| 核兵器廃絶の役割発揮へ 政治の転換を |
| 非核の政府を求める会が第22回全国総会 |
| 2007年5月19日 |
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非核の政府を求める会は2007年5月19日、東京都内で第22回全国総会を開き、24都道府県の会と15中央団体の代表、各界個人賛同者ら80人が出席しました。
今総会では、今日、国連総会での核兵器廃絶決議の圧倒的多数による採択、核兵器禁止を訴える「ブリクス報告」への共感の広がり、イラク戦争に厳しい審判を下した米中間選挙でのブッシュ政権与党の大敗等、非核・平和の流れが世界の本流として前進する一方、ブッシュ政権は矛盾と孤立への対応を余儀なくされつつも、依然として核戦力を軍事戦略の中心にすえ、新たな強化にのりだしていることが明らかにされました。
この情勢のもと、唯一の被爆国であるわが国の政治を非核の政治へと転換することは急務だとして、当面、日本政府に「核兵器廃絶の提唱・促進」と「非核3原則の厳守」を宣言させ、各国政府に通知するよう求める「非核日本宣言」運動の推進、非核平和の世論を広げる非核政府の会の発展の重要性等を訴える新活動方針を確認しました。
総会は座長に高橋和枝(新日本婦人の会副会長)、原和人(全日本民医連副会長)の両常任世話人を選任。
冒頭、昨年の総会後亡くなった世話人、顧問、賛同者の生前の功績を偲んで黙祷を捧げました。常任世話人会を代表して、中嶋篤之助・元中央大学教授が開会挨拶を行いました。
駒場忠親常任世話人(自治労連委員長)が総会議案を提案。藤田俊彦(前長崎総合科学大学教授)、笠井亮(日本共産党衆議院議員・国際局次長)の両常任世話人が補強報告を行いました。
討論では、延べ20人が発言しました。総会では、議案を採択し、131人の世話人と23人の常任世話人、8人の顧問、事務室長を選出。「国民のみなさんへの訴え──核兵器廃絶、非核3原則厳守求める運動をともに」を採択しました。
広島、長崎両市長らがメッセージ
総会には、秋葉忠利・広島市長、田上富久・長崎市長らの自治体首長、日本被爆者団体協議会など中央団体、個人から多数のメッセージが寄せられました。
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全国総会では冒頭、中嶋篤之助常任世話人が開会あいさつ。市長選挙さなかの4月、暴力団組員に銃撃され、亡くなった伊藤一長・前長崎市長と生前、「非核の政府を求める会ニュース」企画で対談したエピソードにも触れて、核兵器廃絶に力を尽くした伊藤氏の死去を悼むとともに、世界最大のテロは核兵器の存在であり、核兵器使用の威嚇だと指摘。地球上にいまなお数万発の核兵器が残っていることを考えるとき、テロに反対するなら、当然核兵器を一掃すべきだと力説しました。
また、本総会は安倍政権がとんでもない反動政治を推し進めるもとで開かれているが、悪政に対抗する勢力は確実に発展しているとのべ、本総会で、憲法9条擁護、非核・平和の日本の実現に向けて大いに論議をと呼びかけました。
広島、長崎両市長をはじめ、各界から全国総会に寄せられたメッセージが紹介されました。
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| ■問われる日本政府の姿勢 |
駒場忠親常任世話人の第22回全国総会議案の提案(別掲)に続いて、藤田俊彦、笠井亮の両常任世話人が補強報告を行いました。
藤田氏は、2010年NPT(核不拡散条約)再検討会議に向けた準備委員会第1回会合の紹介を中心に、核兵器をめぐる現在の国際状況について報告。本題に先立ち、核保有9ヵ国の核兵器保有数は現在、2万7000基に達し、その95%が米ロの兵器で、そのうち数千基は一触即発的な緊急発進体制に置かれていると指摘しました。
