| 核兵器廃絶へ 打って出るとき |
| 非核の政府を求める会が第23回全国総会 |
| 2008年6月14日 |
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非核の政府を求める会は6月14日、東京都内で第23回全国総会を開き、24都道府県の会と15中央団体の代表、各界個人賛同者ら82人が出席しました。
今年は、非同盟運動が主導し、核兵器廃絶へ歴史的な一石を投じた第1回国連軍縮総会から30年目にあたります。今総会では この30年、被爆者はじめ日本の原水爆禁止運動は各国政府に影響力を及ぼすまでに前進し、「核兵器のない世界」を求める流れが世界の大勢となっていることが明らかにされました。米国元政府高官ら核保有国支配層内部から核兵器廃絶の提唱がなされるなどの注目すべき動きについても解明し、この変化をとらえて、非核・平和運動が大きくうってでるときと論議。
世界の変化にもかかわらず、日本政府が依然として米国の「拡大抑止」政策に迎合し続けるもと、日本の政治を非核の政治へと転換することはますます重要と確認。非核・平和の世論を広げる非核政府の会の発展の重要性等を訴える新活動方針を確認しました。
総会は座長に柴田真佐子(全国労働組合総連合副会長)、中西裕人(弁護士・大阪の会事務局長)の両常任世話人を選任。
冒頭、昨年の総会後亡くなった世話人、顧問、賛同者の生前の功績を偲んで黙祷を捧げました。
常任世話人会を代表して、原和人・全日本民主医療機関連合会前副会長が総会議案を提案。藤田俊彦(前長崎総合科学大学教授)、笠井亮(日本共産党衆議院議員・国際局次長)の両常任世話人が補強報告を行いました。
討論では、延べ19人が発言しました。
総会では、議案を採択し、127人の世話人と23人の常任世話人、7人の顧問、事務室長を選出。「国民のみなさんへの訴え──核兵器廃絶ねがう世界の流れに連帯し、非核の日本求める運動を共に」を採択しました。
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総会には、秋葉忠利・広島市長、田上富久・長崎市長らの自治体首長、平和・民主団体、労組、個人から多数のメッセージが寄せられました。
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全国総会では、原和人常任世話人の第23回全国総会議案の提案に続いて、藤田俊彦、笠井亮の両常任世話人が補強報告を行いました。
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| ■核兵器めぐる新たな動向、米核戦略の危険浮き彫りに |
藤田氏は、米核戦力とブッシュ政権8年間の核政策の推移について、9・11同時テロを機に核不拡散に力点をおく一方、自国は核戦力と通常戦力の統合攻撃力の維持・強化を優先的に進めてきたと報告。最近、核兵器管理の責任がらみで空軍長官と空軍参謀長が同時に解任されるなど、米国の核管理システムに潜む欠陥、気のゆるみを指摘しました。ラッド豪首相が提唱した「核軍備の不拡散および縮小撤廃に関する国際委員会」に対し、2010年NPT(核不拡散条約)再検討会議の成功のために積極的に貢献するよう期待を表明しました。
笠井氏は、昨年の総会後、国民の声と国会論戦を結んで劇的な情勢の変化を切りひらいてきたと指摘。自民党政治は核問題、くらしの問題でもどん詰まりで、人間の尊厳を踏みにじる政治が浮き彫りになっているとして、後期高齢者医療制度、原爆症認定訴訟問題に言及。政府の「冷たい仕打ち」を告発しました。核兵器をめぐり世界が顕著な変化を見せる中、日本政府の核政策が厳しく問われているとのべ、国際会議でも米国の許容範囲内でブレーキ役を果たしていると批判。対米追随政治の転換は世界の平和と進歩、人類の未来にとって急務だと訴えました。憲法守れの国民世論と運動が改憲の企てを阻んでいると述べるとともに、改憲派がねらう改憲の土俵づくりと究極の解釈改憲=派兵恒久法の策動をつみ取る運動が重要と指摘。会の「非核5項目」の立場に立つ活動の発展が求められていると強調しました。
