| 東日本大震災による福島原発の重大事故――技術的・政策的欠陥持つ原発依存政策の転換を |
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青柳長紀・非核政府の会常任世話人が談話
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| 2011年3月15日 |
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3月12日、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発1号機、3号機が、相次いで炉心燃料の溶融、原子炉格納容器建屋内の水素爆発という最悪の事故となった。2号機も、冷却水が喪失し燃料のカラダキ状態となって炉心溶融が起こりかねない状態になっている。事態はなお流動的であるが、いくつもの原発が同時に過酷事故となった今回の事態は、世界でも前例のない緊急事態である。
この事態への東京電力と政府の対応に、周辺住民と国民は不安と不信、怒りを募らせている。事故を小さく見せたいがために避難指示が後手後手になったことも問題だが、避難指示を出すからには、病人や身障者、高齢者等、住民にとって移動のリスクが小さくないことなどを考慮すれば、予想される放射能汚染のデータ、それによる人体と環境への影響等について、国民が納得できる情報を提供すべきである。
国民の不安、不信はさらに、原発の安全性そのものに向けられている。米国スリーマイル原発事故(1978年)と旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)によって、“原発は多重の安全装置により過酷事故は起こさない”という「安全神話」は崩壊していたが、今回の日本の過酷事故は、原子力発電技術が依然として不完全・未熟なものであることを、明確に示すこととなった。原発の耐震設計と老朽化対策の欠陥も浮き彫りになっている。
重大なのは、世界では二度の過酷事故の教訓から、緊急時の対応を含めた原子力防災の重要性が確認されていたにもかかわらず、日本では対策が著しく遅れ、施設周辺自治体と住民が放射能汚染の危険にさらされてきたことである。そのことを身をもって知る住民が、国や電力会社に対して不信感を増大させたのは、まったく当然である。
地球温暖化問題や、発展途上国のエネルギー需要の急速な拡大を背景に、日本政府や原子力産業界は「原子力ルネッサンス」到来などとして原発の推進、海外への原子力施設の売り込みを強引に進めているが、危険な原子力発電を推進する、こうした政策は直ちに中止し、エネルギー政策を抜本的に見直すべきである。
もともと原子力発電は、ウラン資源、濃縮ウランなど海外への依存、核燃料サイクル、核兵器転用への危険と核拡散問題など、自然エネルギーなどとは異なる多くの制約を伴うエネルギー源である。にもかかわらず、非核兵器国である日本が米、英、仏、ロなど核兵器国の国際的な原子力発電供給体制の仲間入りするために世界で圧倒的多数の非核兵器国の中で孤立してまでも、米日原子力多国籍企業や電力業界の意向にそった原子力政策を進めてきた歴代自民党政権と民主党政権の責任は重大と言わねばならない。
技術的にも政策的にも重大な欠陥を持つ原子力発電の危険から国民と地域住民の安全を守るために、日本のエネルギー政策を、危険な原子力発電依存から、今や世界的な流れとなっている地球環境との調和のとれた再生可能エネルギーの拡大など、日本独自の自立的なエネルギー供給体制へと転換することを、重ねて強く求めたい。
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