第1回準備委員会について、一連の議題項目が提示され報告書がまとめられたのは評価できると述べ、準備委員会の特徴を解説。今回、1995年・2000年再検討会議の成果は生き残り、それらの実行・発展こそ2010年会議の主題だと多くの締約国が主張したこと、核軍備縮小撤廃と不拡散の双方について取り組みを強めると確認されたこと、米国はこれらの成果を無視する方針をとり続けたことなどを列挙し、いまほど被爆国日本が核兵器廃絶のリーダーシップの発揮が求められているときはないと強調しました。
笠井氏は、世界唯一の被爆国であり、戦争放棄を国の原則とする日本のイニシアチブの発揮がいまほど求められているときはないし、そのためにも非核・平和の運動、非核政府の会の存在と役割の大きさを痛感するときと指摘。第1にタカ派改憲安倍政権の悪法の強行に継ぐ強行の異常さをあげ、閣僚18人中15人を「靖国派」で占める政権がアメリカの世界戦略を支える危険性を指摘。先の「2プラス2」で初めて「拡大抑止」まで踏み込んで合意するなど米戦略への後押しが目立ってきていることに注意を喚起しました。
第2に、米国に気兼ねして核兵器廃絶を迫る姿勢を欠く日本政府の態度が問われているとして、最近、米政権からも世論を意識して「核兵器廃絶」を口にせざるをえなくなっている状況をついて、今こそアメリカに核兵器廃絶の「明確な約束」の履行を迫るべきと強調しました。第3にタカ派政権が国会の多数を頼んで総掛かりでやってこようとも、被爆国日本の戦後60年余の国民的体験、世論と運動を突き崩すことはできないとのべ、被爆の実相のもつ力、憲法守れの国民の力に確信を持って攻勢的にたたかおうと訴えました。
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| ■新たな核使用政策と「非核日本宣言運動」の意義 |
討論では延べ20人が発言しました。
今日の米核政策の危険性について、核問題調査専門委員の新原昭治氏は、5月の日米安保協議委員会(2プラス2)で「核及び非核双方の打撃力」による「拡大抑止」を明言した危険性を指摘。新たな核使用政策に日本を結びつけようとしていることは重大だと述べ、この点で非核日本宣言運動は是非とも成功させたいと語りました。
日本原水協の安井正和氏(全国常任世話人)も非核日本宣言運動について、核・非核双方での打撃力の言明など目の前の情勢の進展が運動の意義を鮮明にしていると述べ、自治体等の反響をみても待たれていた運動だと強調し、その発展を呼びかけました。
北海道の寺井勝夫氏は、「非核日本宣言」運動について、国民平和大行進と結んで道内約60の市町村長、25市町村議会議長らから賛同を得た取り組みを紹介し、「自治体の関心は非常に大きい」と発言しました。
大阪の中西裕人氏(全国常任世話人)も非核日本宣言運動について、「非核の会らしい運動。今後の目玉になる」と述べるとともに、宣言の内容について日本政府に言い逃れを許さない工夫が必要と語りました。
世話人の儀我壮一郎氏は、「核兵器のない世界」を訴えたペリー氏が、同時に北朝鮮への先制攻撃を主張している面も見落としてはならないと述べました。
神奈川の今野宏氏(全国常任世話人)は米軍横須賀基地・原子力空母配備問題の現状について報告。先の住民投票条例直接請求署名は4万を超えて大きく成功、議会で否決されたものの市民は失望せず、引き続き浚渫工事差し止めを求める裁判に立ち上がっていることを紹介しました。
京都の長谷川長昭氏は、「憲法9条」「非核日本宣言」「北東アジア非核地帯構想」のテーマでシンポジウムや意見ポスター運動に取り組みたいと語りました。
日朝協会の南雲和夫氏は、北朝鮮の核開発問題をめぐる6ヵ国協議の合意を評価するとともに、日本では北朝鮮脅威論を声高に煽って軍拡、改憲の動きが強まっていることは軽視できないと指摘。今後、非核日本宣言を求める運動、北東アジア非核地帯創設の取り組みが必要となると話しました。
日本AALA連帯委員会の佐藤昭子さんは、ベネズエラ友好の旅に参加し、「原爆と人間展」のパネルに大きな反響が寄せられたこと、北欧各国の代表が「速やか署名」を持参したことなどを紹介し、署名をいつも国民のなかに持ち込むことの大切さを訴えました。
保団連の堀場英也氏(全国常任世話人)は、反核国際医師の会(IPPNW)第17回世界大会(ヘルシンキ)に参加した際、アメリカに対する批判が非常に多くなっていることが印象的だったと報告しました。