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原爆症認定集団訴訟全国原告団長の山本英典氏は、原告の多くが亡くなっている状況下、一日も早い解決が求められているとのべ、裁判を続行する政府の冷酷な姿勢を批判。仙台、大阪両高裁の判決をふまえ全面解決を要求するとともに、運動を通して核兵器廃絶のためにも大いに寄与したいと話しました。
日本原水協の安井正和氏(全国常任世話人)は、原爆症認定集団訴訟のたたかいで、被爆者とともに厚労省前の座り込みに参加し、「二度と自分のような体験をさせたくない」との被爆者の強い思いを実感したと発言。政府が被爆者に謝罪し、全員救済に踏み切るまで頑張りたいと決意を語りました。
浦田賢治常任世話人(国際反核法律家協会副会長)は、核兵器廃絶条約の締結に向けて、モデル核兵器条約の日本語版『地球の生き残り─』を出版したことを紹介。情勢は確実に核兵器廃絶に向けて進んでいるとして、この流れに参加する決意をのべました。
高橋和枝常任世話人(新日本婦人の会副会長)は、洞爺湖サミット参加8ヵ国に向けた、持続可能な地球のための日本女性の5つの提案運動について発言。どの大使館からも友好的に丁寧に迎えられ、核兵器問題でも2010年NPT再検討会議成功への決意が語られたことを紹介しました。
群馬の菊地定則氏は、この4月、県民の会の事務局体制を確立したと報告。洞爺湖サミットについて「マスコミが注目するほど評価できる会合か」と疑問を呈し、「魂を入れるとすれば、核兵器をなくす道筋を論議すべき」と話しました。
京都の田中則夫氏(全国常任世話人)は、広島市の「核兵器攻撃被害想定専門部会報告書」に注目すべきだと発言。核攻撃を想定した国の基本指針の問題点、同専門部会による核攻撃の想定被害を紹介し、会として同問題を重視すべきとのべました。
兵庫の梶本修史氏は、米軍再編と国民との矛盾について、基地県に止まらず、国民保護条例押しつけ、商業港への米艦船寄港など、全国的な影響の広がりを注視すべきだと指摘しました。
埼玉の飯塚博氏は、米英両国の核兵器をめぐる動向に言及し、2010年NPT再検討会議に向けて運動を盛り上げる重要性を強調。日本国内の自治体にも参加を呼びかけた平和市長会議との共同の重要性についても語りました。
日本宗教者平和協議会の小野和典氏(全国常任世話人)は、3・1ビキニデー墓前祭、宗教者平和会議の開催など宗教者の取り組みを報告。「核兵器と人類は共存できない」ことを教義から導く活動を重視し、対話の幅を広げ、ざっくばらんに語り合ってゆきたいとのべました。
増田善信常任世話人(気象学者)は、地球温暖化問題、憲法問題、核兵器廃絶運動の3つを関連づけて取り組む意義を強調。核兵器は製造、貯蔵、配備、使用のすべての段階で環境破壊をもたらすと指摘し、政府を変える運動が重要とのべました。
兵庫の藤田明史氏からは、総会議案に対し、米印原子力協定、日本の核燃料サイクル、イランの核開発疑惑、原爆症の国家補償などの諸点について質問・補強意見がありました。
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| ■非核日本宣言運動はじめ各地の経験を交流 |
広島の小笠原伸江さんは、「核兵器なくそう女性のつどい2008inヒロシマ」の成功にむけた広島の新婦人の“ピース・プロジェクト”を報告。原爆ドーム前での署名活動で「手応えがぐぐっと変わりつつあると実感」していると語りました。
神奈川の今野宏氏(全国常任世話人)は、米海軍横須賀基地への原子力空母配備の是非を問う住民投票条例請求署名の結果と今後の展望について発言。請求は否決されたものの、市議会が政府・市に対し安全対策を求める決議をあげるなど、運動の影響の広がりを紹介しました。
