保護法」成立後も広範な学者、弁護士、作家、医師、報道関係、地方自治体、労働組合、市民団体など各界各層から「憲法違反の弾圧法は撤廃を」の声が広がり、集団的自衛権行使容認のための解釈改憲の動きには、改憲派の憲法学者らも「立憲主義の否定だ」と反対の論陣を張っている。原発再稼働問題でも、歴史認識問題でも、TPP問題でも、「安倍政治ノー」の世論と国民的共同の裾野が大きく広がっている。マスコミを動員しての政権浮揚キャンペーンにもかかわらず、政権支持率もついに5割を割るに至っている。
国会の多数を頼んだ安倍政治の危険性は軽視できないが、暴走すればするほど国民的な批判の前に孤立化せざるをえないことは明らかである。草の根から国民世論を喚起し、共同を広げる非核・平和の国民運動の強化・発展がますます強く求められている。
(1)被爆国にふさわしい非核の政治へ
わが会はこの1年、昨秋の国連総会軍縮委員会、今春のNPT第3回準備委員会の開催に際して、日本政府に対し、従来の「ステップ・バイ・ステップ」政策を改め、核兵器禁止条約の交渉開始を求める世界の流れの先頭に立つよう申し入れてきた。
日米核密約についても、シンポジウムなどを通して、民主党政権、自民党政権とも核密約を温存し、「核持ち込み問題(での非核3原則)に関して将来の政権を縛らない」として「非核3原則」空洞化を策していることを告発してきた。また、米軍のNCND(核兵器の存在を肯定も否定もしない)政策のもと、米軍が緊急時にわが国に核兵器を持ち込む危険性は、けっして過去の話でなく今日的な重要問題であることなどを追及してきた。
今日、安倍政権が「日米同盟強化」「海外で戦争する国」づくりに猪突猛進する情勢下、わが国が米国の核戦略にいっそう深く巻き込まれる危険を防止し、非核・平和の国づくり政策へと舵を切ることはますます切実となっている。
わが会は、日本政府が、被爆国にふさわしい役割を発揮するよう、以下の諸点を強く求めてゆく。
――国連と各国政府に核兵器禁止条約の交渉開始を提唱し、その実現のために全力を尽 くす。
――原爆被害の非人道的な実態を世界に訴える。日本政府も賛同した「核兵器の人道的 影響に関する共同声明」の実践の先頭に立つ。
――国連総会で非同盟諸国、新アジェンダ連合と協力し、核兵器廃絶諸決議を支持・推 進する。
――核兵器の保有と使用を是認する「核抑止」政策=「核の傘」からの離脱を国際社会 に宣言する。
――「非核3原則」を厳守し、「非核法」制定等、非核の日本を実現する実効性ある措置 を講じる。
――日米「核密約」の存在と構造を徹底的に調査・公表し、これを破棄する。
――日朝平壌宣言(2002年9月)、6者会合共同声明(2005年9月)の履行を当事国と して誠実に追求し、朝鮮半島の非核化、北東アジアの平和と安定のために積極的に 貢献する。
(2)解釈改憲・集団的自衛権行使容認は許さない
安倍政権は、海外での武力行使に道をひらく集団的自衛権行使容認のための憲法解釈の変更にのめりこんでいる。日本が武力攻撃を受けていないのに、他国のために武力を行使する――この集団的自衛権の行使を容認することは、限定的であろうとなかろうと、日本を「海外で戦争しない国」から「戦争をする国」へと大転換するものにほかならない。
これまで、アフガニスタン報復戦争やイラク戦争のとき自衛隊を派兵した歴代政府のときでさえ、「武力行使してはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めがあり、実際の戦闘には参加してこなかった。これらの歯止めを外し、自衛隊を戦地に派兵すれば、「殺し殺される」戦争の泥沼に巻き込まれることは明らかである。日本を再び「戦争をする国」にし、内外の尊い命を奪うような国に断じてしてはならない。
ところが安倍首相は、「政府が新解釈を明らかにすることで可能」「最高責任者は私だ」などと言い放ち、私的諮問機関「安保法制懇」の報告書を受けて、憲法9条を事実上なきものにしようとする大転換を、閣議決定によって強行しようとしている。これは、政府みずからが、立憲主義を真っ向から否定することにほかならない。
このような憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に、国民の多数が異議を唱え、世論調査でも7割近くが「反対」を表明している。「一内閣で変更が成り立つなら議会制民主主義とは何なのか」と危惧と怒りの声が急速に広がり、自民、民主両党の元幹部や改憲派の憲法学者、歴代の内閣法制局長官らからも公然と反対の声があがっている。国会の議席は多数でも、国民から孤立し、防戦に立たされているのは政府・与党の側である。
改憲手続き法(国民投票法)改定をめぐっても、自民、公明、民主など8党が改定案を共同提出し、衆参わずかの審議で採決を強行して今国会で成立させた。9条改定を中心とする明文改憲への条件づくりを狙い、国民投票の際の最低投票率の規定などすらない欠陥法を押し通したのである。しかし、国民の多数は、解釈改憲はもちろん、明文改憲も望んでいない。今日の改憲策動が平和、くらし、人権など、憲法原則の実現を願う国民の要求への挑戦である以上、その企てに未来のないことは明白である。