東京の被爆者、戸瀬英男氏は、被爆者と支援者が共同する「ノーモア・ヒバクシャ9条の会」の発足の集いの様子を生き生きと報告し、今後の決意を語りました。
津上忠常任世話人は、自身の長崎原爆との関わりを語るとともに、60年もたつと被爆直後の情景も頭に浮かんでこない部分が随分あるとして、当時の光景を撮っている原爆映画祭を観てほしいと訴えました。
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| ■非核自治体運動の前進へ活発に論議 |
討論では、非核自治体運動についての発言も相次ぎました。
石川の森昭氏は、自治体合併後の昨年9月、全自治体での非核宣言を達成した経験について、議長や議会事務局長に直接会って核兵器廃絶をめぐる情勢についてよく話し合うことなどの教訓、宣言にもとづき自治体の非核施策を前進させていることなどを報告。「非核日本宣言」運動について「大いに賛成だ」とのべ、非核宣言100%を土台に、自治体への賛同の働きかけを始めたいと語りました。
大阪の中西裕人氏は、大阪の非核自治体運動について発言。全自治体アンケートや懇談等を通じて、市民の要求にもとづく非核平和施策が市民に知られていないこと、自治体間の横の連絡がないことなどがわかり、非核の会が役割を担う必要を感じているとのべました。
東京の小町行三氏は、自治体の非核施策の積極的活用や激励の重要性を強調するとともに、その限界もとらえ、我々の側が独自の非核平和運動を併せて推進することが大事だと発言。
顧問の東谷敏雄氏は、非核の政府を求める上で、地方自治体を非核の自治体にする運動の重要性を指摘。全国の事務局長会議の開催などを提案。非核・平和の国民的共同についても、全国と地方の全世話人が賛同した大声明を出すことを提起しました。
長崎の柴田勇輝氏は、伊藤一長・前長崎市長銃撃に怒りを禁じ得ないと述べるとともに、自民党県議であった伊藤氏が核兵器廃絶の先頭にたつまでに変わった背景に、長崎市民の非核平和の世論と運動の反映があると指摘。新市長の今後にも大いに期待したいと語りました。長崎県民の会が取り組んでいる核兵器廃絶条約促進決議について、24自治体中18自治体に止まっており、今年中には100%達成したいと決意を述べました。
埼玉の内川幸一氏は、「非核の政府を求める会ニュース」は素晴らしいが、幅広い会員を結集するうえで文芸作品を載せるなどの工夫、青年を結集するための青年団体との懇談会などを提起しました。
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| 非核の政府を求める会第22回全国総会活動方針 |
はじめに
この1年間、核兵器に対する日本政府の基本姿勢を鋭く問う新たな出来事が相次いで生起した。今年年頭のキッシンジャー元国務長官ら米政界長老政治家4氏の「核兵器のない世界」の訴え、国連はじめ各地で広がる「ブリクス報告」への共感等は、核保有国の支配層の間にも核兵器使用の危険性が深刻に受け止められ、核兵器廃絶を求める流れが21世紀の世界の本流として力強く前進していることを示している。
その一方、現在の世界には、「終末時計」が2分間進められて「5分前」となったことに象徴されるように、北朝鮮核実験やイラン核開発等の核拡散の懸念、米ブッシュ政権の「信頼できる代替核弾頭計画」(RRW)にもとづく新たな核兵器開発の動きなど、「第2の核時代の瀬戸際」とも言われる状況がある。この春ウイーンで、2010年NPT再検討会議のための準備委員会がスタートした。同会議を核兵器廃絶への新たな転機とするために何をなすべきか──いま、非核・平和運動の真価の発揮が強く求められている。
こうした情勢下、日本政府には、核兵器廃絶のためにいかなる役割を果たすのか──唯一の被爆国として、米国をはじめ核保有国に堂々と核兵器廃絶を迫るのか、それとも米国の「核の傘」になおも身を置き、その強化に手を貸すのか──の問いが鋭く突きつけられている。