京都の望田幸男氏は、京都の会が取り組んだ北東アジアの非核地帯化求める意見ポスター運動について報告。「国民的な運動に」の視点で、日本政府に非核日本宣言を求めることなど3つのスローガンに要約したことなどを話しました。
東京の三栖義隆氏は、非核日本宣言意見ポスター運動に取り組むにあたり、東京原水協との共同、青年層との共同を大切にしたと報告。今後の活動について、非核の日本とともに非核の自治体を求める運動、都内の戦績めぐりなどに力を入れたいと話しました。
兵庫の梶本氏は、非核日本宣言運動について、会としてメリハリをつけて取り組む必要があると発言。兵庫で“非核日本宣言を行え”“非核「神戸方式」と憲法9条を守れ”のテーマで意見ポスターを実施し、1700人から賛同が寄せられるなど反響をよんでいることを紹介しました。
大阪の長尾正典氏は、非核の府民世論を喚起するため、非核日本宣言ポスター運動、核兵器をなくす『データ・ブック』作製、非核自治体との共同等に取り組んできたと報告。青年の政治意識を重視し、『データブック』を公立中高校に贈呈したいと語りました。
栃木の桜井欣氏は、今年20回目となる、核兵器廃絶・新聞意見広告運動について、市民から「今年もやりますか」と問い合わせがあるなど栃木の平和運動の伝統的行事になっていると発言。自治体への平和アンケートは7回目となり、今後、自治体担当者との話し合いなどを強めたいと語りました。
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| 非核の政府を求める会第23回全国総会活動方針 |
はじめに
核兵器廃絶をめぐる最近の注目すべき世界の動きは、わが会が結成以来「非核5項目」として展望してきた、非核の日本、非核の政治の実現を、いよいよ切実に求めている。
今年は、国連史上初めて、核兵器廃絶をはじめ軍縮問題に議題を絞って開催された第1回国連軍縮特別総会(SSD1)から30年目にあたる。同会議は、非同盟運動が主導し、核兵器廃絶の実現を求める国際世論の発展にむけて歴史的な一石を投じるものであった。それから30年、被爆者はじめ日本の原水爆禁止運動は各国政府に影響力を及ぼすまでに前進し、非同盟運動も国際的な非核平和の流れを形成する主要な勢力としてその存在感を拡大してきた。こうしていま、「核兵器のない世界」を求める流れは、世界の大勢へと確実に前進している。
またこの間、キッシンジャー元国務長官ら核保有国の支配層内部から核兵器廃絶を訴える提唱がなされ、これに呼応する動きが世界各地で相次いだことは、非核・平和の世界を求める思潮が新たな層にも広がりつつあることを示すものとして注目される。
同時に、核保有国の核政策は、いまもって基本的には変化がないことを、見落とすわけにはいかない。そのことは、先の2010年NPT再検討会議第2回準備委員会での核保有5ヵ国共同声明の発表にも端的に示されている。
このとき、本来国際政治の舞台で核兵器廃絶の旗振り役を担うべき日本政府は、国連総会で非同盟諸国提案の核兵器廃絶決議等に棄権の立場をとり、米国の核戦力を中心にした「拡大抑止」政策に迎合するなど、国内外の期待に背を向け続けている。
いまこそ、わが会は創立の原点「非核5項目」の立場に立って、また日本の原水爆禁止運動の半世紀余にわたる歩み、影響力の広がりを確信に、核兵器廃絶を1日も早く達成するための被爆国日本の責任と役割を厳しく問い、非核の日本、非核の政治を求める運動を大きく発展させるときである。
【1章】 非核・平和をめぐる今日の情勢
(1)重要性ます核兵器廃絶の課題──核兵器禁止・廃絶条約の交渉ただちに
?核兵器は人類の生存条件、地球環境の最大の脅威
世界の核兵器状況