憲法施行から67年、わが国の国民は度重なる改憲策動を断固として封じてきた。憲法改悪反対の一点で共同する「九条の会」は約7500に広がり、全国各地で多彩な活動を展開している。「戦争をする国」づくりを許さない共同のたたかいを広げる新たな「憲法共同センター」も発足した。いまこそ、憲法を守り生かす攻勢的な世論と運動を急いて広げることが決定的に重要である。
(3)米軍普天間基地撤去、オスプレイ配備撤回を
米軍普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設反対、オスプレイ配備反対――これが沖縄の民意である。ことし1月、米軍普天間基地の名護市辺野古への移設が最大の争点となった名護市長選で、移設反対を訴えた稲嶺進氏が圧勝し、再選を果たした。地元紙の世論調査では、県民の74%が新基地建設に反対している。
沖縄県民の総意は、県内全41市町村長・議会議長らが署名し昨年1月に安倍首相に提出した「建白書」に端的に示されている。「建白書」は普天間基地閉鎖・撤去、「県内移設」断念、オスプレイ配備撤回を求めている。この6月には、「建白書」を実現させる運動をめざす「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議(略称・島ぐるみ会議)」の結成大会が予定されるなど、文字通り沖縄ぐるみ≠フたたかいが広がっている。
安倍政権は、辺野古埋め立てに向けて辺野古漁港の使用許可申請を、何の説明もなく名護市に提出したが、政府は、こうした沖縄の声を足蹴にする高飛車な姿勢はやめ、沖縄の総意に従って、沖縄への新基地建設計画をきっぱりと撤回すべきである。
(4)「エネルギー基本計画」を撤回し、「原発ゼロ」の日本へ転換を
東京電力福島第1原発事故から3年余、被災者はなお先が見えず、命と健康が脅かされている。いまも13万人もの福島県民が県内外で避難生活を強いられ、震災関連死が地震・津波の直接被害で亡くなった人数を上回る事態となっている。多くの避難指示区域は依然、高い放射線量の下に置かれている。
原発事故は収束どころか、大量の放射能汚染水問題など非常事態が続いている。安倍政権は、東電任せに終始し、事故を軽微にみせるトラブル隠し≠ウえ行っている。国民の命と健康、地球環境に対し無責任極まる姿勢と言わねばならない。また、同政権は、事故後初の「エネルギー基本計画」を閣議決定し、原発の永久化と海外輸出を図っていることは重大である。
5月21日、福井地裁は「大飯原発運転差し止め請求裁判」で「人格権は憲法上の権利であり、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、わが国の法制下においてはこれを超える価値を見出すことはできない」として、運転再開を認めない画期的な判決を下した。これは、福島原発事故とその後の3年間の深刻な現実と世論をふまえ、住民の粘り強い運動の広がりを反映したものにほかならない。
今日、世論調査でも、「エネルギー基本計画」策定のパブリックコメントでも、国民の8〜9割は「原発ゼロの日本」を願っている。国土狭小、人口過密かつ地震列島日本∞火山列島日本≠ナ、しかも放射性廃棄物を安全に処分する見通しがないまま「核のゴミ」が増え続けている現状に照らせば、全原発を停止して廃炉に向かうことこそ、国民と国土の安全を守るもっとも現実的な道であることは明白である。わが会は日本政府に対し、川内原発などすべての原発の再稼働断念、「エネルギー基本計画」撤回、「原発ゼロ」の政治決断を強く求めてゆく。
わが国は世界に例をみない米原子力空母の唯一の海外母港とされており、また半世紀にわたり米原子力潜水艦の一大寄港地となってきた。米原子力空母は、原発1基分相当の原子炉を推進力としているとされるが、原子力潜水艦を含めて原子炉の技術情報がいっさい日本側に提供されていないことは重大である。日本政府の原子力艦船の災害に関する防災指針は旧来通りの半径3キロ圏内だけのその場しのぎの無責任な「指針」であり、その緊急の抜本的見直しが重要である。あわせて、米原子力空母の母港と米原子力潜水艦寄港そのものの全面中止の速やかな実現がいよいよ切実となっている。
[V]「非核の政府を求める会」活動の前進のために
核兵器禁止条約の交渉開始、非核の日本を求める世論と運動の新たな前進のために、わが会の運動と組織のいっそうの発展をめざす。
(1)被爆国日本にふさわしい政府の役割発揮を求める
●わが会は日本政府に対し、この間、「第68回国連総会についての要請」(2013年9月、北野充・外務省軍縮不拡散科学部長が応対)、「2015年NPT再検討会議第3回準備委員会についての要請」(2014年4月、石原宏高・外務大臣政務官が応対)を行なった。引き続き日本政府に対し、第69回国連総会軍縮委員会、2015年NPT再検討会議等に際して、日本政府が「究極廃絶」の立場からの「ステップ・バイ・ステップ」論を脱し、核兵器全面禁止条約の交渉の先頭に立ち、被爆国にふさわしい役割を発揮するよう求めてゆく。