日本国憲法は今年、施行60年を迎えた。その平和的原則、第9条は、わが国はもとより、世界でもいよいよ輝きを増している。憲法の国民主権を存立の拠り所とするわが会は、この節目の年に、9条を守り、非核・平和の日本を求める世論と運動のいっそうの発展めざし力を尽くすことを決意する。
1章 非核・平和をめぐる世界と日本
(1)アメリカの危険な核戦略と拡散問題
ブッシュ政権は、国内外で矛盾と孤立ぶりを顕在化させつつも、依然として核戦力を世界戦略の中心に据える政策にしがみつき、核戦力の新たな強化に乗り出している。同政権は昨年12月、現存の核兵器全体を新型の核兵器にそっくり取り替える「信頼できる代替核弾頭計画」(RRW)の継続を決め、今年に入って採用する設計原案も決定した。また、この計画の執行に向けて昨年10月、核兵器関連施設の複合体を全面的に改変する「コンプレックス2030」計画も発表している。
米国の核使用政策は、2005年4月に明るみに出た米統合参謀本部の『統合核作戦ドクトリン』に明示された核兵器先制使用政策と、「グローバル・ストライク(全地球的攻撃)」にもとづく、核兵器を中軸にしつつ通常兵器との渾然一体的な使用政策に特徴づけられる。
他国には核不拡散を求め、自国は公然と新たな核兵器開発を進めようとする理不尽を許してはならない。「核兵器廃絶こそ核不拡散の保証」との国際的合意を確立することはますます重要となっている。
6ヵ国協議「合意」の誠実な実行を
北朝鮮は昨年10月9日、核実験と核開発計画の放棄を求めた国連安保理議長声明等を無視して核実験を強行した。これは、朝鮮半島非核化共同宣言、日朝平壌宣言、6ヵ国協議共同声明等のみずからの国際公約を真っ向から踏みにじり、北東アジアと世界に新たな緊張をもたらす暴挙であった。わが会は同日、直ちに抗議の声明を発表した。
同時に、この問題への対応をめぐり、国連安保理決議1718をはじめ国際社会が結束して、平和的・外交的解決の方向を確認したことは、きわめて重要である。この理性的対応がなかったなら、その後の6ヵ国協議の再開・合意確認に至らなかったであろうことは明らかである。わが会は6ヵ国協議再開を歓迎し、「朝鮮半島の非核化」へ関係各国の誠実で、ねばり強い外交努力を求めるものである。
イラン問題──外交的解決を
イランの核開発問題は、イランのウラン濃縮拡大によって緊張の局面を迎えている。どの国であれ、原子力の民生利用の技術を軍事転用し新たな核兵器保有国になるなどということは許されない。同時に見落とせないのは、米ロ英仏中5ヵ国には核保有を認める差別的なNPT体制の根本矛盾である。そのうえ、中国以外の核保有国は核先制使用政策をとり続けている。
この問題の解決のために重要なことは、国際社会が一致して、緊張を激化させる言動を戒め、平和的外交的に解決する立場を堅持することである。この点で、EUやイスラム諸国などが積極的な外交を展開していることは、大いに注目される。
(2)ひろがる核兵器廃絶の声、交渉開始を求めよう
今日、「核兵器のない世界を」の声は、国連総会核廃絶決議の圧倒的多数での採択等に示されるように、世界の大勢へと大きな広がりをみせている。イラク戦争の破綻が誰の目にも明らかとなる中、米中間選挙でブッシュ政権与党は大敗し、その軍事力偏重政策、一国覇権主義の綻びをさらけ出し、手直しを余儀なくされている。
北朝鮮、イランの核開発をめぐって国際社会は、非軍事の外交的解決の方向で結束した対応を続けている。6ヵ国協議の行方は依然、予断を許さないものの、朝鮮半島非核化の希望を現実化する新たな可能性が生まれている。イラン核開発問題をめぐっても、イスラム社会あげての外交的努力、EU、中ロとの対話・交渉などが継続して進められていることは、イラク戦争前夜とは異なる重要な変化といえる。
非核・平和の流れは確実に勢いを増し、新しい国際署名「すみやかな核兵器廃絶のために」は、提唱直後から、広島、長崎両市長はじめ、マレーシア、エジプト、メキシコなどの各国政府、婦人国際平和自由連盟、廃絶2000などの国際的NGOを含む広範な各界各層の賛同がよせられており、核兵器廃絶を求めるつよい意思の表れとして注目される。
核兵器廃絶条約の展望を切り開くために
核兵器廃絶のための国際的交渉・協議を国連・軍縮会議(CD)等ですみやかに開始することは、国際政治の緊急・重要な課題の一つとなっている。