わが会は結成以来、「全人類共通の緊急課題として核戦争防止、核兵器廃絶の実現」を一貫して訴えてきた。この主張の意義は今日、人類が核兵器の脅威にさらされ、アメリカによる核兵器使用を含む「グローバル・ストライク(全地球的打撃)」戦略のもとで、ますます重要となっている。
いま世界の核兵器数は、約2万7000基とされている。国別保有数は、アメリカ1万、ロシア1万6000(作戦配備可能な兵器は約6000)、イギリス160、フランス350、中国200、イスラエル100〜200、インド100以下、パキスタン100以下、北朝鮮10以下とされるが、いずれも透明性を欠いている。核兵器2万7000発の爆発力は、世界全体では広島型原爆の30数万発に相当し、合計およそ5000メガトンと推定される。同時に、核兵器を小型化し、使いやすくしようとする動きがあるいま、核兵器は爆発力の大小によらず、最も非人道的な大量殺戮兵器であり、人類とは共存できないものであることを強調しなければならない。また近年、フランス、イギリスなどで核兵器削減の動きがあるものの、いずれも「核抑止」政策をとる立場に変わりはない。
アメリカの核戦略の特徴
ブッシュ政権は、イラク戦争の失敗、「力の政策」の破綻に直面し、国内外で矛盾と孤立ぶりを深刻化させつつも、依然として核戦力を世界戦略の中心にすえ、核戦力の新たな強化策にしがみついている。最近も、現存の核兵器全体を新型の核兵器にそっくり取り替える「信頼できる代替核弾頭計画」(RRW)予算化等を、議会の批判を押し切って推進しようとしている。この計画の執行に向けた、核兵器関連施設の複合体を全面的に改変する「コンプレックス2030」計画の具体化を企てていることも見落すわけにはいかない。
米国の今日の核戦略の特徴は、9・11同時多発テロを受けて発表された2002年の「核態勢見直し」が打ち出した「新3本柱」(?@核戦力と通常戦力の統合?Aミサイル防衛など敵の攻撃力を無にする取り組みとの一体化?B核兵器開発生産のための軍事支援基盤の強化)の具体化に固執している点にある。「グローバル・ストライク(全地球的攻撃)」政策のもと、とりわけ重視すべきは、核兵器を中軸にしつつ通常兵器との渾然一体的な使用政策を採っていることである。核兵器使用の敷居を低くするとともに、核兵器使用の威嚇を強めるこの政策は、ミサイル防衛(BMD)欧州配備計画とあいまって、ロシアなどとの矛盾を広げ、非核兵器国の間に「新たな核軍拡を招くもの」などの批判が強まっている。
他国には核不拡散を求め、自らは公然と核兵器の近代化・強化を進めようとする身勝手な二重基準に、世界の批判が高まるのは当然である。米印原子力平和利用協定(07年7月)問題でも、世界の「二重基準」批判はもとより、当の米国内からも「安保理決議やNPTの原則に反する」との声があがっている。核兵器廃絶こそ核不拡散の確かな保証ともなることを国際的合意とすることは、ますます重要となっている。
?核兵器廃絶への新たな変化
核保有国の頑迷な抵抗にもかかわらず、核兵器の廃絶を求める世界の流れは確実に勢いを増している。
第62回国連総会・核兵器関連決議 第62回国連総会は、核兵器関連決議を圧倒的多数の賛成で可決し、多くの加盟国が核兵器のない世界を願い、国連に強い期待を寄せていることを如実に示した。ニュージーランドが同総会に初めて提出した、核保有国に核兵器即時発射態勢の低減を求める決議が、米国の同盟国を含む139ヵ国の賛成で採択されたのをはじめ、NPT再検討会議の合意である「核軍備の全面廃棄を達成するとの明確な約束」の履行を加速するよう促す新アジェンダ連合決議「核兵器のない世界に向けて」、真正面から核軍備撤廃を訴えた非同盟運動決議「核軍備縮小撤廃」など、投票に付された核兵器関連20決議すべてが圧倒的多数の賛成で採択された。対照的にアメリカは、投票に付された決議すべてに反対して、孤立ぶりをあらわにした。