●「非核3原則」法制化、原発廃炉問題等、非核・平和、国民の安全にかかわる重要課題についての政府要請を検討する。
(2)核政策をめぐる調査・研究活動の強化
核政策をめぐる調査・研究活動はわが会の特色を成すものである。この活動のいっそうの発展をはかる。外部の識者との共同・連帯を系統的に追求する。
●わが会は前総会以降、シンポジウム「『海外で戦争する国』か、非核・平和の日本か――安倍政権の暴走政治ストップへ」(2013年12月)を開催してきた。引き続き、核保有国と日本政府の核政策の問題点の解明・批判を中心に、わが会ならではの講師陣・切り口のシンポジウム・講演会等に取り組む。
●核問題調査専門委員会活動の充実・強化をはかる。
[調査専門委員会の当面のテーマ]
▽核兵器廃絶をめぐる動向▽世界の核兵器状況▽「核抑止論」批判▽核兵器廃絶条約 ▽憲法第9条と非核・平和▽日米核密約▽非核3原則法制化▽「北東アジア非核地帯 化」▽原発と核兵器▽世界の「非核法」「非核の政府」。
●会ならではの情報が発信できるよう、インターネットのホームページの充実・改善をはかる。
(3)国民諸階層との非核・平和の共同・連帯の拡大
●会の新春アピール「2014年――『戦争する国』許さず、核兵器廃絶と非核の日本実現の展望ひらく年に」の呼びかけに各界30氏から賛同・連帯のメッセージが寄せられた。非核の日本を願う広範な人々との共同の輪をさらに広げる。
●「被爆70年・2015年NPT再検討会議・意見ポスター運動」を大きく成功させ、核兵器廃絶・非核の日本を求める世論喚起に努める。
(4)「核兵器全面禁止アピール署名」「原爆展」を軸に、被爆の実相を広げる
「核兵器は人類と共存できない」との被爆者の訴え、非人道的な被爆の実相を伝えることは、核兵器廃絶の国際世論を喚起し、「核抑止力」論の虚構を打破するうえでも決定的な意義をもつ。わが会は、「核兵器全面禁止アピール」署名と「原爆と人間」展の開催を軸に、被爆の実相の普及に努める。
「核兵器全面禁止のアピール」署名は、国民世論を喚起し、共同を広げ、国民世論を国際政治に反映する運動の軸となる。わが会は、来年のNPT再検討会議に向けて、平和首長会議、日本非核宣言自治体協議会に加盟する自治体への賛同の呼びかけをはじめ、署名活動のいっそうの前進をはかる。
(5)原水爆禁止2014年世界大会の成功へ
原水爆禁止2014年世界大会が8月2〜9日、「核兵器のない平和で公正な世界のために」をテーマに被爆地の広島、長崎両市で開かれる。原水爆禁止世界大会は近年、国連・各国政府・自治体と草の根NGOの共同・連帯を発展させる跳躍台となってきた。今年の世界大会は、
わが会は、今年の世界大会がその存在意義をいっそう力強く発揮するよう、成功めざして力を尽くす。
(6)被爆者との連帯強め、「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」支援を
●原爆症認定集団訴訟で政府は完敗したにもかかわらず、司法判断と行政認識の乖離を埋めることを目的に設けられた「原爆症認定制度在り方検討会」は不当にも被爆者の声・実態を無視した報告書をまとめた。被爆者の国家補償と原爆被害の実態にそった被爆行政の抜本的改善の実現に向けて、世論と運動の発展が強く求められている。
「集団訴訟」終結後も、被爆者の原爆症認定申請が政府に却下される事例が相次ぐもとで、被爆者は新たに裁判に訴え「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」をたたかっている。会は、原爆被害の残酷な実態、被爆行政の冷淡さを告発し、原爆症認定を求める被爆者の要求を支持し、同訴訟勝利のための支援を強める。
●「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」は結成から2年、原爆資料の収集・整理、「語り、受け継ぐ」取り組みと合わせて、「継承センター」の設立準備を進めている。会は「継承する会」の賛助会員として、記憶遺産を継承する活動の発展のためにいっそう力を尽くす。
(7)非核自治体運動、非核「神戸方式」の前進を
●非核自治体宣言運動・非核行政の発展を引き続き追求するとともに、自治体における非核・平和の共同行動を、今日の情勢の変化にふさわしく発展させる。平和首長会議、日本非核宣言自治体協議会との連帯、共同を発展させる。
●日米「核密約」破棄の追及とかかわって重要となっている非核「神戸方式」の全国化の運動を、非核・兵庫の会、自治労連等と協力して具体化、推進する。
●「非核自治体運動シンポジウム」を適切な時期に開催する。
(8)会の組織的強化のために
●ブロック別交流会、中央団体との懇談会等を推進する。
●「非核の政府を求める会ニュース」が、今後いっそう核兵器問題や日本政府の核政策をめぐる情報・方針を発信し、会の活動を伝える紙面となるよう紙面改善に努める。
同「ニュース」の新たな普及めざし、経験交流など対策をはかる。 □
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