核兵器廃絶のプログラムについては、すでに検証制度を含むモデル核兵器廃絶条約の国連文書も作成されており、廃絶への最大の問題が“政治的な意思”の有無にかかっていることは明白である。それだけに、垂直・水平の核拡散、米国の核態勢見直し政策と核軍備撤廃無視政策、その他の核保有国の「核抑止力」堅持政策等、核兵器廃絶条約への阻害要因を明確にし、それらを包囲する国際的な共同・世論の強化が重要である。同時に、CTBTなど個別的措置の行き詰まり状況を打破し、廃絶への気運、国際政治の流れを促進することも急務となっている。
核兵器廃絶条約への展望を切り開くうえで、今後、「核の傘」への批判を強める非核兵器国の「西側」諸国と、核兵器廃絶を主張する新アジェンダ連合、非同盟諸国との連帯・共同のいっそうの発展が望まれる。
2010年NPT再検討会議にむけて
2010年NPT再検討会議のための準備委員会が4月30日から5月11日までウイーンで第1回会合を行った。2005年NPT会議が米ブッシュ政権の妨害によって失敗に終わっただけに、2010年会議は、2000年会議で核兵器国も合意した核兵器廃絶の「明確な約束」を再確認し、その実行を加速させる転機としなければならない。
今回の準備委員会は当初、議題案をめぐるイランの反発等で一時空転したものの、南アフリカの提案で議題案に脚注「『NPTの完全な順守の必要性を再確認する』とは、準備委員会がNPTの全条項について検討することを意味する」が付記され、討論を要約する議長作業文書を含む報告書が全会一致で採択された。これは準備委員会が核保有国に核軍備の縮小撤廃義務を課したNPT第6条についても討議することを確約するものである。アメリカ代表は演説で核不拡散に主たる力点をおく従来の自説を展開しており、今後の成り行きは予断を許さない。それだけに核兵器廃絶を求める各国政府、NGOの協力の強化がますます重要となっている。
(3)被爆国日本政府の姿勢は重大
「核の傘」脱却は急務
昨年9月、安倍新政権が発足したが、発足直後から、「日本核保有議論」発言が閣僚、与党幹部らから相次ぎ、安倍首相がこうした発言を容認したことは、核兵器をめぐる日本政府の特異な体質を改めて浮き彫りにした。こうした日本の対応が近隣諸国に対して新たな脅威となっていることは重大である。同時に、「非核3原則」の“核兵器を持ち込ませず”の原則をなしくずしに空洞化させようとする発言や主張が、2002年の米ブッシュ政権の「核態勢見直し」直後から、最近では昨年末の久間防衛庁長官(当時)発言に至るまで、政府、自民・民主両党幹部らによって繰り返されている。日本政府に「非核3原則」の厳守、法制化を求めることはますます重要となっている。
昨年の北朝鮮の核実験とかかわって、ブッシュ大統領、ライス国務長官が相次ぎ“核抑止力で日本を守る”と発言したが、これが米国の危険な核先制攻撃の選択肢を含む核兵器政策を指した発言であることは明白である。先の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、「日米同盟の強化」に向け核・非核双方による「拡大抑止」が再確認されたことに照らしても、米「核抑止力」に依存する危険な政治の克服は緊急・重要な課題となっている。
国連総会の核兵器関連決議に対する日本政府の態度も重大である。日本政府は、核兵器廃絶を正面から掲げるミャンマー、マレーシア、インドの各決議等に対し、「目的は共有するがアプローチが違う」「核保有国も納得するものにしないと真意を疑われる」などとして、採決で棄権した。日本政府自身、重大な弱点を内包するとはいえ独自に決議案を出している立場を首尾一貫させるのであれば、被爆国政府の役割としても、新アジェンダ連合や非同盟諸国提案の廃絶決議にどの国よりも熱心に賛意を表明すべきである。
在日米軍基地の再編強化反対