2010年NPT再検討会議第2回準備委員会 このほどジュネーブで開かれたNPT第2回準備委員会は、合計175の見解表明が行われ、37の作業文書が提出されるなど、前回会議とは様変わりの活発な会合となった。この会議で、インドネシア(非同盟運動)が核軍備縮小撤廃こそ不拡散を確保し核戦争を防止する保証と強調し、一定の時間枠の中での核兵器廃棄と核兵器条約の締結を求め、またオーストラリア(7ヵ国イニシアチブ)が米ロの大幅な核軍縮、核兵器近代化やミサイル防衛計画の放棄を呼びかけたのをはじめ、締約国の大多数がNPTの3目標(核軍備縮小撤廃、核兵器不拡散、原子力平和利用)の総合的追求を主張した。しかし核保有国、なかでも米国は核不拡散のみを要求し、その結果、議長による議事要約も公式文書として採択できないなど、今後の進展に重大な障害を残す結果となった。2010年NPT会議を、1995年・2000年再検討会議の成果、とりわけ核兵器全面廃棄の「明確な約束」合意を実行に移す転機とするために、核兵器廃絶を求める世界の運動、わけても日本の非核平和運動のいっそうの発展が、ますます強く求められている。
核保有国支配層等の新たな動き この間の顕著な動きの1つは、米英両国の支配層、同盟国のあいだから核兵器廃絶の提唱が相次ぎ、それらが運動としての広がりを見せていることである。キッシンジャー元米国務長官ら元米高官4氏による共同論評「核兵器のない世界へ」の発表は反響を呼び、米歴代政権の国務長官、国防長官らの大多数が賛同を表明している。クリントン政権時代の元国務副長官による次期大統領への提言、ジュネーブ軍縮会議における英国防大臣の演説等が有力メディアを通して世界に発信された。米有力民間3団体も次期大統領への10項目の具体的措置を提案した。ノルウェー外務省は2月、核兵器廃絶のための国際会議を開催して話題をよんだ。これらの試みは、なお「緊急性」が欠落しているなどの弱点があるものの、「核軍備の縮小」にとどまらず「核兵器廃絶」を目標に掲げている点で、大いに注目に値する動きと言えよう。
核兵器廃絶条約の交渉ただちに こうしていま、核兵器廃絶のための国際的交渉・協議を国連・軍縮会議(CD)等ですみやかに開始することは、国際政治の緊急・重要課題の1つとなっている。国際反核法律家協会が作成したモデル核兵器廃絶条約はコスタリカ政府により国連総会に提出されている。CTBTなど個別的措置の行き詰まり状況を打破し、廃絶への気運、国際政治の流れを促進することも重要である。また、核兵器廃絶条約への展望を切り開くうえで、今後、「核の傘」への批判を強める非核兵器国の「西側」諸国と、核兵器廃絶を主張する非同盟諸国、7ヵ国イニシアチブ、新アジェンダ連合との連帯・共同のいっそうの発展が望まれる。
イラン核開発問題・6ヵ国協議 イランの核開発問題は、イランのウラン濃縮拡大により、緊張局面が続いている。米国やイスラエルはイランの核開発を軍事目的だと決めつけ、武力攻撃による破壊すら公然と提起している。同時に、米国はイスラエルの核保有にたいしては放置の立場をとりつづけており、これに中東諸国が不信と批判をつのらせているのは当然である。
北朝鮮の核問題をめぐる6ヵ国協議については、関係諸国が粘り強く協議を重ねており、米国によるテロ国家指定解除問題、北朝鮮の核申告検証問題等の方向付けが固まりつつあるなど、重要な局面にさしかかっている。同時に、北朝鮮の核兵器の最終的な解体の展望はなお不透明と言われ、今後の誠実な対応が望まれる。いずれの問題についても、国際社会の圧倒的多数の国々が一致して、緊張を激化させる言動を戒め、平和的外交的に解決する姿勢を堅持していることは、問題の真の解決への道として注目すべきである。
(2)問われる被爆国日本政府の姿勢──非核の政治求める世論大きく
非核平和をめぐる情勢の新たな進展のもとで、被爆国日本政府が核兵器廃絶の課題にいかなる姿勢をとるのかが、これまでにまして厳しく問われている。
国連総会でも米核政策に気兼ね