政府が在日米軍再編促進法を、再編計画の全容等、法案の基本にかかわる内容を国民に示さないまま、強行可決させたことも、米軍事政策への日本政府の異常な追随ぶりを示すものである。昨年の「2プラス2」合意にもとづく在日米軍再編は、米軍事戦略「グローバル・ストライク」の先制攻撃政策に付き従って、米軍と自衛隊が一体となって海外で戦争できる態勢づくりをめざすものである。米軍再編特措法により、基地を温存・強化するためにグアムにまで国民の税金を投入するなどというのも、アメリカ言いなり政治の恥ずべき表れにほかならない。いま国民が求めているのは、基地再編・強化ではなく、基地被害のない安全で平穏なまちとくらしである。
そうした中で、B2やF22などの核兵器搭載可能な米軍の爆撃機、戦闘機の在日基地への飛来や、攻撃型原子力潜水艦の寄港などが続いているうえ、ミサイル防衛用兵器の配備が沖縄や首都圏などで開始されて、核戦略分野での対米協力は新たな危険な段階に入ってきた。
米軍再編による基地強化と日米軍事一体化による日米共同作戦体制の全面的な強化を許さず、基地の縮小・撤去をめざす運動の強化は、ますます重要である。
新局面迎えた改憲の動き
任期中の憲法改定を公言する安倍首相のもとで、改憲手続き法が国会の数の多数を頼んだ自民・公明両党と民主党の後押しによって強行可決され、憲法改悪をめぐる動きは新たな局面を迎えている。改憲手続き法は文字通り、改憲のための、とりわけ9条改悪と地続きの法律であり、少数の賛成で改憲が実現できるよう最低投票率を設けず、公務員などの言論・表現の自由を奪う一方、財界によるやりたい放題のコマーシャルを認めるなど、改憲を通しやすくしようとするものである。
同時に、同法案に対する世論調査で、法案賛成は国民の29%、しかもこのうち今国会で成立させるべきはわずか8%にとどまっていることは、政府・与党と国民世論との乖離がいかに大きいかを端的に示すものである。憲法を「改正するほうがよい」とする回答が3年連続で減少し、9条「改正」支持は36%にすぎないとの世論調査の結果もある。「9条の会」の地方・分野別組織もわずか3年で6000組織を超えるまでに大きく前進している。
わが会にとって、憲法改悪に反対し9条を守る課題は、9条が広島・長崎の被爆の惨禍のうえに確立されたこと、あわせて「非核の政府」をめざす運動そのものが、憲法に立脚し、9条を全面的に生かす政治を実現する事業であることを考えれば、非核・平和運動の発展と不可分の課題である。わが会は
、いよいよ改憲反対のたたかいを非核・平和の運動と固く結び、その前進に力を尽くす。
4月17日、日本非核宣言自治体協議会会長・平和市長会議副会長として、核兵器廃絶を訴え続けてきた伊藤一長・長崎市長が市長選挙のさなかに暴力団組員に銃撃・殺害されたことは、内外に大きな衝撃をもたらした。法治国家にあって、しかも最も言論の自由・民主主義が尊重されるべき選挙中に、テロ行為で言論を封じ人命を奪うなどという暴挙は絶対に許されてはならない。わが会は、政府・捜査当局に事件の厳正な調査とテロ行為の根絶への対処を強く求めるものである。
2章 「非核の政府を求める会」活動の新たな前進を
(1)非核・平和の国民的合意広げるために
1、わが会は前総会以降、緊急セミナー「北朝鮮の核開発と核兵器廃絶の課題」、シンポジウム「核兵器廃絶の展望を探る」の開催、核問題調査専門委員会の持続的開催等にとりくみ、核保有国をはじめ各国政府の核政策の分析、国連決議をはじめとする日本政府の核政策批判などを系統的に調査・研究してきた。
会は今後、
・非核・平和をめぐる時々の重要問題をとりあげたシンポジウム等の開催
・核問題調査専門委員会活動の充実・強化 にいっそう力を入れる。
調査専門委員会の活動では、▽核保有国の動向分析▽「非核の政府」問題の系統的研究▽「核抑止論」の今日的意味と打破の展望▽日本国憲法と非核の日本実現の課題▽核エネルギーの民生利用と軍事転用問題▽新アジェンダ連合・非同盟諸国政府の動向の研究および交流、等のテーマを重視する。委員会の持ち方について、常任世話人会との開催日の調整等、工夫をはかる。
2、会はこの1年、日本政府に対し、「第61回国連総会についての要請」(2006年10月6日、浅野勝人副大臣が応対)、「第8回NPT再検討会議第1回準備委員会についての申し入れ」(2007年4月10日、浅野副大臣が応対)を行い、日本政府が被爆国にふさわしく核兵器廃絶のイニシアチブを発揮するよう、強く求めてきた。今後とも情勢の進展に照らして日本政府の核政策の問題点を明らかにし、その転換を求める活動を強化する。