第62回国連総会で日本政府は、決議「核兵器の全面的な廃絶に向けた新たな決意」を提案した。しかし、名称とは裏腹に、その内実は、米国の「核の傘」のもとにある国として、米核戦略に可能な限り添う形で漸進する決意の表明にすぎず、事実上、古い「究極的廃絶」論の焼き直しにほかならない。NPTの3つの義務の履行を強調はするものの、2000年NPT再検討会議などの成果について、前文で「想起」するにとどめ、核兵器廃絶の「明確な約束」の履行を促すことは避けた。また、日本政府は、非同盟諸国提案の核軍備撤廃、核兵器条約締結、核兵器使用禁止の諸決議に棄権し、イラン提案の核兵器廃棄決議に反対しているが、こうした選択は、明らかに米政府の核政策に気兼ねしたものにほかならない。被爆国政府の立場からすれば、正面から、早急かつ全面的な核兵器廃絶を主張すべきであったことを、厳しく指摘しなければならない。
米核攻撃戦力を容認
米国の核兵器使用作戦を含む戦争に日本国民が巻き込まれる危険は、昨年5月の日米安保協議委員会(2プラス2)の合意により新たな段階を迎えている。日米同盟再編・強化のために開かれた同委員会は共同声明で、“米国の「拡大抑止」は日本の防衛、地域の安全保障を支える”とし、「拡大抑止」の中核として、“あらゆる種類の米国の軍事力──核および非核の双方の打撃力および防衛能力”を挙げた。米核攻撃戦力を日米政府の合意文書で明記したのは今回が最初であり、日米同盟の危険な到達点を示す重大な内容をなす。米「核の傘」依存路線からの脱却を求める国民世論を広げることは急務となっている。
米軍再編・強化、日米軍事一体化を推進
核兵器をめぐる新たな局面は、この5年来進められている、米軍再編と一体の「日米同盟」再編と深く絡み合っている。昨年6〜7月、青森県三沢基地の航空自衛隊F2戦闘機がグアムでの米軍戦闘機との共同演習で初めて500ポンド爆弾の実弾投下訓練をしたが、この演習の相手が核攻撃任務を持つ米キャノン基地のF16戦闘機であった事実は、米軍再編が米国の核戦略がらみの危険なものであることを端的に示している。
防衛省が推進しているミサイル防衛計画(BMD)も、米核攻撃作戦を完璧に近づけるためのものである。宇宙の軍事利用に道をひらく宇宙基本法の成立とともに、日米軍事一体化路線の重大な具体化であり、厳しく抗議しなければならない。
米海軍横須賀基地の原子力空母母港化計画は、日本を米「グローバル戦略」遂行のための西太平洋の拠点にしようとするものであり、基地の永久化に道をひらくこととなる。また、原子力の利用は平和目的に限るとした原子力基本法に反して、原子力の戦争目的の利用を日本に押しつけるものとなる。わが会は、日本の平和と安全にたいする二重の挑戦となる米原子力空母の横須賀母港化を断じて許すわけにはいかない。
同時にみるべきは、こうした在日米軍再編の企図が、沖縄、岩国、相模原、横須賀をはじめとする基地周辺の自治体・住民の反撃、国民的批判の高まりを前に、日米支配層の思惑通りに進行していないことである。沖縄・北谷町の女子中学生暴行事件、横須賀市で発生したタクシー運転手強盗殺人事件等、後を絶たない米兵による凶悪事件は「ここはどこの国か」「基地あるかぎり米兵犯罪はなくならない」と住民の強い怒りを呼び起こし、日米地位協定や米軍基地の存在そのもの、日米安保条約への強い批判、怒りを呼び起こしている。「日米同盟」最優先の政治と国民との矛盾は、基地県の問題にとどまらず、有事法制・「国民保護計画」策定による基本的人権・地方自治の侵害、民間港への米艦船の寄港増などの進展のもとで、さらに全国的・根源的に激化せざるをえない。
憲法改悪・派兵恒久法の企て
日米軍事一体化体制の確立に向けた憲法改悪の企てを許さない課題も、ますます重要となっている。昨夏の参院選で国民が下した自公政権与党大敗北の審判は、「任期中の改憲」を掲げた安倍政権を退陣に追い込み、1年前に強行可決された「憲法審査会」も始動できないなど、改憲戦略はいま、手直しを余儀なくされている。しかし、改憲派は9条改憲を狙う議員集団「新憲法制定議員同盟」を、民主党幹部も役員に加えてスタートさせるとともに、自民・公明・民主合作の自衛隊海外派兵恒久法を前面に押し出す方向で、巻き返しを策している。派兵恒久法にかんする与党プロジェクト・チームは通常国会中の法案要綱とりまとめを確認しており、福田首相も「民主党もやるべきだと言っているので、ぜひやりたい」と述べるなど、事態は軽視できない。改憲派を包囲する国民的多数派を形成することはますます重要となっている。
その意味でも、この間、憲法をめぐる注目すべき前向きの変化が生まれていることは、重要である。改憲の旗振りを果たしてきた「読売」の世論調査で、改憲反対(43.1%)が賛成(42.5%)を15年ぶりに上回り、9条改憲については反対が6割で賛成(3割)の2倍にのぼっている。この変化は、4年前に結成された「9条の会」の地方・分野別組織が7000を超えるまでに成長したのをはじめ、憲法を守る国民的な運動の前進の反映であり、大いに確信すべき変化である。
また、航空自衛隊のイラク派兵について名古屋高裁は4月、判決を下し、政府と同じ憲法解釈を前提にしても、戦闘が行われている地域での武装兵士輸送は武力行使と一体化しており、自衛隊の活動は違憲・違法だと断罪した。これは憲法9条の生命力を示した画期的判決である。政府は「暇があったら読んでみる」(高村外相)などと嘯いて、事実上反論不能に陥っているが、この際、司法の判断を真摯に受け止め、イラクから速やかに自衛隊を撤退させるべきである。インド洋における海上自衛隊による米軍その他への給油活動の即時中止、自衛隊撤退を要求する。
【2章】「非核の政府を求める会」活動の前進のために
(1)非核・平和の国民的合意ひろげる活動を旺盛に
?わが会は前総会以降、シンポジウム「今日の『核抑止』と日本の進路」の開催、核問題調査専門委員会の月例会開催をはじめ、国連総会の核兵器関連決議や核保有国の核政策の分析、日本政府の核政策批判などの、非核・平和をめぐる時々の重要テーマにもとづく調査・研究活動に持続的にとりくんできた。
会は引き続き、重要問題について、その政策上・運動上の発展方向を探究するシンポジウム等にとりくむとともに、核問題調査専門委員会活動の充実・強化をはかる。
調査専門委員会の活動では今後、▽核保有国の動向分析▽「非核の政府」問題の系統的研究▽「核抑止論」批判▽核エネルギーの軍事利用禁止問題▽宇宙の軍事利用問題▽日本国憲法と非核の日本実現の課題▽新アジェンダ連合・非同盟諸国政府の動向の研究および交流、等のテーマを重視する。委員会の持ち方についても工夫をはかる
会は今春、インターネットのホームページを改良したが、これを機に、専門委員会の研究成果の掲示をはじめ、情報発信機能をいっそう改善・充実させる。
?会はこの1年、日本政府に対し、「第62回国連総会についての要請」(2007年9月12日、木村仁副大臣が応対)、「第8回NPT再検討会議第2回準備委員会および洞爺湖サミットについての申し入れ」(2008年4月11日、木村副大臣が応対)を行ってきた。今後とも、日本政府の核政策の問題点を明らかにし、その転換を求める活動を強化する。
?会のアピール「2008年──核兵器廃絶・非核3原則厳守もとめる大きな流れを」に各界の著名37氏から非核・平和の日本を願う熱い賛同・メッセージが寄せられた。引き続き非核の日本・核兵器廃絶を求める国民的共同の前進のために力を尽くす。
(2)国際連帯活動のいっそうの強化を
わが会はこれまで、「原水爆禁止世界大会のこれまでの合意にもとづいて国際連帯を強化する」ために力を尽くしてきた。今日、「すみやかな核兵器廃絶」を世界の圧倒的多数の声とするうえで、「核抑止力」論や「核の傘」依存路線の本質を国民的に明らかにし、その政治的影響力を克服する意識的とりくみが求められている。