3、会のアピール「2007年──非核・平和の新たな展望開く年に」に各界の著名17氏から賛同・メッセージが寄せられた。引き続き、情勢の焦点にそくして核兵器廃絶の国民的共同を広げる活動にとりくむ。非核・平和の世論喚起めざし、「核兵器廃絶意見ポスター」運動等の具体化をはかる。
(2)「非核日本宣言」運動の成功を
核兵器廃絶と「非核3原則」を宣言し、国連と各国政府に通知することを日本政府に求める「非核日本宣言」運動が4月26日、記者会見で発表された。中嶋篤之助・常任世話人と澤田昭二・日本原水協代表理事の2氏が発起人となり、5月10日現在、各界28氏が共同提唱者に加わる同運動は、日本政府に被爆国にふさわしい役割の発揮を求めるものである。わが会は、「核兵器廃絶」「非核3原則厳守」を「非核5項目」に掲げる組織として、また、核兵器をめぐる今日の情勢と日本政府の対応に照らして、同運動の重要な意義を広く訴え、その成功のために力を尽くす。
(3)国際連帯活動のいっそうの強化
1、非核・平和の国際連帯活動は、「非核5項目」にもとづく、わが会の重要課題の一つである。今日、「すみやかな核兵器の廃絶」を世界の圧倒的多数の合意とするうえで、「核抑止力」論の克服・打破が重要となっている。「核抑止力」の核心は、核兵器をどの国よりも強力に維持しようと努め、「力による脅し」の最高の手段として活用するとともに、軍事戦略上必要と考えればいつでも核先制攻撃が行えるようにしておくことにある。この政治的影響力を打破し、核兵器全面禁止・廃絶の国際条約の実現のために、力を尽くす。
2、A国際署名「すみやかな核兵器の廃絶のために」を核兵器廃絶で一致するすべての人々とともに、いっそう意識的に推進する。
3、原水爆禁止2007年世界大会の成功のため、連帯のとりくみを強める。
(4)非核自治体運動の発展めざして
今日、住民の安全確保を本旨とする地方自治体が、非核・平和の施策を発展させることはますます重要となっている。会は今後、自治体レベルでの「非核日本宣言」運動の推進をはかるとともに、引き続き非核宣言自治体・非核行政の全国の実態をつかみ、非核宣言運動をいっそう強化する。各地の活動の教訓を「非核ニュース」で紹介し、交流会を開くなど系統的に推進していく。
日本非核宣言自治体協議会との連帯、共同をさらに発展させる。
(5)被爆者との連帯、被爆行政の抜本的改善を
原爆症認定を求める集団訴訟で、大阪地裁判決につづきこの1年、広島、名古屋、仙台、東京の各地裁が、認定行政の違法性を断罪し、厚生労働省の認定申請却下処分を取り消す、原告勝利の判決を言い渡した。だが厚労省は、原告・被爆者らの痛切な訴えを無視して控訴した。被爆60年を経たいまなお、被爆国日本でこうした冷酷・非情な被爆行政が行われていること自体きわめて異常であり、世界に広く知らせていく必要がある。結成以来、「国家補償による被爆者援護法を制定する」ことを一貫して重視してきたわが会は、不当な控訴の撤回を求めるとともに、政府に誤った原爆症認定基準の是正、国家補償を強く求めていく。
「原爆展」への公費支援を要請し、各地の非核自治体運動とも連携して「原爆と人間展」パネルの普及を推進する。
(6)会の組織的強化のために
1、会の活動・機能の強化にむけて、構成団体や地方の会事務局長との懇談等を行う。
2、会の組織・財政の強化は急務となっている。賛同者、「非核の政府を求める会ニュース」読者を広げるための重点的活動に取り組む。そのためにも、「ニュース」がいっそう魅力的で役立つものとなるよう、引き続き紙面改善をはかる。「ニュース」普及を進める地方の会との懇談・交流を行う。
3、会のホームページが、より多くの人々にとって活用しやすく役に立ち、非核・平和問題の有力な情報を双方向で発信する機能をもつものへと抜本的な改善をはかる。
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