8月2〜9日、広島・長崎で開かれる原水爆禁止2008年世界大会は、2010年NPT再検討会議に向けて「核兵器のない世界」を求める国際的・全国的行動の跳躍台とすべき大会として内外の期待を集め、各国政府代表を含む海外代表多数の参加も予定されている。会は同世界大会の成功のために、大会参加、連帯のとりくみを強める。
会は、核兵器廃絶で一致するすべての人々とともに、国際署名「すみやかな核兵器の廃絶のために」を大いに推進する。
(3)非核日本宣言運動、非核自治体運動
政府は「非核日本宣言」を
「日本政府は核兵器廃絶の推進と非核3原則厳守を宣言し、国際社会に通知せよ」──各界の多彩な人々が共同提唱者に加わってスタートした「非核日本宣言」運動は、この4月、1周年を迎えた。この運動はこの1年、各地で支持・賛同を広げ、政府に「非核日本宣言」を求める地方議会の意見書決議は130自治体に、賛同は361首長・251地方議会議長に達している。
政府に「非核日本宣言」を求める国民的な世論と運動の発展をめざす取り組みも始まっている。非核の政府を求める会と東京の会が実施した意見ポスター運動には、各界識者ら910の個人・団体から賛同が寄せられた。大阪、京都、兵庫の会も意見ポスター運動を実施した。賛同者から「非核日本宣言は日本政府の最大の国際的任務です」などのメッセージが多数添えられたことにも、この運動の重要性が示されている。
わが会は、「核兵器廃絶」「非核3原則厳守」を「非核5項目」に掲げる組織として、また、核兵器をめぐる今日の情勢と日本政府の対応に照らして、同運動の重要な意義を広く訴え、その前進のために力を尽くす。
非核自治体運動の発展へ
今日、住民の安全確保を本旨とする地方自治体が、非核・平和の施策を発展させることはますます重要となっている。会は今後、自治体レベルでの「非核日本宣言」運動の推進をはかるとともに、引き続き非核宣言自治体・非核行政の全国の実態をつかみ、非核宣言運動をいっそう強化する。各地の活動の教訓を「非核ニュース」で紹介し、交流会を開くなど積極的に推進していく。
日本非核宣言自治体協議会、平和市長会議との連帯、協力をさらに発展させる。
(4)原爆症認定訴訟全面解決へ、画期的な高裁判決──政府は政治的解決を
原爆症認定集団訴訟で、仙台高裁が5月28日、大阪高裁が5月30日、それぞれ原告の原爆症を認めた一審判決を支持し、国側の控訴を棄却、原告勝訴の判決を下した。これに先立ち厚労省が策定・適用を始めた認定「新基準」は、これまで機械的な認定申請却下の根拠としてきた「原因確率」の放棄、残留放射線の影響の認知など積極的内容を盛り込むとともに、司法の場で認定された疾病が積極的認定の対象に入らないなど新たな線引き・認定却下の危険性をはらんでいる。今回の高裁判決は、「新基準」で積極的認定の対象となっていない疾病も含め「放射線起因性」を認めた。政府は6月5日、両高裁判決について最高裁への上告断念を決めたと報じられているが、わが会は、政府がいまこそ司法判断を受け入れ、原告305人全員の原爆症認定、被爆者救済の立場に立った「新基準」改定をはじめ、原告・被爆者の全面解決の要求に誠実に応えるよう、強く要求する。政府に国家補償による被爆者救済を求める。
会は集団訴訟の全面勝利実現の運動をはじめ、被爆者との連帯をいっそう強化する。「原爆展」への公費支援を要請し、原爆パネルの普及等を推進する。
(5)会の組織的強化のために
会の組織・財政の強化は急務となっている。適切な時期に、賛同者・「ニュース」読者対象者の紹介・拡大キャンペーンにとりくむ。「会維持・強化のための特別募金」を検討する。
会は、活動・機能の強化にむけて、構成団体や地方の会事務局長との懇談等を行う。
「ニュース」が非核・平和を願う人々にとっていっそう魅力的で役立つものとなるよう、紙面改善をすすめる。
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